掘って、置いておくだけ⛄ 寒さは無農薬の畑でいちばん強い味方です
🗨️「冬の畑は、何もすることがない」
🗨️「土づくりって、肥料を入れることでしょ?」
🗨️「毎年おなじ場所で作ると、うまくいかなくなる」
どうも、8150(えいこう)です🌱 家庭菜園歴8年、理科の教員免許を持っていて、有機・無農薬で野菜を育てています。
今回は、1年でいちばん地味で、いちばん効く作業の話です。
先に、この記事でいちばん言いたいことを言っておきますね。
★掘って、置いておくだけです。
肥料も、機械も、技術も要りません。スコップ1本で、土を荒く掘り返して、そのまま放っておく。それだけで、春にはふかふかの土になっています。
しかも、土の中の害虫が死にます。
これを寒起こしと言います。そして★期限があります。2月が最後です☺️
📖 この記事の目次
寒起こしと天地返しは、別のもの
よく一緒に語られるけれど、中身が違う
冬の土づくりを調べると、この2つが並んで出てきます。作業が似ているので混同されがちですが、目的も深さも別ものです。
★寒起こし(荒起こし)
- 深さ20〜30cm
- 荒く掘り返して、そのまま置く
- 毎年やる
- 目的は、土をほぐすことと、害虫を殺すこと
★天地返し
- 深さ80cm〜1m
- 上のほうの土と、下のほうの土を入れ替える
- 何年かに1回
- 目的は、かたくなった層を壊すこと
家庭菜園でやるのは、寒起こしのほう
天地返しが必要になるのは、主に農家さんです。
トラクターで毎年同じ深さを耕していると、その刃が届く一番下のところに、押し固められた層ができます。これを耕盤と言います。かたい板のようになって、根が下へ伸びられなくなる。だから何年かに一度、深く掘って入れ替えるわけです。
家庭菜園ではトラクターを使いませんから、この層はできにくい。★だから、やるのは寒起こしのほうでいいです。
深さ80cmを人力で掘るのは、正直かなりつらい作業です。それをやらなくていいのは、家庭菜園のいいところだと思います。
やり方 ── スコップ1本、測らなくていい
★スコップの剣先が、ちょうど30cm
「20〜30cmの深さ」と言われても、いちいち測るのは面倒ですよね。
いい目安があります。
★スコップの剣先の長さは、だいたい30cmです。
つまり、★剣先が全部土に入るところまで挿せば、それで深さは足ります。メジャーは要りません。道具そのものが定規になっています。
これを知ってから、私の冬の作業はずいぶん気楽になりました。
手順は3つだけ
やることは単純です。
- スコップに体重をかけて、剣先が隠れるまで土に挿す
- 柄を手前に倒して、テコの原理で土を持ち上げる
- そのままひっくり返して、隣に置く
これを後ろに下がりながら繰り返します。畑の端から順に、一列ずつ。
力任せに押し込む必要はありません。★体重をかけると、スコップは自分の重さで入っていきます。腕で掘ろうとすると、次の日に肩が痛くなります。私は最初の年にこれをやりました。
★塊は、崩さない
ここがいちばん大事です。
掘り返した土は、ゴツゴツした大きな塊のまま置いてください。★きれいにならしてはいけません。
畑仕事をしていると、どうしても「整えたい」気持ちが出てきます。塊を鍬でたたいて細かくして、平らにしたくなる。
やらないでください。★塊のままのほうが、効きます。
理由は次の章でお話しします。
なぜ、ふかふかになるのか
土の中で、氷が育つ
ここからは理科の話です。
冬の畑では、こういうことが毎日起きています。
- 夜、気温が下がる。土の中の水分が★凍る
- 昼、日が当たる。氷が★溶けて、乾く
- また夜になって、凍る
このくり返しです。
水は、凍ると体積がふくらみます。だいたい1.1倍。液体なのに、固体になると大きくなる。水はとても珍しい性質を持っています。
つまり、★土の塊の中で氷が育って、内側から押し広げているんです。
これが何十回もくり返されると、塊はぼろぼろと崩れていきます。★人の手では作れない崩れ方です。鍬でたたいて砕いた土とは、粒の形が違います。
★だから細かく耕してはいけない
もうお分かりだと思います。
★細かく耕してしまうと、凍る場所がなくなるんです。
大きな塊は、表面積が大きい。外から冷えて、中に水を抱えていて、凍って、溶けて、また凍る。この回数が多いほど崩れます。
最初から細かくしてしまうと、この工程が起きません。せっかくの寒さが、働く場所を失います。
★「整えない」ことが、この作業の技術です。
わざと凍らせる、という手もある
もうひとつ、面白い方法があります。
★夕方に、掘り返した土に水をまく。
そうすると、その夜しっかり凍ります。雨の少ない冬でも、凍結の回数を増やせるわけです。私は寒波の予報が出た日の夕方にやっています。
翌朝、土の塊が白く霜をかぶっているのを見ると、うまくいっている感じがして気分がいいです。
害虫が死ぬ ── ★無農薬の核心
土の中で、虫は冬を越している
夏に野菜の根を食べていた虫たちは、冬のあいだ死んでいるわけではありません。
★土の中で、幼虫や卵のまま眠っています。
- ネキリムシ … 苗の株元をかじって切り倒す。朝、苗が倒れていたらこれ
- コガネムシの幼虫 … 根を食べる。プランターの土にもよくいる
暖かくなると出てきて、また同じことをします。毎年おなじ場所で同じ被害が出るのは、こういう理由です。
掘り出して、寒風にさらす
寒起こしをすると、土の下にいた彼らが★表面に出てきます。
そして、こうなります。
- 寒風にさらされて、凍死する
- 鳥が見つけて、食べる
私の畑では、寒起こしをした翌日はムクドリがよく来ています。掘り返した土をつついて回っているので、あれはごちそうなんだと思います。
★農薬を1滴も使わずに、土の中の害虫を減らせる。寒さは、無農薬の畑にとっていちばん強い味方です。
ついでに入れておくもの
★米ぬかは、冬のうちに
掘り返した塊の上に、★米ぬかをふりかけておいてください。
米ぬかは、土の中の微生物のごちそうです。分解が進むうちに、土がよくなっていきます。
ただし、ひとつ大事なことがあります。
★米ぬかは、分解のときに窒素を使います。
これを窒素飢餓と言います。分解している最中は、土の中の窒素が微生物に取られてしまう。そこに野菜を植えると、野菜のぶんの窒素が足りなくなります。
だから★冬のうちに入れるのが正解です。春までの2〜3か月で分解が終われば、植えるころには問題になりません。逆に、春に入れると野菜と取り合いになります。
有機石灰は、ナメクジ対策にもなる
もうひとつ、有機石灰(カキ殻石灰など)を入れておくといいです。
理由は2つあります。
- 雨が降るたび、土は少しずつ酸性に傾いていきます。石灰はこれを中和します
- ★ナメクジは酸性の土を好みます。中和しておくと、居心地が悪くなります
苦土石灰でも中和はできますが、有機石灰のほうがゆるやかに効くので、入れすぎの失敗が起きにくい。無農薬でやるなら、こちらをおすすめします。
こんなときは、どうする
プランターでもできる
畑がなくても、同じことができます。
プランターの土を、大きめの容器か新聞紙の上にあけて、塊のままベランダに置いておく。これだけです。
プランターの土は、1シーズン使うと粒がつぶれて、水はけが悪くなっています。冬のあいだ凍らせて崩してやると、粒が立ち直ります。私は毎年、使い終わったプランターの土をまとめて、日の当たらない北側のベランダに置いています。
★北側のほうがよく凍るので、こちらのほうが向いています。
まだ野菜が植わっている場所は
玉ねぎやにんにく、そら豆が植わっている場所は、当然そのままです。掘り返せません。
その場合は、★空いている場所だけやってください。畑を全部やる必要はありません。
私の畑では、冬に空いているのは夏野菜を片づけた場所です。そこだけ寒起こしをして、春にじゃがいもや夏野菜を植えます。玉ねぎの区画は、収穫が終わった6月以降に手を入れます。
毎年おなじ場所で不調が続くなら
同じ場所で同じ野菜を作り続けると、だんだんうまくいかなくなります。連作障害と呼ばれるものです。
原因はいくつかありますが、そのひとつが★土の中に特定の病原菌や害虫がたまっていくことです。
寒起こしは、この解決そのものにはなりません。ただ、★たまり方を減らすことはできます。掘り返して寒気にさらすたび、その年の分が少し減る。毎年の積み重ねが効いてきます。
期限は2月まで
3月に入ると、効かなくなる
この作業には★期限があります。
- 12月下旬〜2月 … ちょうどいい時期
- ★2月 … ラストチャンス
- 3月以降 … あまり意味がない
理由は簡単で、3月になると気温が上がって、凍らなくなるからです。凍結と融解が起きなければ、ただ土を掘り返しただけになります。
できなくても、来年がある
もし今年は間に合わなかったとしても、気にしないでください。
この作業のいいところは、★失敗しようがないことです。掘って、置く。それだけなので、やり方を間違えることがありません。
そして毎年やれる作業です。1年目より2年目、2年目より3年目のほうが、土は良くなっていきます。
この記事の要点
- ★寒起こしは掘って置くだけ。肥料も機械も要らない
- 寒起こし=深さ★20〜30cm/天地返し=深さ80cm〜1m。★家庭菜園は寒起こしでいい
- ★スコップの剣先が約30cm。剣先が隠れるまで挿せば深さは足りる
- 体重をかけて挿し、★テコの原理で持ち上げて裏返す
- ★塊は崩さない。細かくすると凍る場所がなくなる
- 夜に凍り、昼に溶ける。★水は凍ると1.1倍にふくらんで塊を内側から壊す
- ★夕方に水をまくと、わざと凍らせられる
- ★ネキリムシ・コガネムシの幼虫が表面に出て、凍死するか鳥に食べられる
- ★米ぬかは冬のうちに(春に入れると野菜と窒素を取り合う)
- 有機石灰は中和+★ナメクジ対策
- ★期限は2月まで。3月は凍らないので効かない
全部やろうとしなくて大丈夫です。まずは畑の空いている一角だけ、スコップを1本挿してみてください。剣先が隠れたら、そこで持ち上げる。それだけで、今日の分は終わりです⛄
次回は、玉ねぎの話です。2月から3月にかけて、入れていい肥料と入れてはいけない肥料の話をします🧅
ここまで読んでくださって、ありがとうございました。
備中鍬
スコップで掘り起こしたあと、粗く砕くのに使います。三本爪なので土に刺さりやすく、テコの原理で持ち上げやすい。ただし細かく耕さないでください。塊のままのほうが、凍って溶けての回数が増えて効きます。
米ぬか
掘り返した塊の上にふりかけておきます。米ぬかは分解のときに窒素を使うので、冬のうちに入れるのが正解です。春に入れると野菜と窒素を取り合います。2〜3か月で分解が終われば、植えるころには問題になりません。
カキ殻石灰(有機石灰)
雨が降るたび土は酸性に傾きます。石灰はこれを中和します。そしてナメクジは酸性の土を好むので、中和しておくと居心地が悪くなります。苦土石灰よりゆるやかに効くので、入れすぎの失敗が起きにくいです。


