べと病対策の決定版|玉ねぎは冬から春が勝負、きゅうりは湿気と肥料切れに注意
📖 この記事の目次
この記事で分かること
- べと病は、湿気の多い時期に広がる、かびの仲間による病気です。葉に黄色っぽい斑点が出て、葉の裏などにかびが生え、やがて葉が枯れていきます。
- 玉ねぎ、ねぎ、きゅうり、白菜、ほうれん草など、多くの野菜に出ます。野菜の仲間ごとに、原因になるかびの種類が違います。
- 玉ねぎのべと病は、秋から初冬に、土の中に残っていた病気の元から感染し、2〜3月に症状が出ます。その株から、春の雨のころにまわりへ広がります。
- 玉ねぎの病気の元は、土の中で十数年も生き残ることがあると言われます。病気が出た場所に続けて植えないことが大切です。
- きゅうりのべと病は、葉脈に区切られた角ばった黄色い斑点が目印です。湿気と、肥料切れによる株の弱りが引き金になります。
- 予防は、水はけと風通しをよくすること、肥料を効かせすぎず切らさないこと、病気の株や葉を早く取り除いて畑の外へ出すこと。
- うどんこ病は乾き気味の時期にも広がる白い粉の病気、べと病は湿った時期に広がる黄色い斑点の病気、と覚えておくと見分けやすくなります。
玉ねぎを植えて冬を越し、春になってこれから玉が太るというころに、葉が黄色っぽくなってしおれ、まわりの株にもどんどん広がっていく。梅雨どきのきゅうりの下の葉に、黄色い四角い模様が出て、あっという間に上の葉へ広がっていく。どちらも、べと病でよく見られる光景です。
べと病は、症状が出てから手当てをしても、なかなか止められない病気です。特に玉ねぎは、秋に植えてから翌年の初夏に収穫するまで、半年以上も畑にいます。そのどの時期に何が起きているのかを知らないと、春に症状が出てから慌てることになります。そのかわり、いつ、どこから、どうやって広がるのかが分かっていれば、前もって手を打つことができます。この記事では、べと病の正体から、玉ねぎ、きゅうり、ねぎなど野菜ごとの症状と1年の流れ、薬を使わない予防、見つけたときの手当て、似た症状との見分け方まで、順番に書いていきます。特に、これから植えつけの時期を迎える玉ねぎについて、くわしく書きます。
早見:べと病の基本
見た目
- 玉ねぎ:冬を越した株の葉が、淡い黄緑色になって、やや縮み、ねじれるように曲がる。春には葉に黄白色の大きな斑紋が出て、湿った朝には灰色がかったかびが見える
- きゅうり:下の葉に、葉脈に区切られた角ばった黄色い斑点。葉の裏に、すすのような暗い色のかび
- ねぎ:葉に黄白色の斑紋。先のほうから枯れこむ
出やすい条件
- 雨が続く、湿気が多い、葉がぬれている時間が長い
- 気温は、やや涼しい〜暖かいくらい(玉ねぎは10〜20℃、きゅうりは20〜24℃ほど)
- 水はけが悪い、株が混みあって風通しが悪い
- 肥料の効きすぎで株がやわらかい、または肥料切れで株が弱っている
- 前の年にべと病が出た場所、すぐ近くに病気の株がある
やること
- 前の年にべと病が出た場所には、同じ仲間の野菜を植えない
- うねを高くして水はけをよくする。風通しをよくする
- 肥料は効かせすぎず、切らさない
- 玉ねぎは2〜3月に見回り、症状の出た株は抜いて畑の外へ
- きゅうりなどは、斑点の出た葉を早めに取って畑の外へ
- 収穫のあとの株や葉を、畑に残さない
べと病という病気
かびの仲間による病気
べと病は、かびの仲間(水を好むかびのなかま)が原因の病気です。湿った空気の中で葉の上に胞子を作り、その胞子が風や雨のしずくで運ばれて、新しい葉に感染していきます。
名前のとおり、湿気が多く「べとっ」とした時期に広がりやすい病気です。葉の表面がぬれている時間が長いほど、胞子が芽を出して葉の中に入りこみやすくなります。
野菜の仲間ごとに、かびの種類が違う
べと病は、多くの野菜に出ますが、原因になるかびは、野菜の仲間ごとにだいたい決まっています。
- 玉ねぎ、ねぎ、わけぎなどのねぎの仲間
- きゅうり、メロン、かぼちゃなどのうりの仲間
- 白菜、大根、キャベツ、かぶなどのアブラナの仲間
- ほうれん草、レタスなど
たとえば、きゅうりのべと病が、すぐとなりの玉ねぎにうつる、ということはふつうありません。一方で、玉ねぎとねぎ、わけぎのように、同じ仲間どうしでは、うつりやすいと考えておきます。玉ねぎを植える場所の近くに、べと病の出たねぎやわけぎがあると、そこからうつることがあります。
何が困るのか
葉に斑点が広がると、その部分は光合成ができなくなり、やがて枯れていきます。葉が枯れると、株全体が弱り、収穫量が減ります。
- 玉ねぎ:玉が太る時期に葉が枯れると、玉が大きくならない。病気の株の玉は、保存中に腐りやすくなる
- きゅうり:下の葉から枯れ上がり、実のつきが悪くなる。収穫できる期間が短くなる
- ねぎ:葉が枯れて、見た目が悪くなる
玉ねぎのべと病
玉ねぎは、もともと育てやすい野菜
玉ねぎは、虫の被害が比較的少なく、薬を使わない家庭菜園でも育てやすい野菜です。気をつけたい病気は、春のべと病やさび病などに限られます。だからこそ、べと病の対策を押さえておけば、薬を使わなくても、十分に収穫を楽しめます。
1年の流れを知っておく
玉ねぎのべと病は、1年の中で、感染する時期と、症状が出る時期と、広がる時期がはっきり分かれています。この流れを知っておくことが、対策のいちばんの近道です。
1.土の中で生き残る:前の年にべと病が出た葉や株の中で作られた、殻の厚い胞子が、土の中に残ります。この胞子は長生きで、十数年も休眠しているものもあると言われています。
2.秋から初冬に感染する:玉ねぎの苗を植えたあと、秋から初冬にかけて、土の中の胞子から苗に感染します。このときは、まだ症状は出ません。
3.2〜3月に症状が出る(越年罹病株):冬を越した株の中で病気が進み、2〜3月を中心に、症状が出てきます。こうした株を「越年罹病株(えつねんりびょうかぶ)」と呼びます。
4.春の雨で広がる(二次感染):越年罹病株の葉にできた胞子が、風や雨で運ばれ、まわりの株に感染します。気温が10〜20℃で、雨が降って葉がぬれる日に感染しやすく、特に3月中旬〜5月中旬に多くなります。感染してから症状が出るまでは、2週間ほどかかります。
5.5月中旬以降は落ちつく:気温が上がると、病気の勢いは衰えます。ただし、病気の葉の中では、また殻の厚い胞子ができて、土の中に残ります。
越年罹病株の見分け方
2〜3月に出てくる越年罹病株は、次のような姿をしています。
- 葉の色が、まわりの株より淡い黄緑色で、つやがない
- 株全体がやや縮んで、葉がねじれるように曲がっている
- 湿った朝には、葉の表面に、灰色から紫がかったかびが見えることがある
寒さで葉先が枯れている株とは、葉全体の色と、ねじれ方で見分けます。寒さによる傷みは、葉先から茶色く枯れていくのに対し、越年罹病株は、葉全体が淡い色になって縮みます。
2〜3月の見回りの手順
1.晴れた日の昼より、朝の早い時間か、くもりの日に見回ると、葉の色の違いが分かりやすくなります。
2.うねの端から、1株ずつ、葉の色とねじれ方を見ていきます。まわりの株と比べて、明らかに色の淡い株、縮んでねじれた株がないかを探します。
3.気になる株があれば、葉の表面をよく見ます。湿った朝なら、灰色がかったかびが見えることがあります。
4.越年罹病株と分かったら、その場で根ごと抜き、用意しておいた袋に入れます。
5.抜いたあとの穴は、土を戻して平らにしておきます。
6.袋は口をしばって、畑の外へ持ち出して処分します。
2月から3月にかけて、週に1回この見回りを続けます。1回で全部見つけきれなくても、何度か見るうちに、見落としが減っていきます。
越年罹病株は、見つけたら抜く
越年罹病株は、春の間ずっと胞子を作り続け、まわりへの感染の出どころになります。少ない数でも、そこから畑全体に広がることがあります。
- 2〜3月は、週に1回は玉ねぎの株を見回る
- 越年罹病株を見つけたら、根ごと抜く
- 抜いた株は、袋に入れて畑の外へ持ち出して処分する。畑のすみや堆肥の山に置かない
1株抜くのはもったいなく感じますが、その1株が、まわりの何十株への感染の元になります。二次感染が始まる前の、早い時期に抜くことが大切です。
春は、雨のあとに見回る
3月中旬からは、二次感染の時期です。雨の数日あと、2週間ほどあとに、新しい斑点が出ていないか見回ります。葉に黄白色の大きな斑紋が出た株は、病気の葉を取るか、ひどい場合は株ごと抜きます。
雨の多い春は、特に注意
二次感染は、暖かい雨の日に起こりやすくなります。3月に大雨が降り、そのころ気温の高い日が重なった年は、感染に好都合な条件だった、と注意をうながす資料もあります。また、春の気温が平年より高くなる予報が出ている年は、べと病が出やすくなると考えられています。
雨の多い春や、暖かい春は、いつもより見回りの回数を増やし、うね間の溝が詰まっていないか、水がたまっていないかも確かめておきます。
広がってしまったら、早めに収穫
収穫の近い時期に、べと病が広がって葉が次々に枯れてしまった場合は、玉の大きさにこだわらず、早めに収穫するほうがよいこともあります。そのまま置いておくと、玉そのものが傷んで、保存中に腐りやすくなります。
収穫した玉ねぎは、晴れた日に畑で乾かしてから、葉と根を切ります。収穫してすぐに切ると、切り口から出る汁が、かびや腐れの原因になることがあります。
収穫と保存でできること
- 収穫は晴れた日に行う
- 抜いた玉ねぎは、向きをそろえて並べ、畑で2〜3日乾かす。雨の多い時期でも、晴れた日に最低1日は乾かす
- よく乾いてから、葉と根を切る
- べと病が出た株の玉は、傷みやすいので分けておき、先に食べる
- 保存する玉ねぎは、風通しのよい日陰に吊るす
病気の株の玉と元気な株の玉をいっしょに保存すると、傷んだ玉から腐れが広がることがあります。収穫のときに分けておくと、保存の失敗が減ります。
玉ねぎのべと病の予防
植えつけの準備で気をつけること
玉ねぎのべと病の予防は、苗を植える前の土づくりとうね作りから始まります。
- 石灰で土の酸っぱさを整える。ただし、病気よけのつもりで多くまきすぎない
- 堆肥を入れて、水はけと水もちのよい土にする
- 元肥は控えめに。窒素の多い肥料を入れすぎない
- うねは高めに作る。特に、雨のあとに水がたまりやすい畑は高く
- 苗は、植えつけの適期に植える。早すぎると冬までに育ちすぎ、遅すぎると根づく前に寒くなる
- 株と株の間は15cmほどあけ、つめすぎない。春に葉が茂っても風が通るようにする
- マルチを張るか、株元にわらを敷いて、雨の泥はねを防ぐ。泥といっしょに病気の元が葉にはね上がるのを減らせる
1.植える場所を選ぶ
- 前の年や、その前の年に、玉ねぎやねぎ、わけぎでべと病が出た場所には植えない
- べと病の出たねぎやわけぎの近くに植えない
- 日当たりと風通しのよい場所を選ぶ
病気の元は、土の中で長く生き残ります。一度べと病が多く出た場所は、何年か、ねぎの仲間を植えないようにします。
2.うねを高くして、水はけをよくする
玉ねぎのべと病の予防で、いちばん基本になるのが水はけです。
- うねを高めに作る(水がたまりやすい畑では特に)
- うね間の溝を掘って、雨水の逃げ道を作る
- 冬の間に踏み固められたうね間は、春先に軽く掘り起こして、水がしみこみやすくする
3.肥料は控えめに、時期を守って
窒素の多い肥料を効かせすぎると、葉がやわらかく、ひょろひょろと伸び、病気にかかりやすくなります。
- 元肥や追肥の量は守る
- 冬の追肥はごく少なめに
- 追肥の止めどき(止め肥)を守る
4.病気の残さを畑に残さない
収穫のあとの玉ねぎの葉や、病気の株は、畑に残さず、外へ持ち出して処分します。病気の葉を土にすきこむと、その中でできた殻の厚い胞子が、土の中に残り続けます。
5.苗を植えたら、秋から気にかける
感染は、苗を植えたあとの秋から初冬に起こります。植えつけのときから、水はけと風通し、肥料の加減に気を配っておきます。
手づくりの液や、市販の資材
薬を使いたくない人の中には、納豆菌をふやした液や、木酢液を、秋から冬にかけて玉ねぎにかけて、べと病を予防する、という方法を試している人もいます。効き目のほどははっきりしていないので、ここまでに書いた基本の予防と組み合わせて考えてください。
市販の資材には、銅を含む薬など、有機栽培でも使えるものがあります。使う場合は、ラベルに書かれた野菜の名前、使う時期、回数を必ず確かめてください。べと病は、出てからでは抑えにくいので、どの方法も、予防として使うものです。
きゅうりのべと病
症状
- 下のほうの葉から出はじめる
- はじめは、淡い黄色の小さな斑点。広がると、葉脈に区切られた、角ばった黄色い斑点になる
- 斑点がつながって、葉がまだら模様になる
- 湿気が多いと、斑点の裏側に、すすのような暗い色のかびができる
- 古くなっても、斑点に穴があかない
出やすい条件
- 気温が20〜24℃ほどで、湿気が多いとき
- 雨が続く、梅雨どきや、梅雨明けの蒸し暑いころ
- 葉がぬれている時間が長いとき
- 株が混みあって、風通しが悪いとき
- 肥料切れで、株が弱っているとき
- つるの先を止めて、茎や葉が茂り、株の中が蒸れるころ
- 収穫が盛んで、株が疲れてくるころ
予防
- 株間をあけて植え、つるを広げて誘引し、葉が重ならないようにする
- 下の葉、古い葉を整理して、株元に風を通す
- マルチや敷きわらで、雨のはね返りを防ぐ
- 水やりは朝、株元に。葉を夕方までぬらしたままにしない
- 追肥を切らさない。収穫が続く時期は特に
見つけたら
- 斑点の出た葉を、早めに切り取る
- 取った葉は、袋に入れて畑の外へ持ち出す
- 追肥で株の勢いを取り戻す
- まだ初期で、上の葉が元気なら、株全体が枯れるとは限らない。新しく出てくる葉を守る
きゅうりの見回りの手順
1.株元から上へ、下の葉を中心に、葉の表と裏を見ます。
2.黄色い斑点がないか、あれば角ばった形か、裏にすすのようなかびがないかを確かめます。
3.斑点の出た葉は、はさみで葉のつけ根から切り、袋に入れます。
4.黄色くなった古い葉、地面に近い葉も、あわせて整理します。
5.葉の色が全体に薄くなっていないか、実が曲がってきていないかを見て、肥料切れなら追肥をします。
雨の続く時期は、2〜3日に1回くらい見回ると、斑点が少ないうちに気づけます。
ねぎ、白菜、ほうれん草のべと病
ねぎ
ねぎの葉に、黄白色の斑紋が出て、先のほうから枯れこんでいくことがあります。黒っぽい斑点が出ている葉は、根元から切り取ります。ねぎは、まん中から新しい葉が次々に出てくるので、病気の葉を取っても、株が元気なら回復します。
夏の暑さで、古い葉の先が自然に枯れていくのは、病気とは限りません。葉先から一様に枯れているか、途中に斑点があるかで見分けます。
ねぎの仲間は、まとめて気にかける
玉ねぎ、ねぎ、わけぎ、にらなどのねぎの仲間は、べと病の原因になるかびが共通していることがあります。畑の中でねぎの仲間を育てている場所が近い場合は、どれか1つにべと病が出たら、ほかの仲間の株も見回ります。
玉ねぎを植える場所を決めるときは、近くで育てているねぎやわけぎに、病気が出ていないかも確かめておきます。
白菜、大根などアブラナの仲間
秋に雨が多いと、白菜や大根の外葉に、葉脈に区切られた黄色っぽい斑点が出ることがあります。外葉に出たものは、その葉を取り、畑の外へ出します。株のまん中の若い葉が元気なら、育ちを大きく妨げることは少なくなります。
ほうれん草
冷たい雨が続く時期に、葉に黄色っぽい斑点が出て、葉の裏に灰色がかったかびが出ることがあります。株が混みあうと出やすいので、間引きをして風通しをよくします。
秋冬の葉物でも、株元の整理を
秋から冬にかけて育てる葉物やキャベツの仲間でも、株元の枯れた葉や、マルチにはりついた葉を残しておくと、湿気がこもって病気が出やすくなります。下の枯れた葉は、光合成にはほとんど役立っていないので、見回りのたびに整理しておきます。株が混みあっている部分は、外側の葉を少し取って、風を通します。
メロン、かぼちゃ、ゴーヤ
きゅうりと同じうりの仲間なので、きゅうりと同じような角ばった黄色い斑点が出ることがあります。梅雨どきや、雨の多い時期に、下の葉から見回ります。予防と手当ては、きゅうりと同じです。
レタス
涼しく湿った時期に、葉に黄色っぽい斑点が出て、葉の裏にかびが出ることがあります。外側の葉に出たら、その葉をはがして畑の外へ出します。株元の枯れた葉を残さないようにします。
似た症状との見分け方
うどんこ病との違い
- うどんこ病:葉の表に、白い粉をまぶしたような斑点。乾き気味の時期にも広がる。指でこすると粉がつく
- べと病:葉に、黄色っぽい斑点(きゅうりでは葉脈に区切られた角ばった形)。湿気の多い時期に広がる。かびは、主に葉の裏に、すすのような色で出る
同じ「かびの病気」でも、好む天気がまったく違います。晴れが続いて白い粉ならうどんこ病、雨が続いて黄色い斑点ならべと病、と天気と合わせて考えると、見分けやすくなります。
肥料切れ
肥料が切れて葉が黄色くなる場合は、斑点ではなく、葉全体が均一に黄色くなります。また、下の古い葉から順に、まんべんなく色が薄くなっていきます。べと病は、葉の一部に斑点ができて、それが広がっていきます。
寒さや暑さによる葉先の傷み
冬の玉ねぎの葉先が茶色く枯れるのは、寒さによることが多く、葉先から枯れていきます。夏のねぎの葉先が枯れるのは、暑さによることもあります。べと病は、葉全体の色が淡くなる、葉の途中に斑紋や斑点ができる、という違いがあります。
玉ねぎのさび病
玉ねぎやねぎの葉に、オレンジ色の小さな盛り上がった斑点ができ、さわると粉がつくのは、さび病です。べと病と同じく春に出やすく、いっしょに出ることもあります。べと病は黄白色の斑紋と灰色がかったかび、さび病はオレンジ色の粉、と色で見分けます。どちらも、水はけと風通し、肥料の加減で予防するのは同じです。
玉ねぎの春の腐れ(細菌の病気)
春、それまで元気だった玉ねぎが急に元気をなくし、最後はいやなにおいを出して腐ってしまうことがあります。これは、細菌による病気で、べと病とは別のものです。3〜5月の、気温15℃前後で雨が続く時期に出やすく、雨の泥はねで傷口から細菌が入りこみます。
べと病と同じく、水はけをよくし、泥はねを防ぐことが予防になります。腐った株は、まわりに広げないよう、早めに抜いて畑の外へ出します。
ほかの病気
きゅうりには、べと病と似た斑点の出る病気がほかにもあります。斑点が古くなって穴があく、斑点に白っぽい菌のかたまりが見える、といった場合は、べと病以外の病気のことがあります。べと病は、古くなっても穴があかず、葉の裏にすすのようなかびが出るのが特徴です。
季節ごとにやること(一般的な地域の目安)
玉ねぎ
- 9〜10月:植える場所を決める。前にべと病が出た場所は避ける。うねを高く
- 11月:苗を植える。肥料は控えめに。水はけを確かめる
- 12〜1月:冬の追肥はごく少なめに。うね間の水はけを保つ
- 2〜3月:越年罹病株の見回り。見つけたら抜いて畑の外へ。うね間を軽く掘って水はけを回復
- 3月中旬〜5月中旬:二次感染の時期。雨の数日後、2週間ほど後に見回る。病気の葉や株を取る
- 5〜6月:広がった場合は早めに収穫。収穫のあとの葉や株を畑に残さない
白菜、大根など秋冬の野菜
- 植えつけ:株間をあけ、水はけのよいうねに
- 秋の長雨のころ:外葉の斑点を見回り、出た葉は取って畑の外へ
- 株元の枯れた葉は、見回りのたびに整理する
きゅうりなど夏の野菜
- 植えつけ:株間をあけ、マルチや敷きわら
- 梅雨〜梅雨明け:下の葉の見回り。斑点の葉は早めに取る。追肥を切らさない
- 収穫の最盛期:株が疲れるころ。追肥と下葉の整理
- 片づけ:病気の葉や株を畑に残さない
説明が分かれるところ
病気の株は抜くか、葉だけ取るか
玉ねぎの越年罹病株は、胞子を作り続けるので、抜いて畑の外へ出すのが基本です。一方、春の二次感染で一部の葉に斑紋が出た程度なら、その葉だけを取って様子を見る、という考え方もあります。病気が広がる時期の前は「抜く」、収穫が近い時期は「病気の葉を取って早めに収穫」と、時期で考えるのが現実的です。
手づくりの液は効くか
納豆菌の液や木酢液などを予防にかける方法は、「効果があった」という声がある一方、はっきり確かめられたものではありません。水はけ、植える場所、肥料、病気の株を取り除く、という基本の予防が先です。手づくりの液を使う場合は、それに加える形で考えてください。
重曹の液をかけるか
きゅうりなどで、べと病の広がりを抑えようと、うすめた重曹の液をかける人もいます。重曹は、うどんこ病の手当てに使われることの多い資材で、べと病にどのくらい効くかは、はっきりしていません。かけるとしても、病気の葉を取る、風通しをよくする、追肥で株を元気にする、という基本の手当てといっしょに行います。
草木灰や石灰をまくか
アルカリ性の草木灰や石灰をまいて、病原菌を抑える、という考え方もあります。一方で、石灰をまきすぎると土がアルカリ性に傾きすぎ、根を傷めたり、養分の吸収が悪くなったりします。土の酸っぱさを整える目的の量を守り、病気よけのためにまきすぎないようにします。
よくある失敗
越年罹病株を「寒さのせい」と思って放っておいた
2〜3月に、葉が淡い色になって縮んでいる株は、べと病のことがあります。放っておくと、春にまわりへ広げる元になります。
毎年、同じ場所に玉ねぎを植えた
病気の元は土の中に長く残ります。べと病が出た場所には、何年かねぎの仲間を植えないようにします。
病気の葉を、うね間に捨てた
取った葉からも胞子が飛び、土の中に病気の元が残ります。袋に入れて畑の外へ出します。
肥料で元気にしようとして、窒素を効かせすぎた
葉がやわらかくなり、かえって病気にかかりやすくなります。量と時期を守ります。
きゅうりの追肥を切らした
肥料切れで株が弱ると、べと病が広がりやすくなります。収穫が続く時期は、追肥を切らさないようにします。
よくある質問
越年罹病株を1株見つけたら、まわりの株も抜きますか
まわりの株まで抜く必要はありません。まわりの株は、葉の色やねじれを確かめて、同じ症状がなければ残します。ただし、見つけた株のまわりは、しばらくの間、特に念入りに見回ります。
去年べと病が出た畑しか、植える場所がありません
できるだけ、病気の出た場所から離れた場所を選びます。それもむずかしい場合は、次のことを組み合わせて、病気の出る条件を減らします。
- うねをいつもより高くして、水はけをよくする
- 夏の暑い時期に、土に透明のマルチをかぶせて温める太陽熱消毒をしておく
- 肥料を控えめにして、株をやわらかく育てない
- 2〜3月の見回りを、いつもより念入りにする
- プランターで別の土を使って育てる
病気の葉を取りすぎると、株が弱りませんか
一度にたくさんの葉を取ると、株が弱ります。斑点の出た葉と、古く枯れかけた葉を中心に取り、上のほうの元気な葉は残します。広がっている場合は、数日に分けて少しずつ取ります。葉を取ったあとは、追肥をして、新しい葉が出るのを助けます。
べと病が出た場所には、何年あければいいですか
玉ねぎのべと病の元は、土の中で十数年も休眠しているものがあると言われるので、「何年あければ安心」とは言いきれません。できるだけ長く、ねぎの仲間以外の野菜を育てる場所にします。家庭菜園で場所が限られる場合は、病気の出た場所の中でも、水はけのよいところを選び、うねを高くし、2〜3月の見回りを念入りにする、という組み合わせで備えます。
べと病の玉ねぎは食べられますか
食べられます。ただ、病気の株の玉は傷みやすく、保存中に腐ることがあるので、長く保存せず、早めに食べるようにします。
買ってきた苗は大丈夫ですか
苗を選ぶときは、葉の色が濃い緑で、つやがあり、ねじれや斑点のないものを選びます。植えたあとは、2〜3月の見回りで、越年罹病株がないかを確かめます。
玉ねぎの苗を自分で育てています。気をつけることは
苗床でも、秋のうちに土の中の病気の元から感染することがあります。苗床は、前にべと病の出た場所やねぎの仲間を育てていた場所を避け、水はけのよいところに作ります。苗が混みあうと風通しが悪くなるので、間引きをして株の間をあけます。植えつけのときは、色が淡い苗、ねじれた苗、斑点のある苗は使わないようにします。
わけぎやにらにも出ますか
わけぎ、にら、らっきょうなどのねぎの仲間にも、べと病が出ることがあります。玉ねぎの近くで育てている場合は、いっしょに見回り、葉に淡い色の斑紋や、湿った朝のかびがないかを確かめます。
プランターでも出ますか
出ます。プランターは、受け皿に水がたまっていたり、壁ぎわで風通しが悪かったりすると、湿気がこもりやすくなります。受け皿の水を捨て、プランターどうしの間をあけて、風を通します。前にべと病が出たプランターの土は、同じ仲間の野菜には使わないようにします。
冬の間にできることはありますか
冬は、玉ねぎのべと病の症状がまだ表に出ていない時期です。この間に、うね間の溝を掘り直して水はけを保つ、冬の追肥をごく少なめにする、株元の雑草を取って風通しをよくする、といった手入れをしておくと、春の広がりを抑えることにつながります。
雨よけをすれば防げますか
雨が直接葉に当たらないようにすると、葉がぬれる時間が短くなり、べと病は出にくくなります。トマトやきゅうりで雨よけの屋根をかける人もいます。ただし、雨よけの下はアブラムシが増えやすいなど、別の注意も出てくるので、見回りは続けます。
学ぶ:べと病のしくみ🔬
なぜ、湿気が多いと広がるのか
べと病のかびは、葉の表面に水があるときに、胞子が芽を出して、葉の気孔などから中に入りこみます。葉がぬれている時間が長いほど、感染の機会が増えます。また、葉の中で育ったかびは、湿った夜から朝にかけて、葉の外へ胞子を作る枝を伸ばし、新しい胞子をたくさん作ります。雨が続くと、この「感染」と「胞子づくり」の両方が進み、一気に広がるのです。
なぜ、2週間遅れて症状が出るのか
かびの胞子が葉に入りこんでから、葉の中で増えて、目に見える斑点や斑紋になるまでには、時間がかかります。玉ねぎのべと病では、感染してから症状が出るまでに、2週間ほどかかると言われています。
つまり、雨の日に感染していても、その日には何も見えません。2週間ほどたってから、急に斑紋が出てくるのです。春の見回りで「雨の2週間ほどあと」を意識するのは、このためです。症状が見えたときには、すでに次の感染が起きているかもしれない、という前提で、早めに病気の葉や株を取り除きます。
なぜ、土の中で何年も生き残れるのか
べと病のかびは、病気になった葉の中で、2つの性質の違う胞子を作ります。1つは、風に乗って次々に広がるための、薄い殻の胞子。もう1つは、厳しい環境を生き抜くための、厚い殻に守られた胞子です。厚い殻の胞子は、乾燥や寒さに強く、土の中で長い間休眠して、そばに同じ仲間の野菜が植えられるのを待ちます。玉ねぎのべと病が、病気の出た場所に続けて植えると出やすいのは、このためです。
なぜ、5月中旬を過ぎると落ちつくのか
玉ねぎのべと病のかびが新しく感染できるのは、気温が10〜20℃ほどの、やや涼しい湿った時期です。5月中旬を過ぎて気温が上がってくると、かびにとっては暑すぎるようになり、新しい感染が起こりにくくなります。そのため、病気の勢いは自然に衰えていきます。
ただし、それまでに病気になった葉の中では、土の中で生き残るための殻の厚い胞子ができています。勢いが落ちついたからといって安心せず、収穫のあとに病気の葉や株を畑から持ち出すことが、次の年への備えになります。
なぜ、肥料が多すぎても少なすぎてもいけないのか
窒素が多すぎると、葉は大きくやわらかく育ち、表面の守りが十分にできあがりません。葉が茂って風通しも悪くなり、湿気がこもります。反対に、肥料が切れると、株は弱り、病気に抵抗する力が落ちます。きゅうりで「肥料切れで株が弱るとべと病が出やすい」と言われるのは、このためです。どちらにも傾けず、株を元気に、でも茂りすぎずに育てることが、病気の予防になります。
まとめ
ここまで読んでくださって、ありがとうございます!
べと病対策のポイントを、もう一度まとめておきます。
- べと病は、湿気の多い時期に広がるかびの仲間の病気。葉に黄色っぽい斑点ができ、枯れていく
- 野菜の仲間ごとに原因のかびが違う。同じ仲間どうしではうつりやすい
- 玉ねぎは、秋から初冬に土から感染し、2〜3月に越年罹病株として症状が出る。春の雨で広がる
- 越年罹病株は、葉が淡い黄緑色で縮み、ねじれる。見つけたら抜いて畑の外へ
- 病気の元は土の中で十数年生き残ることがある。病気が出た場所には続けて植えない
- うねを高く、水はけと風通しをよく。肥料は効かせすぎず、切らさない
- きゅうりは、葉脈に区切られた角ばった黄色い斑点。斑点の葉は早めに取り、追肥を切らさない
- 取った葉や株、収穫のあとの残さは、畑に残さない
- 晴れが続いて白い粉ならうどんこ病、雨が続いて黄色い斑点ならべと病
- 玉ねぎは株間15cmほど、マルチやわらで泥はねを防ぐ。さび病や春の腐れとも見分ける
- 春は「雨の2週間ほどあと」に見回る。症状は感染から遅れて出る
べと病は、出てから止めるのがむずかしいぶん、予防がよく効く病気です。水はけ、植える場所、肥料の加減、そして2〜3月の見回り。この4つを続けるだけで、春の玉ねぎ畑の様子は大きく変わります。これから玉ねぎを植える方は、まず植える場所の水はけと、去年の様子を思い出すところから始めてみてください🧅
敷きわら
株元に敷いて、雨の泥はねを防ぎます。泥といっしょに病気の元が葉にはね上がるのを減らせます。
園芸ばさみ
斑点の出た葉は、はさみで葉のつけ根から切り取り、袋に入れて畑の外へ出します。
穴あき黒マルチ(15cm間隔)
玉ねぎの植えつけに。泥はねを防ぎ、株間もそろえやすくなります。
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