3月に肥料を入れると玉ねぎは太りません🧅 止め肥という考え方
🗨️「玉ねぎが小さいまま終わった」
🗨️「葉ばかり立派で、球が太らない」
🗨️「肥料をあげるほど大きくなると思っていた」
どうも、8150(えいこう)です🌱 家庭菜園歴8年、理科の教員免許を持っていて、有機・無農薬で野菜を育てています。
秋に植えた玉ねぎが、2月から動き出します。
冬のあいだ止まっていた成長が再開して、葉が伸びはじめる。ここからが勝負なのですが、★ここで肥料の入れ方を間違えると、玉ねぎは太りません。
先に、この記事でいちばん言いたいことを言っておきます。
★3月に入ったら、それが最後の追肥です。そしてその肥料は、窒素であってはいけません。
この最後の1回を、止め肥(とめごえ)と言います。名前のとおり、ここで止めるための肥料です☺️
止め肥とは何か
最後の1回、という意味
玉ねぎの追肥は、だいたいこういう流れになります。
- 12月ごろ … 冬に向けての追肥
- ★2月 … 本命の追肥。ここで球が太る準備をする
- ★3月頭 … 止め肥。これが最後
- ★3月中旬以降 … 何も入れない
止め肥という名前には、2つの意味が入っています。ひとつは「肥料をここで止める」という意味。もうひとつは「玉ねぎの葉の成長を止めて、球を太らせるほうへ切り替える」という意味です。
なぜ止めなければいけないのか
玉ねぎは、葉が育つ時期と、球が太る時期が分かれています。
- 冬から3月 … 葉を作る時期
- 4月から5月 … ★葉で作った栄養を、球に送りこむ時期
球が太るのは後半です。そしてそのとき使われるのは、★葉が作りためた栄養です。
つまり、4月以降に肥料を入れると、玉ねぎは困ります。「まだ葉を伸ばせということか」「いや、もう球を太らせる時期なのだが」と、体の中で命令が2つぶつかります。
★結果として、どちらも中途半端になります。
窒素をやりすぎると、こうなる
背だけ高くなって、球が小さい
肥料の三大要素は、窒素・リン酸・カリです。このうち★窒素は、葉と茎を育てる肥料です。
窒素が多すぎると、玉ねぎはこうなります。
- 葉ばかりひょろひょろと背が高くなる(徒長)
- ★球が太らない
- ★病気にかかりやすくなる
- 穫れても、保存がきかない
「肥料をあげるほど大きくなる」というのは、葉物野菜の話です。玉ねぎのように★実や球を太らせる野菜では、途中から逆になります。
なぜ病気に弱くなるのか
窒素が多いと病気に弱くなるのには、理由があります。
窒素で急いで作られた細胞は、★壁がうすくてやわらかいんです。人間でいえば、急に身長だけ伸びて中身が追いついていない状態でしょうか。
菌にとっては、入りやすい入り口が増えたことになります。だから同じ畑の同じ品種でも、窒素を効かせすぎた株からべと病が出ます。
じゃあ、何を入れるのか
リン酸とカリに切り替える
止め肥で入れるのは、★リン酸とカリです。窒素は控えます。
この2つが玉ねぎに何をしてくれるのか、順に見ていきます。
リン酸 ── 細胞の壁を丈夫にする
リン酸は、生きものの体の中でとても大事な役をしています。
★遺伝子(DNA)の構成成分です。
生きものが細胞を増やすときには必ずDNAが要りますから、リン酸がないと体が作れません。呼吸のしくみにも深く関わっています。
そして玉ねぎにとって大事なのが、★細胞膜を丈夫にすることです。
さきほど、窒素が多いと壁がうすくなると書きました。リン酸はその逆で、しっかりした細胞を作らせます。★結果として、病害虫への抵抗力が上がります。
カリ ── 「根肥」であり「光肥料」
カリには、2つの呼び名があります。
ひとつは★根肥(ねごえ)。文字どおり、根を丈夫にする肥料です。根がしっかりすれば、水も養分もよく吸えます。
もうひとつが面白くて、★「光肥料」とも呼ばれます。
カリは★日照が足りないときの光合成をサポートしてくれるんです。冬から春にかけては、日が短くて曇りも多い。玉ねぎにとっては、光が足りない季節です。ここでカリが効くのは、とても理にかなっています。
さらに、★寒さへの抵抗力も上がります。2月3月にはまだ寒波が来ますから、これも助かります。
無農薬・有機なら、こう置き換える
リン酸とカリと言うと、過リン酸石灰や硫酸カリという化学肥料が思い浮かびます。効きは確かなのですが、有機でやるなら別の選択肢があります。
- リン酸 → ★骨粉(こっぷん)
- カリ → ★草木灰(そうもくばい)
- 少しの窒素と酸度調整 → ★炭化鶏ふん
草木灰は、落ち葉や剪定した枝を燃やした灰です。買うこともできますが、自分で作れます。私は畑の隅で燃やした灰をためています。
量の目安
- じわじわ効くタイプ … ★1平米あたり30gくらい
- すぐ効くタイプ … 1平米あたり50gくらい
30gというのは、ひとつかみ強くらいです。多すぎると感じるくらいなら、少ないほうを選んでください。★玉ねぎの失敗は、足りないより多すぎるほうが圧倒的に多いです。
★見落とされがちな落とし穴
リン酸とカリは、土を酸性にする
ここはあまり語られないところです。
★リン酸肥料もカリ肥料も、土を酸性に傾けます。
雨が降るだけでも土は酸性に寄っていくのに、そこへ酸性にする肥料を入れる。玉ねぎは酸性の土が得意ではないので、これが積み重なると育ちが悪くなります。
対策は簡単です。★炭化鶏ふんを少し混ぜること。
炭化鶏ふんはアルカリ度が高いので、★酸度調整と窒素の補給を1つで済ませられます。しかも★焦げたような匂いがして、虫よけにもなります。アンモニア臭はしません。
入れすぎのサインを覚えておく
肥料は、足りないより多いほうが厄介です。何が過剰かによって、出るサインが違います。
★窒素が多い
- 葉ばかり背が高くなる
- 球が太らない
- べと病などが出やすい
★リン酸が多い
- 鉄や亜鉛が吸えなくなる
- ★葉が茶色く、カサカサ・カリカリになる
★カリが多い
- カルシウムとマグネシウムが吸えなくなる
- ★葉に斑点が出て、先端から枯れてくる
面白いのは、リン酸もカリも「そのものが毒になる」わけではないことです。★多すぎると、ほかのミネラルを吸えなくする。栄養の取り合いが起きるわけです。
★肥料は止めても、ミネラルは続けていい
では入れすぎてしまったらどうするか。私が使っているのは★にがりです。
にがりは、豆腐を作るときに使うあれです。マグネシウム、カルシウム、そのほか微量な元素がたっぷり入っています。リン酸やカリの効きすぎで起きる欠乏を、埋めてくれます。
そしてここが大事なところなのですが、★にがりは肥料ではありません。
窒素もリン酸もカリもゼロ。だから、★止め肥のあとでも使えます。「肥料は止める、ミネラルは続ける」という考え方ができます。
うすめて散布するだけなので、玉ねぎ以外にも使えます。私は夏野菜にも同じことをしています。
止め肥のあとに、やること
草を取る
3月から4月にかけて、畑は一気に草が生えてきます。
玉ねぎは★根が浅い野菜です。地表近くに根を広げているので、草に場所を取られると、そのまま負けます。日当たりも取られます。
★止め肥をしたら、次にやるのは草取りだと思ってください。肥料を入れる作業より、こちらのほうが効きます。
マルチを張っていても、植え穴から草が出てきます。手で1本ずつ抜くのが確実です。根が浅いので、道具で削ると玉ねぎの根まで切ってしまいます。
とう立ちした株は、早めに見つける
まれに、花芽が上がってくる株があります。とう立ちです。
葉の中心から、かたい茎がまっすぐ立ち上がってきます。触ると、ほかの葉とちがってゴツゴツしています。
こうなった株は、★球がそれ以上太りません。花に栄養を持っていかれるからです。
見つけたら花芽を摘んでください。球の太りは止まりますが、そのぶん腐りにくくなります。★とう立ちした玉ねぎは保存がきかないので、見つけしだい早めに食べるのが正解です。
とう立ちの原因は、★苗が大きすぎたまま冬に入ったことです。植えるときに大きい苗を選ぶと、これが起きます。来年の反省点としてメモしておいてください。
2月に出る病気のこと
べと病とさび病は、2月中旬から
玉ねぎの病気で多いのは、べと病とさび病です。
出はじめるのは★2月中旬から下旬ごろ。葉に白っぽい、あるいはオレンジ色の斑点が出てきます。
見つけると焦りますよね。私も最初の年、これを見て「もうだめだ」と思いました。
でも、あわてなくていい
実はこの時期、★葉の成長はもう終わりかけています。そして玉が太る時期に入っています。
つまり、病気が出るころには★勝負のかなりの部分が終わっているんです。多少出ても、球はちゃんと太ります。私の畑でも、べと病が出た年に普通の大きさの玉ねぎが穫れました。
★玉ねぎは、虫の薬がほとんど要らない野菜です。無農薬でやるなら、これほど向いている野菜はありません。安心して育ててください。
今日から、できること
この記事の要点
- ★3月に入ったら、それが最後の追肥=止め肥
- 止め肥のあとは★何も入れない
- 玉ねぎは★3月まで葉を作り、4〜5月に葉の栄養を球へ送る
- ★窒素が多いと徒長し、球が太らず、病気に弱くなる
- 窒素で急いで作った細胞は★壁がうすいので、菌が入りやすい
- 止め肥は★リン酸とカリに切り替える
- リン酸=★DNAの材料。細胞膜を丈夫にして★病害虫への抵抗力を上げる
- カリ=★根肥であり★光肥料。日照不足の光合成を助け、寒さにも強くする
- 有機なら リン酸→★骨粉/カリ→★草木灰/窒素と酸度調整→★炭化鶏ふん
- 量は★1平米あたり30gくらい。迷ったら少ないほう
- ★リン酸・カリ肥料は土を酸性にする。炭化鶏ふんで調整する
- 入れすぎのサイン:リン酸→★葉が茶色カサカサ/カリ→★斑点と先端枯れ
- ★にがりは肥料ではないので、止め肥のあとも使える
- べと病・さび病は★2月中旬から。ただしそのころには球の肥大期。あわてない
全部やろうとしなくて大丈夫です。まずはカレンダーの3月頭に「玉ねぎ 最後の追肥」とだけ書いてください。そこに線を引けるだけで、今年の玉ねぎは変わります🧅
次回は、スナップエンドウとそら豆の話。冬を越したあとの、追肥と誘引のタイミングをお話しします🫛
ここまで読んでくださって、ありがとうございました。
炭化鶏ふん
止め肥の主役です。リン酸肥料もカリ肥料も土を酸性に傾けるので、アルカリ度の高い炭化鶏ふんを少し混ぜて調整します。少しの窒素補給と酸度調整が1つで済む。しかも焦げた匂いがして虫よけにもなります。アンモニア臭はしません。
カキ殻石灰
玉ねぎは酸性の土が得意ではありません。リン酸・カリを入れると土が酸性に寄っていくので、その分を戻しておきます。カルシウムも入っているので、カリの効きすぎで起きるカルシウム欠乏の予防にもなります。
収穫ハサミ
とう立ちした株を見つけたら、花芽を摘みます。中心からかたい茎がまっすぐ立ち上がってきて、触るとゴツゴツしている。こうなった株は球がそれ以上太らないので、早めに食べてください。


