栽培日誌のつけ方|何を書くか・うねの配置図・失敗を翌年に生かす読み返し方
どうも、8150(えいこう)です🌱 家庭菜園歴8年、理科の教員免許を持っていて、有機・無農薬で野菜を育てています。
📖 この記事の目次
この記事で分かること
- 栽培日誌に書くのは『やった作業』『起きたこと』『原因の推測』の3つ。この3つを分けて書くのがいちばんのコツです。
- 記録しておくと翌年に効く項目を、チェックリストにしました。全部書かなくて大丈夫です。
- うねの配置図を1枚残しておくと、前の年に何を植えたかで迷わなくなります。
- 写真は「うまくいかなかったとき」こそ撮っておくと、あとで比べられます。
- 読み返すのは冬。苗を買う前に1年分を見直すと、同じ失敗をくり返しにくくなります。
- うまくいった・いかなかったを比べるときは、理科の「条件を1つだけ変える」考え方が役に立ちます。
家庭菜園って、毎年なにかしら「あれ、去年どうしてたっけ?」が出てきませんか。
種をまいたのはいつだったか、肥料をどれくらい入れたか、どのうねに何を植えていたか。その年はちゃんと覚えているつもりでも、1年たつと、びっくりするくらい忘れてるんですよね。
この記事では、むずかしい日誌ではなく「来年の自分が助かる記録」の残し方をまとめます。きっちり書く必要はまったくありません。まずは気楽にいきましょう☺️
早見:栽培日誌の基本(ひと目で分かるポイント)
まず押さえること
- 書く中身:『やった作業』『起きたこと』『原因の推測』の3つに分ける。
- 書く日:毎日でなくてOK。畑で何かをした日、何かが起きた日だけで十分。
- 最低限の項目:日付・場所(どのうね)・作物と品種・やったこと。
- あると助かる項目:天気や気温、肥料の種類と量、水やり、虫や病気が出た日、収穫の日と量。
- うねの配置図:1年に1枚。どこに何を植えたかが分かれば、前の年の作物で迷わない。
- 写真:日付つきで残る。特に、うまくいかなかったときの様子を撮っておく。
- 読み返す時期:冬。苗やタネを買う前に。
- 比べ方:同じ条件で、1つだけ変えて比べる。
月ごとに、記録しておきたいこと
- 1月:去年の日誌を読み返す。来年変えることを決める。うねの配置図を描く。
- 2〜3月:苗を育て始めた日、芽が出た日。土づくりで入れた堆肥や石灰。
- 4〜5月:苗を植えた日と、そのときの苗の様子。遅霜があった日。
- 6〜7月:虫が出始めた日。梅雨の長さ。支柱を立てた日。
- 8月:暑さで弱った作物。水やりの回数。夏野菜を片付けた日。
- 9〜10月:秋まきの種をまいた日。間引きの日。防虫ネットをかけた日。
- 11〜12月:収穫の量。霜が降りた日。片付けた日。集めた落ち葉。
毎月この全部を書く必要はありません。「その月に何を見ておくといいか」の目安として使ってください。
このポイントの使い方
ここまで読んで、「そんなに書くことあるの…」と思った方、安心してください。
最初は、日付と、やったことを1行書くだけで十分です。
「10/5 Aのうね 大根まく」
これだけでも、来年の10月に「去年は5日にまいてたな」と分かります。慣れてきたら、少しずつ項目を足していけばいいんです。
記録って、続けることがいちばん大事なので、最初から完ぺきを目指すと疲れてやめてしまいます。ゆるく始めて、ゆるく続ける。これがいちばん長持ちするコツかなと思います。
作業の手順(1年の流れ)
1. 書くのは「作業・起きたこと・原因の推測」の3つ
栽培日誌でいちばん大事なのは、書く中身を3つに分けることです。
『やった作業』
- 種をまいた、苗を植えた、肥料を入れた、水をやった、ネットをかけた、収穫した、など
- いつ、どこで、何を、どれくらい、をできる範囲で
『起きたこと』
- 芽が出た、葉が黄色くなった、虫がついた、実が割れた、など
- 目で見て分かった事実だけを書く
『原因の推測』
- 「水のやりすぎかもしれない」「植えるのが遅かったのかも」など
- 自分が疑ったこと
ここでのポイントは、『起きたこと』と『原因の推測』を、ぜったいに混ぜないことです。
たとえば「水のやりすぎで根がくさった」と書いてしまうと、それが事実なのか、自分の思いこみなのか、来年には区別がつかなくなります。
「葉がしおれた(起きたこと)。水のやりすぎかもしれない(推測)」
こう分けて書いておけば、来年読み返したときに「本当に水のせいだったのかな?」と、もう一度考え直せるんです。
書き方の見本(大根の場合)
イメージしやすいように、大根を1シーズン育てたときの書き方を見本にしてみました。
(これは書き方の例として作ったもので、実際の記録ではありません。)
9月10日 Bのうね
- 作業:大根の種をまく。品種は種袋の写真あり。1か所に4粒。
- 起きたこと:とくになし。
- 推測:なし。
9月14日 Bのうね
- 作業:なし。
- 起きたこと:芽が出そろう。端の2か所だけ出ていない。
- 推測:端は水が乾きやすいのかもしれない。
9月25日 Bのうね
- 作業:1回目の間引き。1か所2本に。
- 起きたこと:葉に小さな穴がいくつか。
- 推測:虫かもしれない。防虫ネットを早めにかければよかったかも。→来年確かめる
10月20日 Bのうね
- 作業:2回目の間引き。1か所1本に。追肥。
- 起きたこと:葉の色がこい。元気そう。
- 推測:なし。
12月5日 Bのうね
- 作業:収穫を始める。
- 起きたこと:何本か、根が二股に分かれていた。
- 推測:土の中に石や、かたまりがあったのかもしれない。耕し方が浅かったのかも。→来年は深く耕して比べる
こんなふうに、1回の書きこみは数行で十分です。「→来年確かめる」と書いておくと、冬に読み返したときに、見るべきところがすぐ分かりますよ。
2. 記録しておくと翌年に効く項目
全部を書く必要はありません。自分に必要なものだけ選んでくださいね。
作物について
- 作物の名前と品種(品種名は種袋や苗の札に書いてあります)
- 種をまいた日、苗を植えた日
- 苗を買ったお店(どこで買うかで、苗の状態が変わることがあります)
- 芽が出た日
土と肥料について
- 入れた肥料の種類と量
- 堆肥や腐葉土を入れた日
- 石灰を入れた日と量
管理について
- 水やりの様子(毎日やったか、雨まかせだったか)
- 防虫ネットや不織布をかけた日、外した日
- 支柱を立てた日
- 追肥をした日と量
起きたことについて
- 虫や病気が出た日と、そのときの様子
- 天気の大きな変化(長雨、猛暑、台風、早い霜など)
- 収穫を始めた日、終わった日、だいたいの量
- 片付けた日
ふり返り用に
- うまくいったこと
- うまくいかなかったこと
- 来年やってみたいこと
作物ごとに、とくに記録しておきたいこと
作物によって、あとで効いてくる記録がちがいます。よく育てる作物で、覚えておくと便利なものをまとめました。
- トマト:わき芽をかいた日、実が割れた日、雨が続いた時期。実が割れたとき、直前の天気が分かると原因の見当がつきます。
- なす:最初の花が咲いた日、葉の色、水やりの回数。水が足りないと育ちに出やすい作物です。
- きゅうり:つるが伸び始めた日、収穫を始めた日と終わった日。いつまで穫れたかが分かると、次の年の植え付けをずらす目安になります。
- 大根:種をまいた日、間引きの日、根の形(まっすぐか、分かれていたか)。
- にんじん:種をまいた日、芽が出るまでの日数、雨の様子。芽が出るかどうかで、その年の結果がほぼ決まる作物です。
- 玉ねぎ:植えた日、苗の太さ、最後に追肥をした日。苗の太さと植えた時期は、春の育ちに大きく関わります。
- じゃがいも:植えた日、芽かきの日、土寄せの日、収穫した日。
- 葉物(小松菜・ほうれん草など):種をまいた日、虫が出た日、防虫ネットをかけた日。
全部の作物でやらなくても大丈夫です。毎年育てている作物から始めると、記録がたまるのが早くて、続けやすいですよ。
虫や病気が出たときに残しておきたいこと
虫や病気は、出たときの記録があるかないかで、翌年の手の打ち方が大きく変わります。名前が分からなくても大丈夫。見たままを残しておけば、あとで調べられます。
- 出た日:何月何日ごろに出たか。毎年同じ時期に出る虫は、翌年は先回りして防げます。
- 場所:うねの端か、まん中か。1株だけか、広がっているか。端から広がるなら、外から入ってきている可能性があります。
- どこについていたか:葉の表か裏か、新しい芽か、古い葉か、実か、根もとか。
- 様子:穴があいている、白くなっている、しおれている、黒いふんが落ちている、など。
- 写真:葉の表と裏の両方。虫がいたら、近くで1枚。
- やったこと:手で取った、ネットをかけた、株ごと抜いた、など。
- その後:やったことで、おさまったか、広がったか。
最後の「その後」がとても大事です。手で取って何日後にまた出てきたのか、抜いたら広がらなかったのか。これが分かると、次に同じことが起きたとき、どこまでやればいいかの目安になります。
苗を育てるときに残しておきたいこと
家で苗から育てる人は、苗の記録もおすすめです。苗づくりは、毎年少しずつコツがつかめてくる作業なので、記録の効果がとくに出やすいところです。
- 種をまいた日と、芽が出た日:何日で芽が出たかが分かります。
- 置いた場所と、温めたかどうか:室内か外か、日当たりはどうだったか。
- 苗を植えた日と、そのときの苗の様子:葉が何枚あったか、ひょろっとしていなかったか。
- 植えてからの様子:植えてすぐ元気に育ったか、しばらく止まったか。
「何日くらい苗を育てたら、植えるのにちょうどいい大きさになるか」は、自分の家の環境で変わります。記録を何年か残すと、自分の家の場合の目安が分かってきますよ。
3. 失敗しやすいポイントは、先に「見張り項目」にしておく
家庭菜園の失敗って、むずかしいテクニックの失敗よりも、基本のところでつまずいていることが多いんです。よくあるのはこのあたりです。
- 植えたい苗を先に買ってしまい、植える場所をあとから考える
- 肥料を入れすぎる
- 水をやりすぎる
- 植える時期がずれる
- 苗をどこで手に入れるか決めていない
日誌に、この5つを「見張り項目」として最初から書いておくのもおすすめです。うまくいかなかったときに、まずこの5つを順番に確かめると、原因の見当がつけやすくなります。
4. うねの配置図を1枚描く
畑全体の図を、1年に1枚だけ描いておきます。
描き方はとってもかんたんです。
- 畑を上から見た形で、四角を描く
- うねを線で区切って、A・B・C…と名前をつける
- それぞれのうねに、植えた作物と、植えた日を書く
- 同じうねで作物が変わったら、矢印で後作を書き足す
- 北がどっちか、日陰になる場所、水がたまりやすい場所も書いておく
これがあると、「去年このうねに何を植えたっけ?」で迷わなくなります。
もうひとつ大事なのが、まわりの様子です。
たとえば、となりのうねに植えたかぼちゃのつるが思ったより広がって、日当たりが悪くなってしまうことがあります。収穫してみて「なんか今年は小さいな」と思ったとき、配置図に「となりにかぼちゃ」と書いてあれば、原因の見当がつきます。翌年は配置を変えよう、と考えられるんです。
5. 配置図だけで、連作障害は防げない
ここは、誤解しやすいところなのでお伝えしておきます。
配置図があれば、前の年に何を植えたかは分かります。でも、それだけで病気や連作障害を確実に防げるわけではありません。図は「土の中の状態」までは教えてくれないからです。
育ちが悪かったとき、つい「前の年に同じ仲間を植えたからだ」と考えがちです。でも、原因はほかにもたくさん考えられます。
- 水はけが悪い
- 肥料が多すぎる、少なすぎる
- 水のやりすぎ、足りない
- 株と株の間がせまい
- 日当たりが悪い
- その年の天気
前の年の作物だけで決めつけず、これらと一緒に照らし合わせてみてください。そのときに、2で挙げた記録が役に立ちます。
6. 写真を撮る
写真は、日付が自動で残るので、記録としてすごく便利です。文字を書くのがめんどうな日は、写真を1枚撮るだけでもOKです。
撮っておきたいのは、こんな場面です。
- 植えた直後(あとで、どれくらい育ったか比べられる)
- 葉の色や形がおかしいとき
- 虫がたくさんついたとき
- 収穫したもの
特に、「虫が多いな」「なんか様子が変だな」と思ったときこそ撮ってください。
よくあるのが、「あのとき写真を撮っておけばよかった」というパターンです。いざ比べようと思っても、記憶だけでは「どれくらい虫がいたか」が分からないんですよね。様子がおかしいと思った瞬間が、いちばんのシャッターチャンスです。
7. 比べたいときは、条件をそろえる
「この資材を使ったら虫が減った気がする」
こういうとき、本当に資材のおかげなのかを確かめるには、比べ方に工夫がいります。
- 資材を使った場所と、使っていない場所を両方つくる
- 使う前と、使った後の様子を写真で残す
- 同じ時期に、同じ作物で比べる
使った場所だけを見て「減った」と感じても、もしかしたら、ちょうど虫が減る時期だっただけかもしれません。使っていない場所と比べてはじめて、資材の効果かどうかが見えてきます。
8. 冬に1年分を読み返す
日誌は、書いただけでは役に立ちません。読み返して、はじめて来年に生きてきます。
読み返すのにいちばんいいのは、冬です。
- 畑の作業が少なくて、時間がある
- まだ苗やタネを買う前
- 1年分の記録がそろっている
読み返すときは、こんな順番がおすすめです。
- 「うまくいかなかったこと」を全部書き出す
- それぞれ、記録の『起きたこと』と『原因の推測』を見直す
- 来年、何を変えるかを1つずつ決める
- うねの配置図を見ながら、来年の配置を考える
- 決まってから、苗やタネを買う
ここでのポイントは、5番目です。苗を先に買ってしまうと、置き場所に困って、計画がくずれてしまいます。配置と、そのあとに何を植えるかまで決めてから買うのが、失敗しにくい順番です。
春に植えるものだけでなく、秋に植えるものまで、1年分をまとめて考えておくと、うねの使い回しがスムーズになります。
9. 作業量もふり返る
うまくいかなかった原因が、「育て方」ではなく「手が回らなかったこと」だった、ということもよくあります。
- 植えすぎて、手入れが追いつかなかった
- 畑が遠くて、見に行く回数が減った
- 暑い時期に、見回りができなかった
こういうことも、日誌に書いておいてください。翌年は、育てる種類や面積を少しへらす、という判断ができます。
全部を完ぺきに育てようとするより、目が届く量にしぼったほうが、結果的にたくさん穫れることもあるんです。
10. 何年分かを並べて見る
土づくりの効果は、1年でがらっと変わるものではありません。何年かかけて、少しずつ変わっていくものです。
だからこそ、日誌は何年分か残しておくと、本当の力を発揮します。
- 同じうねで、年ごとにどう育ちが変わったか
- 毎年同じ時期に、同じ虫が出ていないか
- まく時期を変えたら、結果がどう変わったか
1年だけでは「たまたま」なのか分からないことも、何年分か並べると見えてくることがあります。
11. 記録を使って、原因をしぼる(例)
日誌がいちばん力を発揮するのは、うまくいかなかったときです。よくある3つの場面で、記録をどう使うかを見てみます。
場面① 葉が全体的に黄色っぽい
- 記録で確かめること:肥料を入れた日と量、堆肥や腐葉土を入れた日、雨の様子。
- 見えてくること:肥料をほとんど入れていなければ、栄養が足りていないのかもしれません。植える直前に、分解しきっていない堆肥や腐葉土を入れていたなら、土の中の栄養がそちらに使われている可能性もあります。雨が何日も続いていたなら、根が弱っているのかもしれません。
- ポイント:記録がなければ「なんとなく肥料かな」で終わってしまうところが、候補を3つにしぼれます。
場面② 種をまいたのに、芽が出ない
- 記録で確かめること:まいた日、まいたあとの天気、かけた土の厚さ、種の袋(古い種ではなかったか)。
- 見えてくること:まいた直後に雨が続いていれば種が流れたのかもしれません。乾いた日が続いていれば水が足りなかったのかもしれません。土を厚くかけすぎていると、芽が地上まで出てこられないこともあります。
- ポイント:「いつまいて、そのあとどうだったか」が分かるだけで、次にまくときに気をつけることがはっきりします。
場面③ トマトの実が割れた
- 記録で確かめること:割れた日の直前の天気、水やりの様子。
- 見えてくること:乾いた日が続いたあとに、急に大雨が降っていたなら、実が急に水を吸って割れたのかもしれません。
- ポイント:天気の記録があると、育て方のせいなのか、天気のせいなのかを分けて考えられます。天気のせいなら、雨よけを考えるなど、手の打ち方が変わってきます。
どの場面でも、記録が教えてくれるのは「答え」ではなく「候補」です。候補がしぼれたら、次の年に1つずつ確かめていけばいいんです。
12. 翌年の配置を決める(例)
冬の読み返しで、配置図がどう役に立つかも見てみます。
去年の配置図に、こう書いてあったとします。
- Aのうね:トマト(春〜夏)→ 秋は空き
- Bのうね:大根(秋〜冬)
- Cのうね:なす(春〜夏)→ 秋に玉ねぎ
- メモ:Cのうねは、となりの家の陰で午後は日が当たらない
ここから、今年の配置を考えます。
- トマトとなすは同じナス科なので、去年のAとCは、今年は別の仲間の野菜にする
- Cは午後に日が当たらないので、日当たりがいる夏野菜より、少し日陰でも育つ葉物が向いているかもしれない
- Aは秋が空いていたので、今年は秋に何を植えるかまで先に決めておく
こんなふうに、配置図と一緒に「気づいたこと」をメモしておくと、翌年の計画がぐっと立てやすくなります。
13. 続けるためのコツ
記録は、続かなければ意味がありません。続けやすくするために、私がおすすめしたいことをいくつか挙げておきます。
- 書く場所を1つに決める:あちこちに書くと、読み返すときに集められなくなります。
- 畑から帰ったら、すぐ書く:時間がたつと、何をしたか忘れてしまいます。
- 書けない日は、写真だけ撮る:夜にその写真を見ながら、1行だけ書き足せば十分です。
- ゆるく書く:誤字も、きれいな字も気にしない。自分が読めればOKです。
- 書けなかった日があっても、気にしない:何日か空いても、また書き始めればいいだけです。
いちばん大事なのは、やめないことかなと思います。完ぺきな記録より、続いている記録のほうが、ずっと役に立ちますよ☺️
失敗の見分け方(症状→原因→やること)
日誌が続かない
- 症状:最初の何日かは書いたけど、すぐ書かなくなった。
- 考えられる原因:毎日書こうとしている。項目が多すぎる。書く場所が手もとにない。
- やること:書くのは動いた日だけにします。項目は日付とやったことだけにしぼります。スマホのメモや写真など、すぐ手に取れるものに変えます。
読み返しても、原因が分からない
- 症状:記録はあるのに、なぜうまくいかなかったのかが分からない。
- 考えられる原因:『起きたこと』しか書いていない。日付や場所があいまい。
- やること:次の年からは、そのときに疑ったこと(原因の推測)も一緒に書きます。「分からない」と書くのもOKです。
去年うまくいったのに、今年はうまくいかない
- 症状:同じやり方をしたのに、結果がちがう。
- 考えられる原因:天気、前の年に植えた作物、となりの作物、苗の状態など、やり方以外の条件が変わっている。
- やること:去年と今年の記録を並べて、ちがうところを探します。「同じ方法だから同じ結果になる」とは限らないので、条件のちがいを1つずつ確かめます。
毎年同じ失敗をくり返す
- 症状:毎年、同じ時期に同じ失敗をしている。
- 考えられる原因:冬に読み返していない。読み返しても、来年何を変えるか決めていない。
- やること:冬に「来年変えること」を1つ決めて、日誌の最初のページに書いておきます。春になったら、それを見てから作業を始めます。
記録が多すぎて、読み返すのがつらい
- 症状:たくさん書いたけど、読み返す気にならない。
- 考えられる原因:大事なこととそうでないことが混ざっている。
- やること:うまくいかなかったことに、印をつけておきます。冬は、印のところだけ読むようにすると、ぐっとラクになります。
説明が分かれていること
連作を、どこまで気にするか
- 気にしすぎなくてよいという説明:少しずつたくさんの種類を育てる無農薬の家庭菜園なら、連作をそこまで気にしすぎず、好きな野菜や、土・日当たりに合うかを優先してよい。そのうえで、できれば同じ仲間を続けないようにする。
- 同じ仲間を続けないほうがよいという説明:同じ科の野菜を続けると、土の中の菌や栄養のバランスがかたよる。
- 場所を数年あけるという説明:なすやトマトなどのナス科を育てた場所は、3年ほどあける。
- どう考えればよいか:どれが正しい、というより、畑の広さや育て方で変わります。日誌と配置図で前の年の作物が分かっていれば、自分の畑ではどこまで気にすればよいか、自分で判断できるようになります。
土づくりの効果は、何年で見るか
- 数年かけて見るという説明:土は1年でよくなるものではなく、何年もかけて変わっていく。毎年続けないと効果が出にくい。
- どう考えればよいか:これは、1年の結果だけで決めつけないほうがよい、ということでもあります。何年分かの記録を並べて、少しずつの変化を見ていくのがおすすめです。
よくある質問
毎日書かないといけませんか
いいえ、毎日でなくて大丈夫です。畑で何か作業をした日、何かが起きた日だけ書けば十分です。
何もなかった日まで書こうとすると、書くこと自体がしんどくなってしまいます。
何に書けばいいですか
続けやすいものなら、何でも大丈夫です。
- 紙のノート:書いていて楽しい。配置図も描きやすい。
- スマホのメモ:いつも持ち歩いているので、畑ですぐ書ける。
- 写真:日付が自動で残る。書くのがめんどうな日でも続けやすい。
どれか1つに決めなくても、たとえば「ふだんは写真、冬に読み返すときにノートにまとめる」という組み合わせもいいと思います。
うまくいったことも書いたほうがいいですか
ぜひ書いてください。うまくいったことは、来年もそのまま続ければいいので、いちばん役に立つ記録です。
ただ、「うまくいった」の中にも、たまたま天気がよかっただけ、ということがあります。そのときの天気や、まいた日も一緒に書いておくと、来年もうまくいくかの見当がつきます。
原因がまったく分からないときは、どう書けばいいですか
「原因は分からない」とそのまま書いてください。それも立派な記録です。
分からないことを無理に推測で埋めると、来年読み返したときに、それが本当の原因だと思いこんでしまいます。「分からない」と書いておけば、来年はそこを気にして見るようになります。
品種名まで書く必要はありますか
できれば書いておくのがおすすめです。同じ野菜でも、品種によって育ち方や、まく時期がかなりちがいます。
「去年のトマトはよく育ったのに、今年はいまいち」というとき、品種がちがっていた、ということもよくあります。種袋や苗の札を写真に撮っておくだけでも、十分な記録になりますよ。
プランターでも日誌は役に立ちますか
役に立ちます。プランターでも、まいた日、置いた場所、水やり、肥料の記録は同じように使えます。
プランターは置き場所を動かせるので、「日当たりのいい場所に置いたら育ちがよくなった」というような記録が、とくに役に立ちます。
天気は、どこまで書けばいいですか
毎日の天気まで書かなくて大丈夫です。書いておきたいのは、ふだんとちがう天気だけです。
- 雨が何日も続いた
- 急に暑くなった、急に寒くなった
- 台風が来た
- 霜が降りた
あとで「この年は育ちが悪かったな」と思ったとき、天気の記録があると、育て方のせいなのか、天気のせいなのかを分けて考えられます。
収穫の量は、どうやって測ればいいですか
おおよそで十分です。
- 数えられるもの(トマト、きゅうり、なす):本数や個数を数える
- 数えにくいもの(葉物、じゃがいも):かごいっぱい、ざる半分、など見た目で
- 重さを量れるなら:キッチンスケールで量ると、年ごとに比べやすい
大事なのは、毎年同じ方法で書くことです。去年は個数、今年は重さ、だと比べられなくなってしまいます。
読み返したら直したいことが多すぎて、どこから手をつければいいか分かりません
全部を一度に直そうとしなくて大丈夫です。次の順番で、1つか2つにしぼってみてください。
- 毎年くり返している失敗:同じことが何年も起きているなら、いちばん効果が大きいところです。
- 収穫に直接ひびいていること:芽が出ない、実がならない、など。
- 手間が減ること:水やりや見回りが楽になる工夫は、続けやすさにつながります。
1年に変えるのは1つか2つまで。たくさん変えると、どれが効いたのか分からなくなってしまいます。
書いた日誌は、何年分取っておけばいいですか
できれば、ずっと取っておくのがおすすめです。少なくとも、畑のうねを一回りするくらいの年数(3〜4年)は手もとに残しておくと、前に何を植えたかをさかのぼれます。
古いノートを見返すと、自分がどれだけ上達したかも分かって、ちょっとうれしくなりますよ。
子どもと一緒に記録したいです
すごくいいと思います。子どもは、毎日の小さな変化によく気づきます。
絵で描いてもらったり、写真を一緒に撮ったりするだけでも、立派な観察記録です。「芽が出たよ!」と報告してくれたら、それをそのまま日誌に書いてあげてください。
学ぶ:理科の「比べ方」で、日誌が強くなる🔬
「観察」と「推測」を分けるのは、理科の基本
ここからは、ちょっとだけ理科の話です。
理科の実験では、「目で見て分かったこと(観察)」と「そこから考えたこと(推測)」を、必ず分けて書きます。
なぜかというと、観察は事実なので変わりませんが、推測は、あとから新しい情報が出てくると変わることがあるからです。2つを混ぜてしまうと、どこまでが確かなことなのか分からなくなってしまいます。
栽培日誌で『起きたこと』と『原因の推測』を分けるのも、まったく同じ考え方なんです。
比べるときは、条件を1つだけ変える
「肥料を変えたら、よく育った」
これを確かめたいとき、理科では「条件を1つだけ変えて比べる」ことをします。これを対照実験といいます。
たとえば、肥料の効果を確かめたいなら、
- 同じ作物、同じ品種
- 同じ時期にまく
- 同じ日当たり
- 同じ水やり
- ちがうのは、肥料だけ
こうしてはじめて、「育ちのちがいは肥料のせいだ」と言えるようになります。
もし、肥料を変えた年に、まく時期も、日当たりも変わっていたら、どれが効いたのか分からないんですよね。条件をいくつも同時に変えると、原因がしぼれなくなってしまうんです。
家の畑で完ぺきな対照実験をするのはむずかしいですが、「1回に変えるのは1つだけ」を意識するだけでも、日誌から分かることがぐっと増えます。
1回だけの結果で、決めつけない
もうひとつ、理科で大事にしていることがあります。それは「くり返して確かめる」ことです。
1回だけの結果は、たまたまかもしれません。天気がたまたまよかった、虫がたまたま少ない年だった、ということもあります。
だから、日誌を何年分か残しておくことに意味があるんです。同じことを何回かくり返して、毎回同じ結果になれば、それはかなり確かなことだと言えます。
「いっしょに起きた」と「原因になった」はちがう
最後に、ちょっとむずかしいけど大事な話をひとつ。
「この資材をまいた年は、虫が多かった」
これだけを見ると、資材のせいで虫が増えたように思えます。でも、もしかしたら、その年はたまたま虫が多い年で、資材とは関係なかったのかもしれません。
2つのことが同じときに起きたからといって、片方がもう片方の原因だとは限りません。理科では、ここをとても慎重に考えます。
日誌でも、「いっしょに起きたこと」を見つけたら、すぐに原因だと決めつけず、「原因かもしれない」と推測の欄に書いておく。そして、次の年にもう一度確かめる。これができると、日誌がぐっと頼りになる記録になっていきます。
まとめ
ここまで読んでくださって、ありがとうございます!
栽培日誌のポイントを、もう一度まとめておきます。
- 書くのは『やった作業』『起きたこと』『原因の推測』の3つ。『起きたこと』と『原因の推測』は混ぜない
- 毎日書かなくてOK。動いた日だけ、日付とやったことを1行でも
- うねの配置図を1年に1枚。前の年の作物で迷わなくなる。ただし配置図だけで連作障害は防げない
- 写真は、うまくいかなかったときこそ撮る
- 読み返すのは冬。苗やタネを買う前に、来年変えることを1つ決める
- 作業量もふり返って、目が届く量にしぼる
- 比べるときは、条件を1つだけ変える。1回の結果で決めつけない
日誌は、来年の自分へのお手紙みたいなものかなと思います。
完ぺきじゃなくて大丈夫です。今日やった作業を、1行だけ書いてみてください。それだけで、来年の自分はけっこう助かりますよ📝
移植ゴテ
記録と一緒に、深さや株間を測る道具があると数字が残せます。目盛りつきを選ぶと日誌が書きやすくなります。
剪定バサミ
作業した日を書き残すなら、まず道具を決めてしまうほうが続きます。毎回同じ道具だと比べられます。
麻ひも
誘引した日を日誌に書いておくと、翌年の目安になります。土に還る素材なので片づけもラクです。