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春夏野菜の育苗のやり方|発芽は地温で考える・冷蔵庫の上で芽出し・簡易温室・野菜別の育苗日数

苗づくりのコツは3つだけ🌱 冷蔵庫の上から始まります

どうも、8150(えいこう)です🌱 家庭菜園歴8年、理科の教員免許を持っていて、有機・無農薬で野菜を育てています。

この記事で分かること

トマトやなす、きゅうりの苗は、春になるとホームセンターにずらっと並びます。でも、「育ててみたい珍しい品種が売っていない」「自分で種から育ててみたい」と思うこともありますよね。

ただ、春先の苗づくりは、寒さとの勝負です。「種をまいたのに、なかなか芽が出ない」「芽は出たけど、ひょろひょろになってしまった」という声もよく聞きます。

安心してください。苗づくりには、いくつかのコツがあります。この記事では、芽を出させる方法から、芽が出たあとの温度の管理、ひょろひょろにしないコツ、野菜ごとの苗づくりの期間まで、順番に書いていきます。

なぜ育苗するのか

早見:春夏野菜の育苗の基本(ひと目で分かる目安)

苗づくりのスケジュール

育苗日数の目安

温度の目安

3つのコツ

なぜ苗を自分で作るのか

苗を作るよさ

苗を買うよさ

一方で、苗から始めたほうが、栽培はずっと楽になります。

種から育てると、そのぶん栽培の期間が長くなります。期間が長いほど、虫や天気の影響を受ける機会も増えて、むずかしくなります。苗を買えば、畑で育てる期間が短くなるので、そのぶん失敗のリスクも減ります。

初めてなら、お店の苗で育ててみて、慣れてきたら、育てたい品種を種から作ってみる、という順番もおすすめです。

植える日から逆算したスケジュールの例

5月の連休ごろに畑へ植える場合の、だいたいの目安です。

暖かい地域では少し早め、寒い地域では少し遅めになります。種袋の育苗日数も確かめて、自分の植えつけ予定日から逆算してください。

セルトレイの穴の数とポットの大きさ

小さな容器のまま長く育てると、根がいっぱいになって育ちが止まります。苗の大きさに合わせて、容器も大きくしていきます。

作業の手順

ここからは、春夏野菜の苗づくりの流れを、順番に書いていきます。

手順1:種と道具をそろえる

種まき用の土と、育苗用の土を使い分けると、芽の出も、そのあとの育ちもよくなる、という説明があります。

手順2:土を湿らせておく

種をまく前に、土にしっかり水を含ませておきます。

乾いた土に種をまいてから水をやると、水が均一にしみこまず、ところどころ乾いたままになることがあります。袋の土に水を少しずつ混ぜて、握ると固まるくらいに湿らせてから、セルトレイやポットに入れると、芽の出がそろいやすくなります。

手順3:発芽適温は「地温」で考える

種袋の裏には、「発芽適温」と「生育適温」が書かれています。

ここで大事なのは、この温度は、空気の温度(気温)ではなく、土の温度(地温)だということです。種は土の中にいるので、土の温度が上がらなければ、どんなに部屋が暖かくても芽を出しません。

気温ではなく地温

春先は、昼間の気温が上がっても、土の温度はなかなか上がりません。土は空気より温まりにくく、冷えにくい性質があるからです。気温だけを見て「もう暖かいから大丈夫」と思っていると、土の中はまだ冷たいまま、ということがよくあります。

簡単な温度計を1本用意して、土に差して地温を測ってみてください。地温が分かると、芽が出ない理由も見えてきます。

なお、温度を上げすぎるのもよくありません。種袋に書かれた温度の範囲の、下のほうの温度でも、問題なく芽は出ると言われます。上げすぎると、種が傷むこともあります。

手順4:冷蔵庫の上で芽を出させる

家の中で、ほんのり暖かくて、温度が安定している場所。そのひとつが、冷蔵庫の上です。冷蔵庫は、背面や上部から熱を出しているので、その上はほんのり暖かくなっていることが多いんです。

やり方の一例です。

種から小さな根が出てきたら、その種をセルトレイやポットの土に移して植えます。根を傷めないように、ピンセットなどでそっと扱ってください。

冷蔵庫の上で発芽させる

この方法のよさは、芽が出るかどうかを目で確かめてから土に植えられることです。毎朝トレーをのぞいて、小さな白い根が顔を出しているのを見つけたときは、思わずうれしくなりますよ。家族で毎朝のぞいて、根が出た種の数を数えるのも、楽しい朝の日課になります。土にまいて何日も待って、結局出なかった、ということが避けられます。

ほかにも、濡れた布に種を包んで、体温で温めて芽を出させる、というユニークな方法を紹介している人もいます。いずれにしても、「暖かくて、乾かない場所」に置くのがポイントです。

根が出た種の移し方

冷蔵庫の上などで芽出しした種は、根が少し出たところで土に移します。

根の先はとても弱いので、指でつままず、ピンセットや割りばしでやさしく扱ってください。移したら、すぐに暖かい場所に戻し、芽が地上に出てきたら日に当てます。

手順5:土にまく場合

最初から土にまく場合は、次のようにします。

種をまいたあとの押さえ方は、野菜によって説明が違います(あとで書きます)。トマトなどは軽く押さえるくらいで十分です。

手順6:芽が出たら、すぐに日に当てる

芽が出たら、すぐに日の当たる場所に移します。ここが、苗をひょろひょろにしないための、いちばん大事な分かれ道です。

暗い場所や、冷蔵庫の上に置いたままにしていると、苗は光を求めて、一晩でひょろひょろに伸びてしまいます。芽が出るまでは暗くてもいいのですが、芽が出たら、その日のうちに光が必要です。朝に芽を見つけたら、すぐに窓辺や簡易温室へ移してあげてください。芽が出始めたら、毎日のぞいて、すぐに光の当たる場所へ移してください。

徒長させない

手順7:簡易温室で、昼と夜の温度を管理する

芽が出たあとは、生育適温を保ちながら育てます。春先の寒い時期は、簡易温室が便利です。

簡易温室

管理のしかたは、昼と夜で切りかえます。

昼は25度以上、夜は18度以上あると順調に育つ、という説明があります。ただ、もっと低い温度でも育つという説明もあるので、目安として考えてください。

電熱マットとサーモスタットの使い方

春先の苗づくりで、いちばん頼りになるのが、育苗用の電熱マットです。

発泡スチロールの箱の底に電熱マットを敷いて、ふたをすれば、簡単な育苗箱になります。温度を上げすぎると、種や苗が傷むので、設定温度は種袋の発芽適温の範囲内にしてください。

温床という方法

電気を使わずに苗を温める、昔ながらの方法が「温床(おんしょう)」です。

落ち葉や米ぬか、わらなどを積み重ねて水をかけ、踏み固めておくと、発酵して熱が出ます。その熱を利用して、上に置いた苗床を温めるしくみです。

手間はかかりますが、電気代がかからず、使い終わった材料は、腐葉土やたい肥として畑に戻せます。昔の農家さんは、こうして春先の苗を育てていたんですね。

手順8:水やりは、乾き具合を見て

水やりは、土の乾き具合を見て行います。

日によく当てると、葉から水分が蒸発して、土の水分もちょうどよく減っていきます。逆に、日が当たらない場所で水をたっぷりやると、土がいつも湿ったままになり、苗がひょろひょろに伸びたり、根が弱ったりします。

手順9:本葉が出たら、養分を考える

芽が出て最初に開く2枚の葉(双葉)は、種の中にたくわえていた栄養で育っています。本葉が出始めるころには、その栄養をほぼ使い切っている、という説明があります。

ここから先は、土の中の養分で育つことになります。育苗用の土に肥料が入っていれば、しばらくはそれで十分です。葉の色が薄くなってきたら、ひとまわり大きなポットに植えかえる(鉢上げ)か、薄めた液体肥料を少し与えます。

ただし、肥料のやりすぎは、徒長の原因になります。控えめを心がけてください。

手順10:鉢上げをする

セルトレイで育てている場合は、本葉が出てきて落ち着いたら、ひとまわり大きなポットに鉢上げします。

鉢上げの手間を減らしたいなら、水を含ませるとふくらむ、固形の育苗用の土(ピートモスなどを圧縮したもの)を使う方法もあります。苗が育ったら、そのままポットや畑に植えられるので、根を傷めにくいのがよいところです。

植えつけ前の最終チェック

畑に植える前に、苗のようすを確かめておきましょう。

条件がそろっていれば、植えどきです。畑の準備ができていなければ、ひとまわり大きなポットに鉢上げして、もう少し待ちます。

手順11:植える前に、外に慣らす

畑に植える1週間くらい前から、苗を外の環境に慣らします。日中だけ外に出し、夜は取りこむ、というふうに、少しずつ外にいる時間を長くしていきます。

いきなり畑に植えると、強い日差しや風、夜の冷えこみで、苗が弱ってしまうことがあります。外に慣らしておくと、葉や茎がしっかりして、植えたあとの根づきがよくなります。

毎日の見回りのポイント

苗は、毎日少しずつ変わっていきます。毎朝のぞく習慣が、がっしりした苗を作るいちばんの近道です。

野菜ごとの苗づくりのポイント

トマト・ミニトマト

なす

ピーマン・ししとう・とうがらし

きゅうり

かぼちゃ・ズッキーニ

スイカ・メロン

オクラ・枝豆・とうもろこし

大根やにんじんのように、まっすぐな根を持つ野菜は、苗を作って植えかえると根が傷むので、畑に直接まくのが基本です。

育苗の記録をつける

苗づくりは、毎年の積み重ねで上手になっていきます。種をまいた日、芽が出た日、鉢上げした日、畑に植えた日をメモしておくと、次の年の計画がぐっと立てやすくなります。

自分の家の窓辺や、ベランダの環境で、芽が出るまでや植えられる大きさになるまでに、どれくらいの日数がかかるかが分かってくると、種袋の目安よりも、ずっと頼りになる自分だけの目安ができあがります。

失敗の見分け方

種をまいたのに、芽が出ない

芽が出たけど、ひょろひょろになった

いちばん多いのは、光不足です。

苗が育たない、葉の色が悪い

苗が根元から倒れて、枯れた

根元が細くくびれて倒れるのは、苗立枯病(なえたちがれびょう)の可能性があります。土の中の菌が原因で、水のやりすぎや、蒸れた環境で出やすくなります。倒れた苗は取り除き、残った苗は水やりを控えめにして、風通しをよくしてください。種まきには、新しい種まき用の土を使うと安心です。

簡易温室の中で、苗がしおれた

晴れた日に換気を忘れて、中が暑くなりすぎた可能性があります。晴れた日の昼は、必ずカバーを少し開けてください。

説明が分かれていること

苗づくりは、早めか、例年どおりか

早く始めるのは、夏の猛暑が来る前に収穫のピークを迎えるため。例年どおりがいいのは、夜の冷えこみで苗が傷むのを避けるため。保温の設備があるか、住んでいる地域の気候はどうか、で選んでください。

育苗に畑の土を使えるか

畑の土を使うと、芽の出が少し悪くなったという経験を話す人もいます。初めてなら、市販の種まき用の土や培養土を使うのが安心です。

種をまいたあと、押さえるか

種と土をくっつけることは大切ですが、押す強さは、野菜や土によって違います。育苗の土はやわらかいので、軽く押さえる程度が無難です。

水やりは、毎日か、乾いてからか

育て方の考え方がそれぞれ違うので、どれかひとつが正しいとは言えません。初めてなら、乾いたらたっぷり、を基本にするのがおすすめです。

日に当てるか、半日陰か

季節によって変わります。寒い春先は日によく当てて、暑い夏は強い日差しを避ける、と考えてください。

夜は何度あれば育つか

同じ人の中でも、言い方が違うことがあります。夜18度は「順調に育つ」目安、それより低くても「育たないわけではない」と考えるといいと思います。

よくある質問

Q. 苗づくりは、何月から始めればいいですか?

A. 畑に植える日から、育苗日数を逆算して決めます。5月の連休に植えるなら、トマトは3月上旬、なすやピーマンは2月中旬から下旬、きゅうりは3月下旬ごろが目安です。地域によって前後します。

Q. 冷蔵庫の上が暖かくありません

A. 冷蔵庫の種類によっては、上があまり暖かくならないこともあります。最近の冷蔵庫は、熱を横や背面から逃がすものも多いです。温度計で確かめてみてください。暖かくなければ、発泡スチロールの箱に入れてテレビの近くに置く、育苗用の電熱マットを使う、など、ほかの暖かい場所を探してみてください。

Q. ベランダでも苗づくりはできますか?

A. できます。ベランダは、建物に守られていて、庭より暖かいことも多いです。風が強いベランダでは、簡易温室が倒れないように、手すりなどにひもで固定しておいてください。簡易温室を置けば、春先の苗づくりにも使えます。ただ、日当たりが限られる場合は、日の当たる時間が長い場所を選んでください。

Q. 苗をいくつ作ればいいですか?

A. 植えたい株数より、少し多めに作っておくと安心です。植えたい数より何株か多めに作っておけば、その中から、いちばんがっしりした苗を選んで植えられます。余った苗は、家族や友人に分けると喜ばれますよ。芽が出なかったり、途中で弱ったりする苗もありますし、植えたあとに虫や鳥にやられたときの予備にもなります。

Q. 種が余りました。来年も使えますか?

A. 乾燥剤と一緒に密閉して、冷蔵庫などの涼しい場所に保存すれば、翌年も使えることが多いです。開けた日付を袋に書いておくと、あとで使うときの目安になります。なすやトマトの種は比較的長持ちすると言われます。まく前に、発芽するか試してみると安心です。

Q. 苗づくりに、肥料入りの培養土を最初から使ってもいいですか?

A. 使えないことはありませんが、芽を出させる段階では、肥料の少ない種まき用の土のほうが向いています。肥料が多いと、出たばかりの根が傷んだり、苗が徒長しやすくなったりすることがあります。種まきは種まき用の土で、鉢上げからは培養土で、と使い分けるのがおすすめです。

Q. 窓辺で苗を育てています。カーテンは開けたほうがいいですか?

A. 日中は、レースのカーテンも開けて、できるだけ直接光が当たるようにしてください。ガラス越しの光は、外の光より弱くなっています。晴れた暖かい日は、ベランダや庭に出して日光浴をさせると、苗ががっしりします。夜は窓辺が冷えるので、部屋の内側に移すと安心です。

Q. 苗の葉に、小さな虫がついていました

A. 春先の苗には、アブラムシなどがつくことがあります。数が少なければ、指やピンセットで取るか、やわらかい筆で払い落としてください。簡易温室の中は暖かいので、虫も増えやすい環境です。毎日の見回りで、葉の裏ものぞいてみましょう。

Q. 苗づくりに失敗したら、どうすればいいですか?

A. 4月中旬ごろからお店に苗が並ぶので、そちらで補えば大丈夫です。失敗した原因(温度、光、水など)をメモしておくと、次の年の苗づくりがぐっと上手になります。一度でうまくいかなくても、何年か続けるうちに、自分の家の環境に合ったやり方が見えてきますよ。

Q. 種から育てた苗と、買った苗、育ち方は違いますか?

A. しっかり育てた苗なら、買った苗と同じように育ちます。ただ、お店の苗は、病気に強い台木につないだ接ぎ木苗のことが多く、自分で種から作ると、ふつうは自根の苗になります。同じ場所で同じ野菜を続けて育てている畑なら、接ぎ木苗のほうが病気に強いことがあります。

Q. 芽が出るまで、何日くらいかかりますか?

A. 温度がちょうどよければ、トマトやきゅうりなら数日から1週間くらい、なすやピーマンはもう少し時間がかかります。温度が低いと、さらに日数がかかります。2週間たっても出ない場合は、温度や水分、種の古さを見直して、まき直しを考えてください。

Q. 電熱マットは、ずっとつけっぱなしでいいですか?

A. 夜や、寒い日は使い、晴れて温かい日中は電源を切るのがおすすめです。つけっぱなしだと、日中に温度が上がりすぎて、苗が傷んだり徒長したりすることがあります。サーモスタットで温度を設定しておけば、上がりすぎを防げます。

Q. 苗が大きくなりすぎて、植える日まで待てません

A. 早く種をまきすぎると、植えつけの時期より前に苗が大きくなりすぎてしまいます。ひとまわり大きなポットに鉢上げして、根が伸びられる場所を作ってあげてください。暖かくなっていれば、少し早めに植えて、不織布などで保温する方法もあります。

Q. 苗の葉が、白っぽく焼けたようになりました

A. 急に強い日差しに当てたり、簡易温室の中が暑くなりすぎたりすると、葉が焼けて白っぽくなることがあります。少しずつ日に慣らすこと、晴れた日はこまめに換気することを心がけてください。焼けた葉はもとに戻りませんが、新しい葉が元気に出てくれば大丈夫です。

Q. 子どもと一緒にできることはありますか?

A. 冷蔵庫の上での芽出しは、毎日のぞいて、根が出てくるようすを観察できるので、子どもにもおすすめです。暗い場所と明るい場所で、同じ苗を育ててみて、伸び方の違いを比べてみるのも、いい観察になります。

学ぶ🔬 なぜ苗は、ひょろひょろに伸びるのか

ここからは、苗づくりのしくみについて、少しだけ深く書いておきます。読み飛ばしても大丈夫です。

光が足りないと、上を目指す

植物は、光を受けて栄養を作ります。光が足りないと、少しでも多くの光を受けようと、茎を上へ上へと伸ばします。

暗い場所で育ったもやしが、白く細長いのは、このためです。春先の窓辺や、芽が出たあとも暗い場所に置いていた苗がひょろひょろになるのも、同じしくみです。芽が出たらすぐに日に当てる、というのは、苗が「上を目指す」必要をなくすためなんです。

肥料は、足りなくても多すぎてもだめ

肥料が足りないと、苗は葉の色が薄くなり、育ちが遅れます。逆に、肥料が多すぎると、苗は茎や葉ばかりを勢いよく伸ばして、ひょろひょろになりやすくなります。

本葉が出てから、葉の色を見ながら、ほどほどに。これが、苗の肥料のコツです。

なぜ土は、空気より遅れて温まるのか

土は、空気に比べて温まりにくく、冷えにくい性質があります。特に、水を含んだ土は、温まるのにたくさんの熱が必要です。

だから、春先に気温が上がっても、土の温度はなかなか追いつきません。逆に、秋に気温が下がっても、土はしばらく暖かいままです。種袋の発芽適温が地温で書かれているのは、種にとって大事なのが、まわりの土の温度だからなんですね。

なぜ夏野菜は、暖かさが必要なのか

トマトは南米、なすはインド、きゅうりはインドのヒマラヤのふもと、と言われるように、夏野菜の多くは、暖かい地域が生まれ故郷です。

そうした野菜は、暖かい環境で芽を出し、育つようにできています。寒い時期に種をまいても、なかなか芽が出なかったり、芽が出ても育ちが遅かったりするのは、このためです。春先の苗づくりで保温が欠かせないのは、野菜の故郷の暖かさを、人の手で作ってあげるためなんですね。

種は、水を吸って目を覚ます

乾いた種は、眠ったような状態で、じっとしています。水を吸うと、種の中で眠っていた働きが動き出し、芽を出す準備を始めます。

このとき、温度がちょうどよければ、準備がどんどん進んで、やがて根が出てきます。温度が低すぎると、準備がなかなか進まず、そのあいだに種が腐ってしまうこともあります。冷蔵庫の上のような暖かい場所で、水を含ませたキッチンペーパーに種を置くのは、この「目を覚ます」条件を整えるためなんです。

双葉と本葉の違い

芽が出て最初に開く2枚の葉は、「双葉(子葉)」と呼ばれます。双葉は、種の中にたくわえていた栄養を使って開く葉で、形も、そのあとに出る葉とは違うことが多いです。

双葉のあとに出てくるのが「本葉」です。本葉は、その野菜らしい形をしています。トマトならトマトの、きゅうりならきゅうりの葉の形ですね。本葉が出始めるころには、種の栄養はほぼ使い切っていて、ここからは根で吸った養分と、葉で作った栄養で育っていく、という説明があります。

昼と夜の温度差が、がっしりした苗を作る

植物は、昼に光合成で作った栄養を、夜のあいだに使って体を作ります。夜の温度が高すぎると、呼吸がさかんになって栄養をたくさん使い、茎を伸ばす方向に体が向かいやすくなります。

昼はしっかり日に当てて温め、夜は冷やしすぎない程度に涼しくする。この温度の差が、節間のつまった、がっしりした苗を作るコツと言われます。

まとめ

ここまで読んでくださって、ありがとうございます!

春夏野菜の育苗のポイントを、もう一度まとめておきます。

3つの答え

自分で種から育てた苗が、畑で大きく育って実をつけたときの喜びは、また格別です。最初は1種類、トマトかきゅうりから始めてみてください。うまくいかなくても、お店の苗で補えば大丈夫。気楽に挑戦してみましょう。

まずは、種袋の裏の「発芽適温」と「育苗日数」を読むところから始めてみましょう🍅

苗づくりに用意するもの

簡易温室(ビニールカバー付き)

発芽したあと、そのまま外に置くと育ちません。3月の外気では、生育適温に届かないからです。棚ごとビニールで包むタイプなら、置くだけで日中の温度が上がります。カバーは春が終わったら外して、普通の棚として使えます。

油かす

徒長させない鍵がこれです。本葉が出たら、油かす1に対して水9で薄めた液肥を与えます。化成肥料と違って効き方がゆるやかなので、一気に伸びて間のびすることがありません。臭わないタイプなら、室内で作業しても平気です。

プラグトレー128穴

1穴が小さいぶん、置き場所を取りません。冷蔵庫の上という限られた場所で発芽させるなら、これくらいの大きさがちょうどいい。本葉が3〜4枚になったらポットへ移します。

土壌温度計

タネ袋の適温は気温ではなく地温です。ここを見誤ると、いつまでも発芽しません。土に挿すだけで分かるものが1本あると、「まだ早い」「もういける」の判断がつきます。