冬の野菜が甘くなる理由|寒締めのやり方・朝と夕方の収穫の違い・甘くなる野菜と採りどき
どうも、8150(えいこう)です🌱 家庭菜園歴8年、理科の教員免許を持っていて、有機・無農薬で野菜を育てています。
📖 この記事の目次
この記事で分かること
- 冬の野菜が甘くなるのは、寒さで体の中の水が凍らないように、野菜が自分で糖を増やすからです。
- ほうれん草は、収穫の少し前にわざと寒さに当てる「寒締め(かんじめ)」をすると、甘みが増すと言われます。
- 葉物は、昼に作った糖が葉にたまっている夕方に採ると甘く、きゅうりやトマトなどの実は、朝に採るとみずみずしい、という使い分けがあります。
- ほうれん草、白菜、大根、にんじん、キャベツなど、冬の畑の野菜の多くが、寒さで甘くなります。
- 甘くなっても、採りどきを逃すと味は落ちます。大根はすが入り、葉物は花を咲かせようとしてかたくなります。
- 白菜を縛っておく、にんじんに土をかけておく、など、畑に置いたまま保存する方法もあります。
冬の畑でとれたほうれん草や大根を食べて、「お店のものより甘い!」と驚いたことはありませんか。
実はこれ、気のせいではないんです。冬の野菜は、寒さにあたることで、自分で甘みを増やしています。そのしくみを知っていると、もっと甘い野菜をとるための工夫ができるようになります。
この記事では、冬の野菜が甘くなる理由から、ほうれん草の寒締めのやり方、朝と夕方の採りどきの違い、甘さを逃さない収穫と保存のコツまで、順番に書いていきます。
早見:冬の野菜の甘さの基本(ひと目で分かる目安)
甘くなるしくみ
- 寒さにあたると、野菜は体の中の水が凍らないように、でんぷんを糖に変えて、糖の濃さを上げる
- 糖が溶けた水は凍りにくくなる(自分で不凍液を作るようなもの)
- その結果、冬の野菜は甘くなる
甘くなりやすい野菜
- ほうれん草(特に日本ほうれん草)
- 白菜
- 大根
- にんじん
- キャベツ
- 小松菜、春菊、スイスチャードなどの葉物
- ブロッコリー
寒締めのやり方(ほうれん草)
- 収穫できる大きさ(草丈10〜15cmくらい)まで育ったら
- トンネルや不織布を外して、冷たい外気に当てる
- 1〜2週間くらい当ててから収穫する(期間は説明が分かれる)
採る時間帯
- 葉物:夕方に採ると甘い
- きゅうり・トマトなどの実:朝に採るとみずみずしい
- 根菜:時間帯はあまり気にしなくていい
冬の畑のカレンダー(だいたいの目安)
- 11月:秋に植えた野菜がぐんぐん育つ。寒さが本格的になる前に、株を大きくしておく。里芋やさつまいもは霜の前に掘り上げる
- 12月:冬の野菜の収穫が本格的に。白菜は外葉を縛って霜よけ。大根やにんじんは、食べる分ずつ収穫
- 1月:いちばん寒い時期。寒さで甘みが増す。トンネルで育てているほうれん草は、まだ保温して大きくする
- 2月:ほうれん草の寒締め。春が近づいたら、とう立ち前に収穫を終える準備
地域によって前後します。寒い地域では、雪や凍結への備えも必要です。
作業の手順
ここからは、冬の野菜を甘く育てて、甘いうちに収穫するための流れを、順番に書いていきます。
手順1:冬に収穫する品種を選ぶ
甘い冬の野菜を楽しむなら、まず品種選びから始まります。
- ほうれん草:葉がぎざぎざした「日本ほうれん草」は、冬に収穫すると甘みが増しておいしい、と言われます。今は、日本ほうれん草と、丸い葉の西洋ほうれん草をかけ合わせた品種も多く、育てやすさと甘さを両立したものもあります
- 白菜:冬に収穫するなら、ゆっくり育つ中生〜晩生の品種が向いています
- にんじん:寒い時期に力を発揮すると説明される品種もあります
- キャベツ:冬どり向きの品種を選ぶと、寒さで甘みが増した玉を収穫できます
種袋に「冬どり」「寒さに強い」「甘みが増す」などと書かれているかを確かめて選んでください。
手順2:寒くなるまでに、しっかり育てる
冬に甘い野菜をとるためには、寒くなる前に、株をしっかり育てておくことが大切です。
寒くなると、野菜はほとんど育たなくなります。小さいまま冬を迎えると、甘くはなっても、収穫できる量が少なくなってしまいます。秋の種まきや植えつけを遅らせないことが、冬の甘い野菜の第一歩です。
秋のうちは、発芽や生育を助けるために、不織布やトンネルで保温することもあります。この保温は、株を大きく育てるためのものです。
手順3:寒さに当てて、甘くする
冬になって、株が収穫できる大きさに育ったら、今度は寒さに当てて甘くします。
ここで大事なのは、不織布やトンネルの使い方を切りかえることです。
- 育てているあいだ:保温して、株を大きくする
- 収穫が近づいたら:覆いを外して、冷たい外気に当てる
同じ不織布でも、「育てるために守る」ときと、「甘くするために外す」ときがある、ということです。ここを意識するだけで、冬の野菜の味はぐっと変わってきます。覆いをいつ外すかは、畑の野菜の大きさと、天気予報の寒さを見ながら決めてください。
冬の保温の使い分け
冬の野菜を育てるときは、保温の道具を目的に合わせて使い分けます。
- 不織布のべたがけ:野菜の上に直接ふんわりかける。霜よけや、寒風よけに。光と水を通すので、かけたまま育てられる
- ビニールトンネル:支柱でアーチを作って、ビニールをかぶせる。中の温度がぐっと上がるので、冬のあいだも株を育てられる
- 防虫ネットのトンネル:保温の力は弱いが、風や鳥よけにもなる
ほうれん草や小松菜を冬のあいだに大きく育てたいなら、ビニールトンネルで保温します。そして収穫が近づいたら、トンネルを外して寒締めする。これが、冬の葉物を甘く大きく育てる流れです。
晴れた日のトンネルの中は、冬でも暑くなることがあります。昼はすそを少し開けて換気し、夕方には閉めて保温してください。
秋の不織布は、育てるため
秋に種をまいた葉物やにんじんには、不織布をかけて、発芽や初めの育ちを助けることがあります。
- 発芽まで:土の乾燥を防ぎ、温度を保つ
- 小さいうち:寒風や霜から守る
- 虫よけ:秋はまだ虫が多いので、不織布や防虫ネットで覆う
にんじんのように、不織布を使わずに、株元に土を寄せて寒さから守る方法もあります。秋じゃがいもは、葉が元気なうちは防寒して葉を生かし、枯れ始めたら霜から芋を守るために早めに掘る、という使い分けがされます。
秋の覆いは「育てるため」、冬の終わりに外すのは「甘くするため」。目的を意識して使い分けてください。
手順4:ほうれん草の寒締め
寒締めは、収穫の少し前に、わざと寒さにさらして甘みを増やす方法です。ほうれん草でよく行われます。
- 草丈が10〜15cmくらい、収穫できる大きさに育っていることを確かめる
- トンネルで育てているなら、ビニールを外すか、すそを大きく開ける
- 冷たい外気に、1〜2週間くらい当てる
- そのあと収穫する
寒さに当たると、ほうれん草は葉を地面に広げるように、平たく開いて育つことがあります。これは、寒さに耐えているサインです。
ほうれん草の糖度は、ふつうは3〜4度くらいですが、寒締めをすると15度前後まで上がることがある、と紹介されることもあります。甘いりんごと同じくらいの甘さですね。
手順5:寒締めの期間を決める
寒締めの期間には、いくつかの説明があります。
- 関東などの地域で、2月にトンネルを外して、約2週間冷気に当ててから収穫する
- 日本ほうれん草を大きく育ててから防寒を外し、1週間寒風にさらしてから収穫する
- 収穫の1週間前に、覆いを外す
地域の寒さや、その年の気温によって変わります。寒さが厳しい地域なら短めに、暖かい冬なら長めに、と考えてください。
手順6:黒マルチも外す、という方法
暖かい冬で、なかなか寒さが当たらないときや、水はけが少し悪い畑では、トンネルを外すだけでなく、黒いマルチも外す、という方法も紹介されています。黒いマルチは、地温を上げて乾燥を防いでいるので、外すと土が冷えて、寒さがより伝わるという考え方です。
ただし、これは「そこまでやらなくてもいい」という前置きつきの追加の方法です。まずはトンネルを外すだけで試してみてください。
手順7:採る時間帯を選ぶ
冬の野菜は、採る時間帯でも味が変わります。
- 葉物(ほうれん草、小松菜など):夕方に採ると甘い
- きゅうり、トマトなどの実:朝に採るとみずみずしい
- 根菜(大根、にんじんなど):時間帯はあまり気にしなくていい
葉物は、昼のあいだに光合成で作った糖が、夕方には葉にたまっています。晴れた日ほど、たくさんの糖が作られます。夜になると、その糖は根や体のほかの部分へ運ばれていきます。だから、朝に採った葉物はシャキッとみずみずしく、夕方に採った葉物は甘みが強い、というわけです。
ほうれん草で、朝と夕方の糖度を測り比べてみたところ、夕方のほうがかなり高かった、という話もあります。
手順8:採りどきを逃さない
甘くなった野菜も、採りどきを逃すと、味が落ちてしまいます。
- 大根:冬を越して春が近づくと、根の中に空洞(す)ができたり、花を咲かせようとして茎が伸びてきたり(とう立ち)して、かたくなる
- ほうれん草:春が近づくと、とう立ちして葉がかたくなる
- 玉レタス:かたく巻いたら、すぐに収穫する
- ブロッコリー:つぼみが開いて黄色い花が咲く前に収穫する
- 里芋・さつまいも:霜が降りる前に掘り上げる(霜にあたると傷む)
手順9:採り方でも、味を保つ
- 葉物:株ごと抜かずに、外側の葉から摘みとると、長く収穫できる
- 白菜:外側の葉をひもで縛って、頭をまとめておくと、寒さや霜から守れて、畑に置いたまま少しずつ収穫できる
- にんじん:葉を切り、上から土をかけておくと、畑に置いたまま保存できる
- 葉物を持つとき:葉の先ではなく、根元のほうを持つと、葉を傷めにくい
冬の野菜を甘く育てる5つのコツ
- 秋のうちに株を大きく育てておく
- 冬の野菜に向いた品種を選ぶ
- 収穫が近づいたら、覆いを外して寒さに当てる
- 葉物は夕方に収穫する
- 春の気配を感じたら、とう立ち前に収穫を終える
トンネルの中のアブラムシに注意
ビニールトンネルの中は、冬でも暖かく、雨や風も当たりません。野菜にとってはありがたい環境ですが、アブラムシにとっても住みやすい場所になります。
冬は虫が少ないと思いがちですが、トンネルの中では、アブラムシが静かに増えていることがあります。晴れた日に換気するついでに、葉の裏ものぞいてみてください。寒締めでトンネルを外すときにも、虫がついていないか確かめておきましょう。
野菜ごとの甘さのポイント
ほうれん草
冬の甘さの代表です。寒締めで、いちばん違いが分かりやすい野菜でもあります。日本ほうれん草は、冬に収穫すると甘みが増し、茎の根元が赤くなります。この赤い部分に、糖がたまっていると言われます。
白菜
寒さにあたると、甘みが増します。外葉を縛って畑に置いておけば、冬のあいだ少しずつ収穫できます。鍋に入れると、冬の白菜の甘さがよく分かりますよ。外側の葉より、内側の黄色い葉のほうが、甘みが強いと感じる方も多いと思います。
大根
冬の大根は、甘くてみずみずしいと言われます。ただし、春が近づくとすが入ったり、とう立ちしたりするので、冬のうちに収穫を終えるのが目安です。
にんじん
雪の下で冬を越したにんじんは、とても甘い、という話がよく聞かれます。寒さから身を守るために、体の中で糖を作るからです。畑に土をかけて保存しておくと、冬のあいだ甘いにんじんが楽しめます。
キャベツ
冬どりのキャベツは、寒さで甘みが増します。種袋に糖度が書かれている品種もあります。
スイスチャード
赤や黄色、白のカラフルな茎がきれいな葉物です。真冬に収穫すると、苦みが少なく、甘みが詰まっている、と説明されます。
小松菜・春菊・水菜
冬の小松菜は、寒さにあたると、葉が厚くなって甘みが増します。春菊は、寒さで香りがおだやかになり、えぐみが少なくなると言われます。水菜も、冬に収穫すると、シャキシャキとした食感と甘みが楽しめます。
どれも、外側の葉から摘みとるか、株ごと収穫して、冬のあいだ少しずつ楽しめます。
ブロッコリー・芽キャベツ
ブロッコリーは、寒さにあたると、つぼみが紫っぽく色づくことがあります。これは、寒さから身を守るための色素で、食べても問題ありません。ゆでると緑色に戻ります。
芽キャベツは、寒さにあたると甘みが増す野菜のひとつです。茎のまわりについた小さなキャベツを、下から順に収穫していきます。
ねぎ・かぶ
冬のねぎは、寒さにあたると、白い部分がやわらかく、甘くなります。焼くと、とろりとした甘さが楽しめます。冬のねぎは、鍋に欠かせない名脇役ですね。鍋に入れると、とろっとした甘さが楽しめます。
かぶも、冬に収穫すると甘みが増します。煮物にすると、やわらかく、甘みが引き立ちます。根だけでなく、葉もおいしく食べられます。
いちごの甘さは、葉で決まる
いちごも、冬から春にかけて甘くなる果物ですが、甘くするためのポイントは少し違います。
いちごの甘さは、葉で作られた糖が、実に送られて決まります。だから、葉を大きく元気に育てて、光合成をたっぷりさせることが大切だ、と説明されます。そのためには、植えつけを遅らせないこと、極端に乾燥させないことが大事です。寒さに当てて甘くする葉物や根菜とは、考え方が違うんですね。
さつまいもは、別のしくみ
さつまいもも甘い野菜ですが、甘くなるしくみは少し違います。さつまいもは、掘り上げたあと、しばらく保存しておくことで、でんぷんが糖に変わって甘くなります。冬の畑で寒さに当てて甘くするのとは、別の話です。
鳥から守る方法
- 防鳥ネット:野菜全体を覆う。すそをしっかり押さえて、鳥が下からもぐりこまないようにする
- テグス(細い釣り糸):支柱を立てて、野菜の上に何本か張る。鳥が羽を引っかけるのをいやがって、寄りにくくなる
- 不織布:かけておくと、鳥から葉が見えにくくなる
冬のブロッコリーや白菜、キャベツは、ヒヨドリに特にねらわれやすい野菜です。葉が食べられ始めたら、すぐに対策をしてください。
畑での保存のしかた
冬の野菜は、畑に置いたまま保存できるものが多くあります。食べる分ずつ収穫すれば、いつでも新鮮な野菜が楽しめます。
大根
- 寒さが厳しくなる前に、葉を切り落とす
- 土を掘って、大根を斜めに寝かせるように埋め、上から土をかぶせる(土中保存)
- または、畑に植えたまま、首の部分に土を寄せて寒さから守る
土の中は、外の空気より温度が安定しているので、凍りにくく、乾きにくくなります。
にんじん
- 葉を短く切って、上から土をかぶせておく
- 食べる分ずつ掘り上げる
にんじんは、土をかけておけば、冬のあいだ畑で保存できます。寒さにあたって、ますます甘くなりますよ。掘りたてのにんじんを、生でかじってみると、その甘さに驚くはずです。
白菜
- 外側の葉を持ち上げるように集めて、上のほうをひもで縛る
- 霜や寒風から、中の葉を守れる
- 食べるときに、1株ずつ収穫する
縛っておくと、外側の葉が傷んでも、中はきれいなまま保てます。
ねぎ
- 畑に植えたまま、土を寄せておく
- 食べる分ずつ掘り上げる
ねぎは寒さに強いので、冬のあいだ畑に置いておけます。
甘い野菜は、鳥にも狙われる
冬は、鳥の被害が増える
冬の野菜が甘くなると、それをねらってくるのが鳥です。特にヒヨドリは、冬になると、ブロッコリーや白菜の葉をぼろぼろに食べてしまうことがあります。
冬は、鳥にとってもえさが少ない季節です。そこへ甘い葉物が並んでいるわけですから、ごちそうに見えるんですね。甘く育った証拠でもあるのですが、せっかく育てた野菜を食べられてしまうのはくやしいですよね。寒締めでトンネルを外すときも、鳥の被害が出やすい畑なら、防鳥ネットをかけておくと安心です。
冬の収穫のときの注意
- 霜が降りた朝は、葉が凍っていて傷みやすいので、日が高くなってから収穫する
- 凍った野菜を、凍ったまま強くさわったり、折り曲げたりしない
- 収穫したら、乾燥しないように新聞紙で包んで、涼しい場所に置く
- 土のついた根菜は、洗わずに保存すると長持ちする
冬は、収穫したあとの保存にも向いた季節です。畑と台所をうまく使い分けて、甘い冬の野菜を長く楽しんでください。
失敗の見分け方
寒締めしたのに、甘くならなかった
- 寒さに当てる期間が短かった
- その冬が暖かく、十分に冷えなかった
- 株が小さすぎた
- 採る時間帯が朝だった(葉物は夕方のほうが甘い)
寒締めしたら、葉が傷んだ
急に強い寒さに当てると、葉が凍って傷むことがあります。特に、トンネルの中で暖かく育っていた株を、いきなり厳しい寒さにさらすと傷みやすいです。寒さが厳しい地域では、すそを開けて少しずつ外気に慣らす、不織布に切りかえる、などの方法もあります。
葉が赤紫っぽくなった
ほうれん草やキャベツ、ブロッコリーの葉が、寒さで赤紫っぽくなることがあります。これは、寒さから身を守るための色素が増えたためで、多くの場合は心配いりません。暖かくなれば、新しい葉は元の色に戻ります。
大根にすが入っていた
収穫が遅れて、春が近づいた可能性があります。冬のうちに収穫を終えるか、畑で保存するなら、葉を切って土をかけておく方法を試してみてください。
ほうれん草がかたくなった
とう立ちが始まっている可能性があります。春が近づいたら、早めに収穫を終えましょう。
説明が分かれていること
寒締めの期間:1週間か、2週間か
- 関東などで、約2週間冷気に当ててから収穫する、という説明
- 日本ほうれん草を、1週間寒風にさらしてから収穫する、という説明
- 収穫の1週間前に覆いを外す、という説明
地域や品種、その年の寒さで変わります。1週間から2週間くらい、と幅をもって考えてください。
黒マルチまで外すか
- トンネルを外すだけで十分、という考え方
- 暖かい冬や水はけの悪い畑では、黒マルチも外すと、より寒さが伝わる、という考え方
黒マルチを外す方法には、話している人自身が「諸説ある」「そこまでやらなくてもいい」と前置きしています。必須の作業ではありません。
甘さの数字
ほうれん草の糖度について、「ふつうは3〜4度、寒締めで15〜17度くらいまで上がると言われる」という紹介や、「朝と夕方で10度近く差があった」という測定の話があります。
ただ、これらは測った条件がそれぞれ違うので、「必ずこの数字になる」とは考えないでください。甘さが増す傾向がある、という目安として受け取ってください。
加熱すると甘くなるのか
キャベツなどを加熱すると甘くなる、という話もあります。ただ、話している人自身が、「糖度が上がるというより、甘く感じる」と言い直しています。加熱で甘く感じることと、寒さで糖度が上がることは、別の話として考えてください。
よくある質問
Q. 寒締めは、ほうれん草以外でもできますか?
A. 小松菜や春菊、白菜、キャベツなど、冬の葉物の多くは、寒さにあたると甘みが増します。ほうれん草ほど違いがはっきり分からないこともありますが、覆いを外して寒さに当ててから収穫する、という考え方は同じです。
Q. 糖度計はどこで買えますか?
A. 果物や野菜の糖度を測る「屈折式の糖度計」は、数千円くらいから手に入ります。園芸店やインターネットの通信販売などで探してみてください。野菜をしぼった汁を数滴たらして、のぞくだけで糖度が分かります。朝と夕方、寒締めの前と後で測り比べてみると、甘さの変化が数字で見えて楽しいですよ。
Q. 雪が積もっても大丈夫ですか?
A. ほうれん草や白菜、大根、にんじんなどは、雪の下でも冬を越せることが多いです。雪がかぶると、かえって強い寒風や凍結から守られることもあります。ただ、重い雪で葉が折れたり、雪が解けたあとに傷んだりすることもあるので、ようすを見ながら早めに収穫してください。
Q. 霜にあたった野菜は、食べても大丈夫ですか?
A. 霜にあたって少し葉が傷んだくらいなら、傷んだ部分を取り除けば食べられます。むしろ、霜にあたるような寒さを経験した葉物は、甘みが増していることが多いです。ただ、里芋やさつまいもは、霜にあたると芋が傷みやすいので、霜が降りる前に掘り上げてください。
Q. お店のほうれん草より、自分で育てたほうが甘いのはなぜですか?
A. 冬の畑で寒さにじっくり当たったほうれん草は、甘みが増しています。お店に並ぶほうれん草の多くは、ハウスなどで寒さにあまり当たらずに育っていたり、収穫から時間がたっていたりします。また、夕方に採って、その日のうちに食べれば、葉にたまった糖を逃さずに味わえます。収穫してすぐに食べられるのは、家庭菜園ならではのぜいたくですね。
Q. 寒締めのタイミングが分かりません
A. 株が収穫できる大きさに育っていて、冬の寒さがいちばん厳しい時期を少し過ぎたころ(2月ごろ)が、ひとつの目安です。株が小さいうちに寒さに当てると、育ちが止まってしまうので、まずは大きく育ててから、と考えてください。
Q. 冬の葉物が、鳥に食べられてしまいました
A. 冬は鳥のえさが少ないので、甘くなった葉物はねらわれやすくなります。防鳥ネットや不織布で覆うか、テグスを張って守ってください。食べられた外葉は、株が元気なら、また内側から新しい葉が育ってきます。
Q. 暖かい地域でも、冬の野菜は甘くなりますか?
A. 寒さが弱いぶん、甘みの増え方は控えめになることがあります。それでも、冬の夜の冷えこみで、ある程度は甘くなります。寒締めでトンネルを外したり、夕方に収穫したりする工夫を組み合わせると、甘さを引き出しやすくなります。
Q. プランターでも、冬の野菜は甘くなりますか?
A. なります。ベランダのプランターでも、冬の寒さにあたれば、ほうれん草や小松菜は甘みが増します。ただ、プランターは土の量が少ないので、畑より凍りやすく、乾きやすいです。厳しい寒さの夜は、プランターを壁ぎわに寄せたり、不織布をかけたりして守ってください。収穫の前に、数日間しっかり外の寒さに当てると、寒締めの効果が期待できます。
Q. 寒締めの前と後で、見た目は変わりますか?
A. 寒さにあたったほうれん草は、葉が地面に広がるように平たく開き、葉が厚く、色が濃くなることが多いです。日本ほうれん草なら、根元の赤みが強くなることもあります。見た目は少しごつごつしますが、そのぶん甘みがぎゅっと詰まっています。
Q. 冬の大根は、いつまで畑に置いておけますか?
A. 地域にもよりますが、寒さが厳しいうちは、畑に置いたまま少しずつ収穫できます。春が近づいて暖かくなってくると、すが入ったり、とう立ちしたりし始めるので、それまでに収穫を終えるのが目安です。気になる場合は、土中保存に切りかえてください。
Q. 冬の葉物は、どうやって収穫すると長く楽しめますか?
A. 株ごと抜かずに、外側の大きな葉から、必要な分だけかきとるように収穫すると、内側の新しい葉がまた育って、冬のあいだ長く楽しめます。小松菜や春菊、スイスチャードなどで使える方法です。ほうれん草は、株ごと収穫することが多いですが、大きい株から順に抜いていけば、残った株がまた大きくなります。
Q. 寒さで、葉がしおれたようにぐったりしています
A. 霜が降りた朝などは、葉の中の水が冷えて、一時的にぐったりして見えることがあります。日が当たって気温が上がると、元に戻ることが多いので、あわてずようすを見てください。霜で葉がしおれているときに触ると、葉が傷みやすいので、日が高くなってから作業するのがおすすめです。
Q. 冬の水やりは、どれくらい必要ですか?
A. 冬は土が乾きにくいので、畑の野菜には、ほとんど水やりはいりません。晴れが続いて土がからからに乾いたときだけ、暖かい日の午前中に水をやってください。夕方に水をやると、夜のあいだに土が凍ることがあります。トンネルの中は雨が当たらないので、ときどき土の乾き具合を確かめてください。
Q. 冬の野菜にも、肥料は必要ですか?
A. 寒い時期は、野菜の育ちがゆっくりになるので、肥料もあまり使いません。秋のうちに追肥をしておけば、冬のあいだは追加しなくても大丈夫なことが多いです。冬に肥料をやりすぎると、かえって寒さに弱くなる、とも言われます。
Q. 冬に種をまいても、甘い野菜はできますか?
A. 冬は寒くて、種をまいても芽が出にくく、育ちもゆっくりです。冬に甘い野菜を収穫するなら、秋のうちに種をまいて、寒くなる前に大きく育てておくのが基本です。冬にまくなら、トンネルで保温して、春の収穫を目指してください。
Q. 寒締めしたほうれん草は、どう食べるのがおすすめですか?
A. 甘みが増しているので、さっとゆでて、おひたしやごまあえにすると、甘さがよく分かります。寒締めしたほうれん草は、葉が厚くなっていることが多いので、ゆですぎないのがコツです。
Q. 子どもと一緒に、甘さを確かめる方法はありますか?
A. 朝に採ったほうれん草と、夕方に採ったほうれん草を、それぞれ少しゆでて食べ比べてみてください。糖度計があれば、数字でも比べられます。寒締めをした株と、トンネルの中に置いたままの株で比べるのもおもしろいですよ。
学ぶ🔬 工場を食べるか、倉庫を食べるか
ここからは、冬の野菜の甘さのしくみについて、少しだけ深く書いておきます。読み飛ばしても大丈夫です。
葉は工場、根は倉庫
植物の葉は、光を受けて糖を作る「工場」のようなものです。作られた糖は、夜のあいだに、根や茎などの「倉庫」へ運ばれて、でんぷんとしてたくわえられます。
葉物を食べるということは、工場を食べているということ。工場の中の糖の量は、作っている昼と、運び出したあとの朝とで、大きく変わります。だから、葉物は採る時間で味が変わるんです。
なぜ根菜は、時間帯を気にしなくていいのか
大根やにんじんなどの根菜は、倉庫を食べている野菜です。倉庫には、昼も夜も、たくわえられたものがたまっています。だから、採る時間帯で味が大きく変わることはありません。
根菜を甘くするのは、時間帯より、寒さです。寒さにあたると、倉庫のでんぷんを糖に変えて、凍らないようにする。冬の大根やにんじんが甘いのは、このためです。
なぜ糖があると、凍りにくいのか
水は0度で凍りますが、砂糖や塩が溶けた水は、0度より低い温度にならないと凍りません。濃い砂糖水ほど、凍りにくくなります。
野菜は、寒さを感じると、体の中のでんぷんを糖に変えて、細胞の中の水の糖の濃さを上げます。そうすることで、細胞の中の水が凍りにくくなり、細胞が凍って壊れるのを防いでいるんです。冬の野菜の甘さは、野菜が寒さから身を守るための、知恵の結果なんですね。
なぜ冬は、育ちがゆっくりになるのか
植物が光合成で糖を作る働きは、温度が低いとにぶくなります。また、冬は日が短く、光の量も少なくなります。作れる栄養が少ないので、体を大きくするスピードもゆっくりになるんです。
そのかわり、冬の野菜は、作った糖を、体を大きくすることより、寒さから身を守ることに使います。だから、冬の野菜は、大きくはならなくても、甘みがぎゅっと詰まっているんですね。
日本ほうれん草と西洋ほうれん草
ほうれん草には、葉の先がとがってぎざぎざした「日本ほうれん草(東洋種)」と、葉が丸くて厚い「西洋ほうれん草(西洋種)」があります。
日本ほうれん草は、寒さに強く、冬に収穫すると甘みが増して、とてもおいしいと言われます。ただ、暑さに弱く、春になるとすぐにとう立ちしやすい性質があります。西洋ほうれん草は、育てやすく、とう立ちしにくいのが特徴です。
今は、両方のよいところを合わせた品種がたくさんあります。冬の甘さを楽しみたいなら、日本ほうれん草の血を引く品種を選んでみてください。
なぜ春が近づくと、とう立ちするのか
ほうれん草や大根などは、冬の寒さを経験したあと、日が長くなってくると、それを合図に花を咲かせようとします。花を咲かせるための茎(とう)を伸ばし始めると、葉や根にたくわえていた栄養が、花のほうへ回されていきます。
その結果、葉はかたくなり、根にはすが入って、味が落ちてしまうんです。冬の野菜を甘いうちに収穫するには、春の気配を感じたら、早めに収穫を終えることが大切です。
糖度計は、光の曲がり方で甘さを測る
糖度計(屈折式)は、光が液体を通るときに曲がる性質を利用しています。糖がたくさん溶けた液体ほど、光が大きく曲がります。その曲がり具合を読みとって、糖度として表示しているんです。
野菜の汁を数滴たらすだけで測れるので、寒締めの前と後、朝と夕方、品種の違いなどを、数字で比べることができます。目に見えない甘さが数字で分かると、畑の工夫がもっと楽しくなりますよ。
なぜ朝の実はみずみずしいのか
夜のあいだ、野菜は根から水を吸い上げて、実や葉にたくわえます。昼になると、葉から水分がどんどん蒸発していきます。
だから、朝の実は水分をたっぷり含んでいて、みずみずしいんです。きゅうりやトマトを朝に採るとおいしいと言われるのは、このためです。
まとめ
ここまで読んでくださって、ありがとうございます!
冬の野菜が甘くなるポイントを、もう一度まとめておきます。
- 冬の野菜は、凍らないように、でんぷんを糖に変えて甘くなる
- 寒くなる前に、株をしっかり育てておく
- 育てるときは守り、収穫が近づいたら覆いを外して寒さに当てる
- ほうれん草の寒締めは、収穫できる大きさで、1〜2週間外気に当てる
- 葉物は夕方、実は朝、根菜は時間を気にしなくていい
- 採りどきを逃すと甘さは消える。大根のす、葉物のとう立ちに注意
- 白菜は縛って、にんじんは土をかけて、畑で保存
- 甘い冬の野菜は、鳥にも狙われる
冬の畑は、寒くて作業がつらい季節ですが、その寒さこそが、野菜をおいしくしてくれます。夕方に採る、寒さに当てる、採りどきを逃さない。ちょっとした工夫で、冬の食卓がぐっと豊かになります。
まずは、ほうれん草を夕方に1株採って、朝に採ったものと食べ比べてみてください🥬
屈折式糖度計(Brix 0〜32%)
この記事の主役です。朝と夕方のほうれん草を測ると、6度と12度がその場で出ます。葉を揉んで、汁をたらして、覗くだけ。お子さんの自由研究にも、これ以上ないと思います。
不織布
寒締めは「収穫の1週間前に外す」作業なので、まずかけておくものが要ります。かけっぱなしにできるので、外すタイミングだけ考えればよくなります。
剪定バサミ(収穫用)
葉物を抜かずに摘むとき、外葉をきれいに切れると株が傷みません。切り口がつぶれると、そこから傷みが入ります。