肥料の効きすぎ・肥料焼け 決定版|葉の色と形で見分けるサイン、野菜ごとの症状、立て直し方
📖 この記事の目次
この記事で分かること
- 肥料は、多ければ多いほど育つわけではありません。効きすぎると、葉ばかり茂って実がつかない、病気や虫が増える、根が傷む、味が落ちる、といった失敗につながります。
- 「肥料焼け」は、根のまわりの肥料が濃くなりすぎて、根が水を吸えなくなり、傷んでしまうことです。植え穴に肥料を入れすぎたときや、株元に追肥を固めて置いたときに起こりやすくなります。
- 効きすぎのサインは、葉の色が濃すぎる(黒っぽい緑)、葉が大きすぎる、葉が波打ったりねじれたりする、茎が太すぎる、つるばかり伸びる、など。
- 肥料切れのサインは、葉の色が淡い、下の葉から黄色くなる、葉が小さい、茎が細い、など。効きすぎと反対です。
- 効きすぎたときは、まず追肥を止めます。そのうえで、野菜ごとに、余分な養分を使わせる工夫をします。
- 肥料の失敗を防ぐには、元肥の量を守ること、追肥は株の様子を見てから決めること、堆肥で「肥料をたくわえる力」のある土にしておくことが大切です。
「元気がないから肥料を足そう」「もっと大きくしたいから多めに入れよう」。家庭菜園では、つい肥料を足したくなります。ところが、葉は青々と茂っているのに実がつかない、白菜が巻かない、大根が割れる、さつまいもがつるばかりで芋がほとんどない。その原因が、実は肥料の効きすぎだった、ということは少なくありません。
肥料は、足りないと育たず、多すぎてもうまく育たない、さじかげんのむずかしいものです。しかも、肥料の効き方は、土の性質や天気、前に育てた野菜によっても変わるので、同じ量を入れても、毎年同じ結果になるとは限りません。けれども、野菜は肥料が多すぎるとき、少なすぎるときに、葉の色や形で、ちゃんとサインを出しています。この記事では、肥料焼けのしくみから、効きすぎと肥料切れの見分け方、野菜ごとのサイン、効きすぎたときの立て直し方、肥料の失敗を防ぐ土づくりまで、順番に書いていきます。
早見:肥料の効きすぎの基本
効きすぎのサイン
- 葉の色が濃すぎる。黒っぽい、どすぐろい緑
- 葉が大きすぎる。茂りすぎて、株の中が暗い
- 葉が波打つ、ねじれる、内側に巻く。表面がでこぼこする
- 茎が太すぎる。先のほうの茎まで太い
- つるや茎ばかり伸びて、花や実がつかない、実が落ちる
- 病気や虫が増える
肥料切れのサイン
- 葉の色が淡い、黄緑色
- 下の古い葉から黄色くなる
- 葉が小さい、茎が細い
- 花の咲く位置が、株の先に近づいてくる(トマトなど)
- 実が小さい、曲がる(きゅうりなど)
肥料焼けのサイン
- 植えた直後や追肥の直後に、苗がしおれて、水をやっても戻らない
- 葉のふちや先が、茶色く焼けたように枯れる
- 根を見ると、茶色く傷んでいる
効きすぎたときにやること
- 追肥を止める
- 野菜ごとに、余分な養分を使わせる工夫をする(脇芽を育てる、つるの先を切る、など)
- 次の作付けでは、元肥を減らし、堆肥をしっかり入れる
肥料の基本をおさらい
3つの主な養分
肥料の袋には、「窒素・リン酸・カリ」の3つの数字が書かれていることが多いです。それぞれ、野菜の育ちの中で、主に次のような役割をしています。
- 窒素:葉や茎を育てる。不足すると葉の色が淡くなり、多すぎると葉ばかり茂る
- リン酸:花や実のつき、根の育ちにかかわる
- カリ:根や茎を丈夫にし、実を太らせる。水分の調整にもかかわる
肥料の効きすぎで問題になることが多いのは、窒素です。葉の色や大きさ、茂り方に、いちばんはっきり表れます。
早く効く肥料、ゆっくり効く肥料
- 早く効く:化成肥料(粒の肥料)、液体の肥料。まいてから比較的すぐに効く。量を間違えると効きすぎや肥料焼けにつながりやすい
- ゆっくり効く:油かす、米ぬか、ぼかし肥料など有機の肥料の多く。土の中の微生物が分解してから効く
- その中間:鶏ふんは、有機の肥料の中では比較的早く効く
早く効く肥料は、少しの量の違いが、すぐに株の様子に表れます。ゆっくり効く肥料は、効きはじめるまで時間がかかるぶん、「効いていない」と思って足してしまい、あとでまとめて効きすぎる、ということが起こりがちです。
肥料ごとの気をつけどころ
- 化成肥料:量を守る。株元に固めて置かない。プランターでは特に少なめに
- 鶏ふん:比較的早く効き、カルシウムも多い。入れすぎると効きすぎる。よく熟したものを使う
- 油かす:窒素が多い。葉物にはよいが、実の野菜や豆、さつまいもには控えめに。分解のときににおいや虫が出ることがある
- 牛ふん堆肥:養分は少なめで、土をふかふかにする役割が中心。肥料というより土づくりの資材
- 米ぬか:窒素は少なめ、リン酸が多い。生のまま株元にまかない
- ぼかし肥料:発酵させてあるので、生の有機物より根を傷めにくい。それでも量は守る
肥料焼けとは
根のまわりの肥料が濃すぎる
肥料は、土の中の水に溶けて、根から吸われます。ところが、根のまわりの肥料が濃くなりすぎると、根は水を吸えなくなり、反対に根の中の水が外へ引き出されてしまいます。その結果、根が傷み、株がしおれて、ひどいときは枯れてしまいます。これが「肥料焼け」です。
塩を土にまくと野菜が育たなくなるのと、よく似たしくみです。肥料も、濃すぎれば、根にとっては毒になります。
起こりやすい場面
- 植え穴の底に、肥料をたくさん入れて、すぐに苗を植えた
- 追肥の肥料を、株元にまとめて置いた
- 化成肥料を、決められた量よりたくさんまいた
- プランターなど、土の量が少ない場所に、肥料を多く入れた
- 雨が少なく、土が乾いているときに、肥料をたくさん入れた
生の有機物によるガス
肥料焼けとは少し違いますが、よく熟していない鶏ふんや、生の米ぬか、油かすなどを、植える直前に土に入れると、分解のときにガスや熱が出て、根を傷めることがあります。有機の肥料は、植える2〜3週間前までに土に混ぜておくと安心です。
根を見て確かめる
しおれた株が肥料焼けかどうか迷ったときは、株元を少し掘って、根を見ます。
- 元気な根:白く、先が細く伸びている
- 肥料焼けや傷んだ根:茶色く、先が黒ずんでいる。新しい白い根が少ない
- まわりの土:肥料の粒が固まって残っていないか、肥料のにおいが強くないか
根が茶色く傷み、近くに肥料のかたまりがあれば、肥料焼けの可能性が高くなります。
肥料焼けを防ぐ
- 元肥は、植える2〜3週間前までに土に混ぜておく
- 植え穴に肥料を入れる場合は、肥料の上に土をかぶせ、根がじかに触れないようにする
- 追肥は、株元から少し離れたところに、まとめて置かず、ばらまいて土と軽く混ぜる
- 決められた量を守る。量は、目分量でなく、一度量っておく
- 追肥のあとは、土が乾いていれば水をやって、肥料をなじませる
効きすぎると何が起きるのか
葉ばかり茂って、実がつかない
肥料の中でも、窒素は、葉や茎を育てる養分です。窒素が効きすぎると、野菜は葉や茎を育てることにばかり力を使い、花を咲かせたり、実を太らせたりすることが後回しになります。トマトやなす、豆の仲間、さつまいもなどで、「葉は立派なのに実がつかない」というときは、窒素の効きすぎを疑います。
病気や虫が増える
窒素が多いと、葉や茎がやわらかく、水っぽく育ちます。病気のかびが入りこみやすく、アブラムシなどの虫にとっても、汁を吸いやすいごちそうの株になります。葉が茂りすぎて風通しが悪くなることも、病気を増やす原因になります。
根の野菜が割れたり、また根になったりする
大根やにんじんは、肥料が効きすぎると、根が急に太ろうとして割れたり、根の先が肥料のかたまりに当たって傷み、何本にも分かれた「また根」になったりします。
味が落ちる
肥料が効きすぎた野菜は、大きく育っても、味がぼやけたり、えぐみが出たり、繊維がかたくなったりすることがあります。
野菜ごとのサイン
トマト
トマトは、株の先のほうを見ると、肥料の効き具合がよく分かります。
- ちょうどよい:先の葉が、ゆるやかに弧を描くように広がる。葉の色は明るい緑。株の先の茎の太さは、シャープペンシルくらい。いちばん上の花と、株の先端との間が、手のひらを広げたくらい
- 効きすぎ:先の葉が、内側にねじれて巻く。葉の色がどすぐろく、表面がでこぼこする。茎が太く、先のほうまで太い。ひどくなると、茎に割れ目や穴があく(めがね茎)。花が落ちやすい
- 肥料切れ:先の葉が小さく、ぴんと立つ。茎が細い。いちばん上の花と株の先端との間が狭くなる
なす、ピーマン
- 効きすぎ:葉の色が濃く、葉が大きく、葉の先が反り返るように曲がる。実がつきにくく、えぐみが出ることがある
- ちょうどよい:葉の色が明るい緑で、葉の大きさがそろっている
- 肥料切れ:葉の色が淡くなり、花の形が悪くなる。実のつきが悪くなる
収穫が続く夏は、2〜3週間に1回の追肥が目安ですが、効きすぎのサインが出ているときは、追肥を休んで様子を見ます。
きゅうり
- 効きすぎ:葉が大きく、色が濃く、茂りすぎる。つるばかり伸びて、実のつきが悪くなる。病気が出やすくなる
- 肥料切れ:葉の色が淡くなり、実が曲がったり、先が細くなったりする。下の葉が黄色くなる
きゅうりは、肥料切れにも弱い野菜です。効きすぎと肥料切れの両方のサインを、見回りのたびに確かめます。
キャベツ、白菜
- 効きすぎ:葉の色が濃い、くすんだ緑(モスグリーン)になり、葉が波打つ。外葉ばかり大きくなって、巻きがゆるい、または巻かない
- ちょうどよい:葉の色がさえた緑で、葉が素直に広がる
巻きがゆるいからといって、追肥を足すと、かえって巻かなくなることがあります。葉の色が濃く、波打っているなら、追肥はせずに様子を見ます。少し遅れても、巻きはじめることがあります。
ブロッコリー
- 効きすぎ:花蕾の表面のでこぼこが大きく、粒がそろわない。花蕾の色にむらが出る。花蕾の中が空洞になることがある
- ちょうどよい:花蕾の粒が細かくそろい、色が均一
大根、にんじん
- 効きすぎ:葉が大きく広がりすぎる。根が割れる、また根になる、肌が荒れる、繊維がかたい
- 肥料切れ:根が太らず、ひょろりと細い
大根は、土の中の養分を集める力が強い野菜です。元肥を多く入れすぎないほうが、形のよい大根になります。葉が大きすぎる大根は、効きすぎのサインです。
さつまいも(つるぼけ)
- 効きすぎ:葉の色が濃く、大きく、つるが太く、ぐんぐん伸びる。芋が太らない。これを「つるぼけ」と言います
- ちょうどよい:葉の色が明るい緑で、つるの伸びが落ちついている
さつまいもは、もともと肥料をほとんど要らない野菜です。元肥を入れていなくても、前に育てた野菜の肥料が土に残っていて、つるぼけになることがあります。
豆の仲間
えだまめ、いんげん、えんどう、そら豆などの豆の仲間は、根に住む菌の力で、空気中の窒素を養分にできます。そのため、窒素の肥料が多すぎると、葉やつるばかり茂って、花や実がつきにくくなります。元肥はごく控えめにします。
玉ねぎ、ねぎ
窒素が多すぎると、葉がひょろひょろと伸びて、べと病などの病気にかかりやすくなります。玉ねぎは、追肥の止めどきを過ぎて肥料が効いていると、玉のしまりが悪く、保存中に傷みやすくなります。
ほうれん草、小松菜などの葉物
葉物は、窒素をよく使う野菜ですが、多すぎると、葉が大きくやわらかく、水っぽくなり、虫がつきやすくなります。土が肥料を抱えておく力が弱いと、肥料の濃さが急に高くなって、根が傷み、育ちが悪くなることもあります。
かぼちゃ、すいか
かぼちゃやすいかも、さつまいもと同じように、窒素が多いとつるばかり伸びる「つるぼけ」になりやすい野菜です。葉が大きく茂り、雌花が咲いても実がつかない、ついても落ちてしまう、ということが起こります。元肥は控えめにし、実がついて太りはじめてから追肥をする、という順番にすると、つるぼけを防ぎやすくなります。
じゃがいも
窒素が多すぎると、茎や葉ばかりが大きく茂り、芋が小さいまま、ということがあります。茂りすぎた株は、葉が倒れて蒸れ、病気も出やすくなります。元肥は袋の量を守り、芽かきと土寄せのときの追肥も控えめにします。
とうもろこし
とうもろこしは、肥料をよく使う野菜です。肥料切れになると、葉の色が淡くなり、実の先まで粒が入らないことがあります。一方で、元肥をまとめて入れすぎると、根を傷めることもあるので、元肥と追肥に分けて入れます。
いちご
いちごは、根が肥料の濃さに弱い野菜です。植えつけのときに元肥を入れすぎたり、株元に追肥を固めて置いたりすると、根が傷んで、株が弱ることがあります。追肥は、株から少し離して、少量を何回かに分けて入れます。
見回りでの確かめ方
肥料の効き具合を確かめるときは、次の順で見ていきます。
1.同じ畑の、同じ野菜の株を、何株か並べて見比べる
2.葉の色:さえた緑か、どすぐろい緑か、淡い黄緑か
3.葉の大きさと形:大きすぎないか、波打ったりねじれたりしていないか
4.茎:太すぎないか、細すぎないか。トマトなら株の先の茎
5.花や実:花が落ちていないか、実のつき方はどうか
6.下の葉:黄色くなっていないか
7.気になる株があれば、株元の土を少し掘って、根と土の湿り気を見る
1回の見回りで決めつけず、1週間ほど様子を見て、変化を確かめてから判断すると、間違いが減ります。
効きすぎたときの立て直し方
まず、追肥を止める
効きすぎのサインが出たら、まず追肥を止めます。追肥の予定日でも、株の様子が効きすぎなら、その回は休みます。肥料は、野菜が吸ったり、雨で流れたりして、時間とともに減っていきます。
トマト:脇芽に養分を使わせる
トマトで効きすぎのサインが出たときは、ふだんは小さいうちに摘む脇芽を、すぐには摘まずに少し大きく育ててから摘む、という方法があります。脇芽が育つときに養分を使うので、余分な肥料を減らすことができます。主枝を2本にする仕立てにして、養分を分散させる方法もあります。
株の先が止まってしまった場合は、花の下から伸びている勢いのある脇芽を1本残して、そちらに伸びる役目を引き継がせます。
さつまいも:つるを返す、先を切る
つるぼけ気味のさつまいもは、地面に伸びたつるを持ち上げて、つるの節から出ている根を土から離し、ひっくり返しておきます(つる返し)。つるが土から養分を吸うのを減らすことができます。
暑い時期のつる返しが大変な場合は、伸びすぎたつるの先を切る方法もあります。勢いが強い株なら、先を切っても大きな問題はありません。支柱やネットにつるを上へ伸ばして、地面に根を下ろさせない方法もあります。
大根:次の作付けで調整する
大根は、育ってしまってから立て直すのはむずかしい野菜です。次の作付けで、次のことを試します。
- タネを多めにまいて、少し混みあい気味に育てる。株の数が多いと、土の中の肥料をみんなで吸うので、1本あたりの効きすぎがやわらぐ
- 土を深く掘って上下を入れかえる(天地返し)。肥料の残っている表面の土と、肥料の少ない下の土を入れかえる
なす、ピーマン:収穫を早めに進める
効きすぎで葉が茂りすぎたなすやピーマンは、追肥を休み、ついている実を早め早めに収穫して、株に実を育てる仕事をさせます。混みあった枝や葉を整理して、株の中に光と風を入れると、病気の予防にもなります。
豆の仲間:花が咲くまで待つ
窒素の効きすぎで茂った豆の仲間は、追肥をせずに、花が咲くのを待ちます。つるが伸びすぎた場合は、先を摘んで、わきから出る枝に花をつけさせる方法もあります。
キャベツ、白菜:待つ
効きすぎで巻きがゆるいときは、追肥をせずに待ちます。葉の色が落ちついてくると、少し遅れて巻きはじめることがあります。
水やりで肥料を流すか
プランターで明らかに肥料を入れすぎた場合は、たっぷり水をやって、鉢底から水が流れ出るようにし、土の中の余分な肥料を少し洗い流す方法があります。畑では、水で肥料を流す効果は限られるうえ、水のやりすぎで根を傷めることもあるので、無理に流そうとはしません。
肥料切れのときは
サインを確かめてから足す
葉の色が淡い、下の葉から黄色くなる、葉が小さい、といった肥料切れのサインが出たら、追肥をします。ただし、葉が黄色くなる原因は、肥料切れだけではありません。
- 水のやりすぎや、水はけの悪さで根が傷んでいる
- 水不足
- 寒さや暑さ
- 病気や虫
土を少し掘って、根の様子や、土の湿り気を確かめてから、追肥をするかどうかを決めます。根が傷んでいるときに肥料を足すと、かえって肥料焼けを起こすことがあります。
寒さで葉の色が変わることも
秋から冬にかけて、キャベツやブロッコリー、白菜などの葉が、紫っぽく色づくことがあります。これは、多くの場合、寒さに当たったことによるもので、肥料の不足とは限りません。気温が上がると、元の色に戻ることもあります。冬の葉の色の変化を見て、すぐに肥料を足さないようにします。
足すときは少しずつ
肥料切れだからといって、一度にたくさん足すと、今度は効きすぎや肥料焼けになります。決められた量を、何回かに分けて足し、株の様子を見ながら調整します。
液体の肥料を使うとき
液体の肥料は、水やりといっしょに与えられ、早く効くのが特徴です。そのぶん、濃さを間違えると、すぐに肥料焼けにつながります。
- 表示どおりの倍率にうすめる。「早く効かせたいから濃く」はしない
- 土が乾ききっているときは、先に水をやって土を湿らせてから与える
- 与える間隔を守る。毎回の水やりで与えない
- 葉にかけるタイプのものも、表示の倍率と回数を守る
プランターや育苗中の苗など、土が少ない場所では、表示よりさらにうすめに使うと安心です。
季節ごとに気をつけること
春の植えつけ
- 元肥は植える2〜3週間前までに。植え穴への入れすぎに注意
- 夏野菜の苗は、植えてから根づくまでの間に、追肥をしない
- さつまいもや豆の仲間の場所は、前の作付けの肥料が残っていないか考える
夏
- 収穫が続く野菜は、2〜3週間に1回の追肥が目安。ただし、効きすぎのサインがあるときは休む
- 雨が少なく土が乾いているときに、肥料をたくさん入れない。肥料が溶けずに残り、あとで雨が降ったときに一度に効くことがある
秋冬
- 秋冬野菜は、植えつけから育ちざかりにかけて肥料を使う。結球のころに効きすぎると巻きがゆるくなる
- 寒くなると、野菜が肥料を吸う量が減る。冬の追肥はごく少なめに
冬の土づくり
- 空いた場所に堆肥を入れて、土の「胃袋」を大きくしておく
- 前の年の失敗(効きすぎ、肥料切れ)を栽培の記録から振り返り、次の年の元肥の量を決める
プランターの肥料
土が少ないぶん、効きすぎやすい
プランターは土の量が限られているので、同じ量の肥料でも、畑より濃くなりやすく、効きすぎや肥料焼けが起こりやすくなります。一方で、水やりのたびに肥料が流れ出るので、肥料切れも起こりやすい、という難しさがあります。
- 市販の野菜用の培養土には、はじめから肥料が入っているものが多い。袋の表示を確かめ、元肥を足しすぎない
- 追肥は、少ない量を、こまめに
- 液体の肥料は、表示どおりにうすめる。濃くしない
- 葉の色や形の変化を、畑よりこまめに見る
肥料の失敗を防ぐ土づくり
堆肥で「肥料をたくわえる力」をつける
土には、肥料を抱えこんでたくわえておく力があります。この力が大きい土は、肥料を入れても急に濃くなりにくく、雨で流れ出しにくくなります。人にたとえると、胃袋が大きいようなものです。
この力を大きくするのが、堆肥や腐葉土などの有機物です。有機物が分解されてできる「腐植」が、肥料を抱えこむはたらきをします。有機物の少ないやせた土は、胃袋が小さく、少し肥料を入れすぎただけで濃くなりすぎ、肥料焼けを起こしやすくなります。毎年堆肥を入れるのは、この胃袋を大きくするためでもあります。
前の作付けの肥料を考える
前に育てた野菜に多く肥料を入れていると、次の野菜を植えるときにも、土に肥料が残っていることがあります。特に、さつまいもや豆の仲間など、肥料を控えたい野菜を植えるときは、前の野菜で肥料をたくさん使っていなかったかを思い出します。栽培の記録をつけておくと役に立ちます。
元肥は少なめ、追肥で調整
元肥を最初から多く入れると、あとから減らすことはできません。元肥は控えめにして、足りない分は、株の様子を見ながら追肥で足すほうが、失敗が少なくなります。
肥料を止める時期を知っておく
野菜によっては、収穫が近づいたら追肥をやめる時期があります。
- 玉ねぎ:春の追肥の止めどきを過ぎて肥料が効いていると、玉のしまりが悪く、保存中に傷みやすくなる
- 大根、にんじん:根が太りはじめてから追肥を重ねると、割れや肌荒れにつながる
- 葉物:収穫の直前に追肥をすると、葉がやわらかく水っぽくなり、傷みやすくなる
「いつまで追肥するか」を、植えるときに決めておくと、効きすぎを防げます。
記録をつける
何に、いつ、どの肥料を、どれだけ入れたか。そして、そのとき株がどうなったか。これを簡単にメモしておくと、次の年の失敗がぐっと減ります。
- 元肥の種類と量
- 追肥の日付と量
- 葉の色や形の変化、気づいたこと
- 収穫の量や、割れ、つるぼけなどの失敗
同じ場所で、前の年にどの野菜を育て、どれだけ肥料を入れたかが分かれば、次に植える野菜の元肥を決めやすくなります。
量は、量ってから
「ひと握り」の量は、人によってずいぶん違います。肥料の袋に書かれた量を目安に、はかりや計量カップで一度量っておき、自分の手で何杯分かを覚えておくと、まきすぎを防げます。
説明が分かれるところ
有機の肥料なら、効きすぎないか
有機の肥料は、ゆっくり効くので、効きすぎにくい、と言われることがあります。たしかに、化成肥料よりは急に効きにくいものが多いのですが、量が多ければ、有機の肥料でも効きすぎや肥料焼けは起こります。鶏ふんのように比較的早く効くものもあります。「有機だから安心」とは考えず、量を守ります。
効きすぎたトマトは、水を減らすか
肥料が効きすぎて茂りすぎたトマトは、水を控えると、株の勢いが落ちつく、という考え方があります。一方で、水を控えすぎると実が割れたり、尻腐れが出たりする心配もあります。まずは追肥を止め、脇芽で養分を使わせる方法から試すのが無難です。
無肥料で育てるか
前の作付けの肥料が残っている土なら、さつまいもや豆の仲間は、肥料を入れずに育てる人もいます。一方、やせた土で無肥料にすると、育ちが悪くなります。土の状態によって答えが変わるので、株の様子を見ながら判断します。
よくある失敗
元気がないので、肥料を足した
元気がない原因が、根の傷みや水の加減だった場合、肥料を足すとかえって悪くなります。原因を確かめてから足します。
植え穴に肥料を入れて、すぐ植えた
根が肥料にじかに触れて、肥料焼けを起こします。肥料の上に土をかぶせるか、植える前に時間をおきます。
追肥を株元に固めて置いた
株元の肥料が濃くなりすぎて、根を傷めます。株から少し離して、ばらまいて混ぜます。
巻かない白菜に、追肥をした
葉の色が濃く波打っているなら、効きすぎで巻かないのかもしれません。追肥はせずに待ちます。
さつまいもに、ほかの野菜と同じだけ元肥を入れた
つるぼけになって、芋が太りません。さつまいもは、元肥をごく少なく、または入れずに育てます。
よくある質問
葉の色が濃いのは、元気な証拠ではないのですか
健康な葉は、その野菜らしい、さえた緑色をしています。黒っぽい、どすぐろい緑になっているときは、肥料、特に窒素が効きすぎていることが多いです。同じ野菜の、元気な株の葉の色と見比べてみてください。
プランターで肥料焼けしました。どうすればいいですか
たっぷり水をやって、鉢底から水を流し、土の中の余分な肥料を少し洗い流します。そのうえで、しばらくは追肥をせず、日陰で株を休ませます。根が大きく傷んでいる場合は、新しい土に植え替えることも考えます。
肥料を入れすぎた畑は、どのくらいで元に戻りますか
雨の量や土の性質、育てる野菜によって違うので、はっきりした期間は言えません。肥料を多く使う野菜(葉物やとうもろこしなど)を育てて養分を吸わせる、深く掘って上下の土を入れかえる、堆肥を入れて土の「胃袋」を大きくする、といった方法で、少しずつ整えていきます。次の作付けでは、元肥を減らすか、入れずに始めて、株の様子を見ながら追肥で調整すると安心です。
肥料の袋の量は、そのまま守ればいいですか
袋に書かれた量は、一般的な目安です。土に堆肥がたっぷり入っている、前の作付けの肥料が残っている、といった場合は、少なめから始めます。株の様子を見ながら調整してください。
土の養分を測る道具は役に立ちますか
土の酸っぱさや、肥料の濃さの目安を測る、家庭向けの簡単な道具や検査の仕組みがあります。毎年肥料の失敗が続く場所や、前の作付けの肥料がどれだけ残っているか分からない場所では、一度測ってみると、元肥の量を決める手がかりになります。ただ、数字だけで決めず、実際の野菜の様子とあわせて判断します。
肥料焼けした苗は、元に戻りますか
根の傷みが軽ければ、追肥を止めて、土が乾きすぎないように水をやっていると、新しい根が伸びて回復することがあります。数日たっても、しおれたまま新しい葉が出てこない場合は、根が大きく傷んでいるので、予備の苗に植え替えることも考えます。植え替える場合は、肥料の濃い場所を避けて植えます。
雨のあとに追肥するのはよいですか
雨のあとは、土が湿っているので、肥料が溶けて根に届きやすくなります。ただし、大雨の直後で土がぬかるんでいるときは、作業で土を踏み固めてしまうので、少し乾いてから行います。反対に、大雨の直前に追肥すると、肥料が流れてしまうことがあります。
ほうれん草が、ところどころ育ちません
ほうれん草は窒素をよく使う野菜ですが、土の「胃袋」が小さい畑に肥料を多く入れると、肥料が濃くなりすぎて根が傷み、ところどころ株が育たず、すき間だらけになることがあります。酸性の土にも弱いので、石灰で土の酸っぱさを整え、堆肥をしっかり入れてからタネをまきます。
効きすぎかどうか、迷います
同じ畑の、同じ野菜の、元気に育っている株と見比べるのがいちばんです。葉の色、葉の大きさ、葉の形(波打つ、ねじれる)、茎の太さを比べてみてください。迷うときは、追肥を1回休んで、様子を見るのが安全です。
学ぶ:肥料のしくみ🔬
なぜ、濃すぎる肥料で根が傷むのか
水は、濃さの薄いほうから濃いほうへ移ろうとする性質があります。根の中の水よりも、根のまわりの土の水のほうが肥料で濃くなると、水は根の中から外へ引き出されてしまいます。根は水を吸えなくなるどころか、根の中の水まで失って、しおれて傷みます。なめくじに塩をかけると縮むのと、同じしくみです。
なぜ、窒素が多いと実がつきにくいのか
植物は、手に入る養分と光で作った栄養を、葉や茎を育てることと、花や実を育てることに振り分けています。窒素がたっぷりあると、植物は「まだまだ体を大きくできる」と、葉や茎を育てることを優先します。花を咲かせ、実をつけるのは、体がある程度育ち、養分の勢いが落ちついてきてからです。窒素が効きすぎると、この切りかえが遅れ、いつまでも葉や茎ばかり伸びることになります。
なぜ、肥料切れは下の葉から黄色くなるのか
窒素は、植物の体の中で移動させることができる養分です。肥料が切れて、根から吸える窒素が足りなくなると、植物は、古い下の葉にたくわえていた窒素を、これから育つ新しい葉へ移します。窒素を抜き取られた下の葉は、緑の色を保てなくなり、黄色くなっていきます。
下の葉から順に黄色くなるのは、植物が「若い葉を優先して守っている」しるしなのです。反対に、新しい葉ばかり色が悪い、葉の一部に斑点が出る、といった場合は、窒素の不足とは別の原因(ほかの養分の不足や、病気、寒さなど)を考えます。
なぜ、堆肥を入れると肥料の失敗が減るのか
土の中の腐植や粘土の粒は、表面に、肥料の成分をくっつけておく力を持っています。肥料を入れると、その一部が粒の表面にくっついて、土の水の中の濃さが急に上がるのを防ぎます。そして、野菜が養分を吸って水の中の濃さが下がると、粒の表面から少しずつ離れて、水の中に戻っていきます。こうして、腐植の多い土は、肥料の濃さを一定に保つ、ゆとりのある土になるのです。
まとめ
ここまで読んでくださって、ありがとうございます!
肥料の効きすぎ・肥料焼けのポイントを、もう一度まとめておきます。
- 肥料は多ければよいわけではない。効きすぎると、実がつかない、病気や虫が増える、根が割れる、味が落ちる
- 肥料焼けは、根のまわりの肥料が濃すぎて、根が水を吸えなくなること。植え穴や株元の入れすぎに注意
- 効きすぎのサインは、葉の色が濃すぎる、葉が大きい、波打つ・ねじれる、茎が太い、つるばかり伸びる
- 肥料切れのサインは、葉の色が淡い、下の葉から黄色い、葉が小さい、茎が細い
- トマトは株の先の葉と茎、キャベツや白菜は葉の色と波打ち、さつまいもはつるぼけを見る
- 効きすぎたら、まず追肥を止める。トマトは脇芽に養分を使わせる、さつまいもはつる返しや先を切る
- 葉が黄色いときは、肥料切れ以外の原因も確かめてから足す
- 堆肥で土の「胃袋」を大きくすると、肥料の失敗が減る。元肥は少なめ、追肥で調整
- 肥料焼けか迷ったら、根の色を見る。白い根は元気、茶色く黒ずんだ根は傷んでいる
- 液体の肥料は表示どおりにうすめる。濃くしない
肥料は、野菜の様子を見ながら加減するものです。袋の量や、人から聞いた量は、あくまで出発点です。まずは今度の見回りで、いちばん元気な株と、気になる株の葉の色と形を見比べてみてください。野菜が出しているサインが、きっと見えてきます🌿
牛ふん堆肥
養分は少なめで、土の「胃袋」を大きくする役割が中心。毎年入れると、肥料の濃さが急に上がりにくい土になります。
腐葉土
土をふかふかにし、肥料をたくわえる力を高めます。堆肥といっしょに冬の土づくりに。
鶏ふん
比較的早く効く有機の肥料。効きすぎやすいので、袋の量を守り、株元に固めて置かないようにします。
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