コガネムシの幼虫対策の決定版|土の中の白い虫の見分け方、根を守る予防、卵を産ませない工夫
📖 この記事の目次
この記事で分かること
- 畑の土を掘ると出てくる、白くて体を丸めた太い幼虫。その多くは、コガネムシの仲間の幼虫です。
- 幼虫は土の中で野菜の根を食べます。苗がしおれて水をやっても戻らない、株がぐらぐらする、さつまいもの皮に傷がつく、といった被害が出ます。
- 親のコガネムシは、夏(6〜9月ごろ、多いのは7〜8月)に飛んできて、土の中に卵を産みます。生まれた幼虫は、秋から冬、春にかけて土の中で育ちます。
- 対策は、「植える前に土の中を探して取る」と「卵を産ませない」の2つ。
- 卵を産ませないために、完熟していない堆肥や、くさりかけの草を土の表面に置かない、うね間をシートで覆う、などの工夫をします。
- 堆肥の山の中にいる幼虫は、草や葉を分解してくれる働き者でもあります。畑に入れないようにすれば、そこでは役に立ちます。
春に植えたなすの苗が、なぜか元気がない。水をやっても、しおれたまま戻らない。気になって株元を手で押してみると、ぐらぐらと揺れる。抜いてみると、根がほとんどなくなっていて、まわりの土から白い幼虫が出てきた。家庭菜園で、よくある話です。
コガネムシの幼虫は、土の中にいるので、被害が出るまで気づきにくい虫です。しかも、親は夏に飛んできて卵を産み、幼虫は秋から春まで、半年以上も土の中で根を食べ続けます。どの時期に何をすればよいのかが分かりにくいのも、対策がむずかしく感じる理由です。この記事では、幼虫の1年の暮らし方から、被害の見分け方、見つけ方、退治と予防、プランターの土の扱いまで、順番に書いていきます。
早見:コガネムシの幼虫対策の基本
見た目
- 白〜乳白色の太いいも虫。頭は茶色
- 体を半円のように丸めている
- 頭の近くに、短い足が3対ある
- 大きいものは長さ3cmほど
被害のしるし
- 苗がしおれて、水をやっても戻らない
- 株元を押すと、ぐらぐらする
- まわりのほかの株より、育ちが遅い
- さつまいもの皮に、浅くかじられた傷や穴
- まわりの雑草が、根ごと簡単に抜ける
1年の流れ(一般的な地域の目安)
- 6〜9月:親のコガネムシが飛び、土に卵を産む(多いのは7〜8月)
- 秋:生まれた幼虫が育ち、根を食べはじめる
- 冬:土の深いところで幼虫のまま冬を越す
- 春:暖かくなると浅いところへ上がってきて、根を食べる。やがてさなぎになる
やること
- 植える前に、土を掘り返して幼虫を探し、取る
- 完熟していない堆肥や、くさりかけの草を土の表面に置かない
- 夏は、使っていない土やうね間をシートで覆い、卵を産ませない
- プランターの土は、使い回す前にふるって幼虫を探す
- 苗は早めに植えて、根が少しかじられても持ち直せる株にする
コガネムシの幼虫という虫
どんなコガネムシか
畑で困るのは、ドウガネブイブイ、アオドウガネ、マメコガネなど、いくつかの種類のコガネムシの幼虫です。親は、金属のような光沢のある、緑や銅色の甲虫です。
親のコガネムシは、夏に飛んできて、豆の仲間やぶどうなどの葉を食べます。そして、夕方になると土の中にもぐって、卵を産みます。卵は10日ほどでかえり、生まれた幼虫は、はじめは土の中の堆肥などを食べ、大きくなると植物の根を盛んに食べるようになります。
親の見分け方
- ドウガネブイブイ:銅色っぽい、つやのある、やや大きめのコガネムシ
- アオドウガネ:全体が緑色に光るコガネムシ
- マメコガネ:小さめで、頭と胸が緑色に光り、背中の羽は茶色。豆の仲間やぶどうの葉に、群れでついていることがある
どの種類も、幼虫はよく似た白いいも虫です。幼虫の姿で種類を見分ける必要はありません。対策は同じです。
幼虫の見た目
幼虫は、白から乳白色の、ずんぐりと太いいも虫です。頭は茶色く、頭の近くに短い足が3対あります。土から掘り出すと、体を半円のように丸めます。大きいものは長さ3cmほどになります。
ほかの虫との見分け方
土の中で見つかる幼虫は、ほかにもいます。
- ヨトウムシやネキリムシ:黒っぽい、または茶色っぽい、いも虫。さわると丸まるが、体は細め。夜に地上に出て、葉や茎を食べる
- コガネムシの幼虫:白くて太い。足が頭の近くにだけある。土の中で根を食べる
- カブトムシの幼虫:コガネムシの幼虫とよく似ているが、ずっと大きい。堆肥の山や、腐葉土の中にいることが多い
コガネムシの幼虫とカブトムシの幼虫は、形がよく似ていて、大きさで見分けるのが分かりやすい目安です。畑のうねの中で、根のまわりにいる白い幼虫は、コガネムシの仲間と考えて対策します。
何を食べるのか
幼虫は、土の中で、いろいろな植物の根を食べます。特に好むと言われるのは、さつまいも、いちご、大豆(えだまめ)などですが、なすやトマト、ピーマンなどの夏野菜の苗、キャベツやブロッコリーの苗、雑草の根なども食べます。
大きくなるほど食べる量が増えます。特に、秋から冬、春に大きく育った幼虫が、春に植えた苗の根を食べて、苗を弱らせることがよくあります。
1年の暮らし方
夏:親が飛んできて、卵を産む
コガネムシの親は、6月ごろから9月ごろまで飛び回り、特に多いのは7〜8月です。昼は植物の葉を食べ、夕方になると土にもぐって卵を産みます。
親は、有機物の多い、やわらかい土を好んで卵を産みます。完熟していない堆肥や、くさりかけの草、落ち葉などが土の表面にあると、卵を産みに来やすくなり、生まれた幼虫のえさ場にもなります。
秋:幼虫が育ち、根を食べはじめる
夏に生まれた幼虫は、秋にかけて大きく育ち、根を食べはじめます。さつまいもでは、9月ごろから大きくなった幼虫が増え、収穫まで芋をかじり続けるので、収穫が遅いほど被害が大きくなる、と言われています。
秋に植えたキャベツやブロッコリー、いちごの苗が、植えてしばらくしてしおれてくるのも、この幼虫のしわざのことがあります。
冬:土の深いところで冬を越す
寒くなると、幼虫は土の深いところにもぐり、幼虫のまま冬を越します。冬に土を浅く掘っても見つかりにくいのは、このためです。
春:浅いところへ上がり、根を食べ、さなぎになる
春、暖かくなると、幼虫は浅いところへ上がってきて、また根を食べます。ちょうど、夏野菜の苗を植える時期です。植えたばかりの苗は根が少ないので、幼虫に根をかじられると、すぐにしおれてしまいます。
やがて幼虫は土の中でさなぎになり、初夏に親のコガネムシになって出てきます。こうして、1年に1回、同じことがくり返されます。
被害の見分け方
しおれて、水をやっても戻らない
暑い日に苗がしおれても、水をやって夕方に戻るなら、水不足のことが多いです。水をやってもしおれたまま、何日たっても元気が戻らない場合は、根に問題がある可能性があります。根が食べられていると、水を吸い上げられないからです。
株元がぐらぐらする
株元を指で軽く押してみて、ぐらぐらと揺れる場合は、根が張っていないか、根が食べられています。植えてしばらくたった苗が、植えたときよりぐらぐらしていたら、土の中を疑います。
まわりの株より育ちが遅い
同じ日に植えた苗のうち、1株だけ明らかに小さい、葉の色が悪い、という場合も、その株の根が食べられていることがあります。
さつまいもの皮の傷
さつまいもを掘ると、皮の表面に、浅くかじられたような傷や、小さな穴がたくさんついていることがあります。これは、コガネムシの幼虫がかじった跡のことが多いです。中まで食べられることは少ないですが、見た目が悪くなり、傷んだところから悪くなりやすくなります。
雑草が簡単に抜ける
畑のまわりの雑草が、根ごと、すっと抜けることがあります。雑草の根が、幼虫に食べられているのかもしれません。雑草でも被害が出ているなら、近くの野菜も危ないと考えて、土を探ります。
似た症状のほかの原因
しおれる原因は、ほかにもあります。
- 水不足:水をやると夕方には戻る
- 青枯れ病など、根や茎の病気:株元をつかんでも、ぐらぐらしない。茎を切ると、切り口が変色していることがある
- ネキリムシ:地ぎわで茎がかじり切られて、苗が倒れる
- コガネムシの幼虫:株元がぐらぐらし、抜くと根が少ない。まわりの土に白い幼虫がいる
迷ったときは、株元をつかんでみて、ぐらぐらするかどうかを確かめると、見分ける手がかりになります。
親のコガネムシの被害
葉を食べる
土の中の幼虫だけでなく、夏に飛んでくる親のコガネムシも、野菜の葉を食べます。豆の仲間、なす、ぶどう、ばらなどの葉に、緑や銅色に光る甲虫がついていたら、親のコガネムシです。
親は体が大きく、一度に食べる量も多いので、葉に大きくかじり取ったような穴があきます。種類によっては、葉の筋を残して、網のように食べるものもいます。
ふんが手がかり
親のコガネムシは、夕方から朝にかけて食べることが多く、昼間はなかなか姿が見えないことがあります。そんなときは、葉の上に落ちているふんを見ます。
ヨトウムシなどのいも虫のふんは、小さな丸い粒であることが多いのに対し、コガネムシの親のふんは、少し大きく、細長い形をしています。葉の上に細長いふんがあり、大きくかじられた跡があれば、コガネムシの親が来ていると考えます。
食べ跡の見分け方
- 大きくかじり取ったような穴:コガネムシの親
- 葉の表面が削られて、透けたような跡:ニジュウヤホシテントウ(テントウムシダマシ)など
- 小さな丸い穴がたくさん:ノミのように跳ねる小さな甲虫
- 葉の筋だけ残った網のような跡:若いヨトウムシや、コガネムシの一部の種類
実をかじられることも
夏、熟したトマトの実に、カナブンなどの甲虫がしがみついて、実をかじることもあります。実の上のほうが、大きくえぐられたように食べられていたら、この仲間のしわざです。なすの葉にコガネムシの仲間が来ている畑では、近くのトマトの実にも注意します。見つけたら取り、熟した実は早めに収穫します。
見つけ方と退治
しおれた株は、掘って確かめる
しおれた株、ぐらぐらする株があったら、まわりの土をそっと掘ってみます。株元から少し離れたところから、移植ごてで土をほぐしていくと、根のまわりに白い幼虫が見つかることがあります。
1株に何匹もいることがあります。見つけた幼虫は、取り除きます。根がほとんどなくなっている苗は、元に戻りにくいので、幼虫を取ったうえで、予備の苗に植え替えます。
植える前に、土を掘って探す
いちばん効くのは、苗を植える前に、土を掘り返して幼虫を探すことです。
1.うねを作る前に、スコップで30cmほどの深さまで土を掘り起こします。
2.掘り起こした土を、少しずつ崩しながら見ていきます。
3.白い幼虫が見つかったら、取り除きます。
4.うねの部分だけでなく、うねとうねの間(うね間)も掘り起こします。うね間の雑草の根を食べている幼虫が、野菜の根に移ってくるからです。
春の植えつけ前と、秋の植えつけ前に、この作業をしておくと、被害がぐっと減ります。
マルチを張ったあとでも
すでにマルチを張ってしまった場合でも、植える直前に、植え穴のまわりのマルチを少しめくって、土を探ってみる価値があります。マルチを破らないように、すそを外してめくれば、また張り直せます。
植える前の点検の手順
春と秋の植えつけ前に、次の手順で土を点検すると、コガネムシの幼虫だけでなく、ヨトウムシやネキリムシの幼虫、さなぎもまとめて見つけられます。
1.前の野菜の片づけが終わったら、マルチをはがし、残った根や草を取り除きます。
2.いきなりくわで深く耕さず、まず移植ごてで、表面から10〜15cmほどの土を少しずつ探ります。浅いところにいる虫を、深くへ埋めこまないためです。
3.次に、スコップで30cmほどの深さまで、ひと区画ずつ掘り起こします。
4.掘り出した土のかたまりを、手やくわで崩しながら見ていきます。白い幼虫、黒っぽいいも虫、茶色いさなぎがいないか探します。
5.見つけた虫は、バケツなどにまとめて入れていきます。
6.うね間も同じように掘り起こします。
7.最後に、堆肥や元肥を入れて、うねを作ります。
狭い場所やプランターなら、土をふるいにかけると、取りこぼしが少なくなります。
取った幼虫をどうするか
取った幼虫は、畑の中に戻さないようにします。鳥が食べに来る場所に置いておく人もいます。
被害が出た株の手当て
しおれた株から幼虫を取り除いたら、根の残り方を見て、次のように手当てします。
- 根がある程度残っている場合:土を戻して、株元をしっかり押さえ、たっぷり水をやります。数日様子を見て、新しい葉が伸びてくれば持ち直しています。
- 根がほとんど残っていない場合:持ち直すのはむずかしいので、予備の苗に植え替えます。植え替える前に、まわりの土を広めに探って、ほかの幼虫も取っておきます。
苗を植えるときは、何株か予備の苗を用意しておくと、こうしたときに慌てずにすみます。
卵を産ませない予防
完熟していない堆肥を、表面に置かない
コガネムシの親は、有機物の多いやわらかい土に卵を産みます。完熟していない堆肥や、くさりかけの草、落ち葉、米ぬかなどを土の表面に置いておくと、卵を産みに来やすくなります。生まれた幼虫にとっても、最初のえさ場になります。
- 畑に入れる堆肥は、よく完熟したものを使う
- 入れた堆肥は、表面に置きっぱなしにせず、土とよく混ぜる
- 野菜くずや刈った草を、うねの上に放置しない
肥料は、植えるまでに土となじませる
米ぬかや油かす、鶏ふんなどの有機の肥料を土に入れると、分解が進むあいだ、においが出ます。このにおいに、いろいろな虫が寄ってくることがあります。有機の肥料は、植える2〜3週間前までに入れて、よく土と混ぜ、分解が落ちつくまで時間をとってから植えるようにします。
植える直前に肥料を入れ、表面に残ったままにしておくのは、虫を呼ぶもとになります。
夏に、空いた土とうね間を覆う
親が卵を産む夏(特に7〜8月)に、土がむき出しになっていると、卵を産まれやすくなります。
- うねにはマルチを張る
- うね間は、防草シートなどで覆う
- しばらく使わない場所は、シートで覆っておく
全部を覆うのは大変ですが、毎年コガネムシの幼虫で困っている場所や、さつまいもを育てる場所だけでも覆っておくと、効果が期待できます。さつまいもの場合、うね間を防草シートで覆っておくと、つるがうね間に根を下ろすのも防げて、一石二鳥です。
夏の太陽熱で土を温める
夏の暑い時期に、土に水をまいてから透明のマルチをぴったりかぶせて、1か月ほど置いておくと、土の中がとても高い温度になり、浅いところの卵や幼虫を減らすことができます。雑草のタネや、病気の元を減らす効果も期待できます。秋冬野菜を植える予定の場所なら、7月ごろから始めます。
防虫ネットで、親を入れない
防虫ネットのトンネルの中には、親のコガネムシが入れないので、卵を産まれることもありません。ただし、ネットの中の土に、はじめから幼虫がいた場合は防げません。ネットをかける前に、土を探っておくことが大切です。
見つけた親は取る
夏、豆の仲間などの葉に、緑や銅色に光る甲虫がついていたら、親のコガネムシです。見つけたら取ります。葉の真下に、水を入れた容器を構えて、葉を軽くたたくと、ぽとりと落ちてきます。コガネムシの親は、つかまえようとすると、足を縮めて下に落ちる性質があるからです。
苗は早めに植える
夏野菜の苗は、植えどきの中でも早めに植えて、根をしっかり張らせておくと、多少根をかじられても持ち直しやすくなります。植えつけが遅れて、根が少ない時期に幼虫が浅いところへ上がってくると、被害が大きくなりやすくなります。たとえばピーマンなら、一般的な地域では4月中旬から5月の大型連休ごろまでに植えておくと、根をかじられても持ち直しやすくなります。植えたあと元気がなく、株元がぐらぐらするときは、一度抜いて、まわりの土の中の幼虫を探してから植え直します。植えつけが遅れると、その後の育ちも遅れて、収穫の量が減ることにもつながります。
天敵を味方にする
コガネムシの幼虫にも、天敵がいます。土を掘り起こしていると、鳥がそばに降りてきて、出てきた幼虫をついばんでいくことがあります。モグラも、土の中で幼虫を食べます。地面を歩き回るオサムシなどの甲虫や、幼虫に卵を産みつけるはちの仲間もいます。
強い薬を土に混ぜると、こうした天敵や、ミミズなどの役に立つ生き物も減ってしまいます。手で探して取る、卵を産ませない工夫をする、という方法を中心にすると、天敵もはたらきやすい畑になります。
まわりの環境にも目を向ける
畑のすぐそばに、雑草が茂った空き地や、親のコガネムシが葉を食べに集まる木があると、そこから親が飛んできて、畑に卵を産みやすくなります。こうした場所が近い畑では、夏の間、土をむき出しにしないこと、見つけた親を取ることを、特に念入りに行います。
季節ごとにやること
- 1〜2月:土が深くまで冷えている時期。空いた畑は土を大きく掘り起こして寒さに当てる。出てきた幼虫は取る
- 3〜4月:夏野菜を植える前に、30cmほど掘り起こして幼虫を探す。うね間も忘れずに
- 5月:植えた苗の様子を見る。しおれる株、ぐらぐらする株は掘って確かめる
- 6〜9月:親が飛んで卵を産む時期。空いた土とうね間を覆う。完熟していない有機物を表面に置かない。見つけた親は取る。太陽熱で土を温める
- 9〜11月:さつまいもは収穫が遅いほど被害が増えるので、とりどきを逃さない。秋の植えつけ前に土を探る
- 12月:収穫の終わった場所を掘り起こして、幼虫を探す
堆肥の山の幼虫は、働き者
分解を助けている
畑のすみの堆肥の山や、野菜くずを積んでいる場所を掘ると、白い幼虫がたくさん出てくることがあります。この幼虫たちは、そこでは、野菜くずや草、根を食べて、ふんにして出すことで、分解を早めてくれています。ふんは、微生物のえさにもなります。
だから、堆肥の山の中の幼虫を、わざわざ退治する必要はありません。ミミズやダンゴムシなども、同じように堆肥の山で分解を助けています。野菜くずや草は、なるべく細かく切ってから積むと、分解が早く進みます。
畑には入れない
困るのは、堆肥といっしょに幼虫を畑へ運びこんでしまうことです。堆肥を畑に入れる前に、ふるいにかけて、出てきた幼虫や、大きな分解しきっていないかたまりは、堆肥の山に戻します。
よく完熟した堆肥の中には、幼虫はほとんどいません。えさになるものが残っていないからです。完熟した堆肥を使うことは、幼虫を運びこまないことにもつながります。
野菜ごとの注意
さつまいも
コガネムシの幼虫の被害が、特に目立つ野菜です。植える前に土を探る、うねにマルチを張り、うね間を防草シートで覆う、完熟していない有機物を入れない、を組み合わせます。収穫が遅いほど被害が増えるので、とりどきを逃さないようにします。
さつまいもをくわしく
さつまいもは、コガネムシの幼虫の被害がいちばん目立ちやすい野菜です。次の順で守ります。
1.植える前(5月ごろ):30cmほど掘り起こして幼虫を探す。うね間も掘る
2.うね作り:完熟した堆肥だけを使い、表面に有機物を残さない。うねにマルチを張る
3.植えたあと(6〜8月):親が卵を産む時期。うね間を防草シートで覆い、土をむき出しにしない
4.収穫(9〜11月):大きくなった幼虫は、9月以降に増え、収穫まで芋をかじり続ける。とりどきを逃さない
5.収穫のあと:掘り上げた土の中の幼虫を取ってから、次の作付けへ
前の年に被害が大きかった場所では、さつまいもを別の場所に移すことも考えます。
いちご
秋に植えたいちごの苗が、冬から春にかけてしおれてくることがあります。株元がぐらぐらしたら、掘って確かめます。植える前の土をよく探っておくことが大切です。
えだまめ、豆の仲間
親のコガネムシが葉を食べに来る野菜でもあり、土の中では幼虫が根を食べます。夏に葉が網のように食べられていたら、親がいないか探します。
なす、トマト、ピーマン
春に植えた苗が根を食べられて、しおれることがあります。植える前の土を探り、早めに植えて根を張らせます。夏には、熟したトマトの実に、カナブンなどの甲虫がついてかじることもあります。
キャベツ、ブロッコリーなど秋冬野菜
夏に産まれた卵からかえった幼虫が、秋に植えた苗の根を食べることがあります。秋の植えつけ前にも、土を探っておきます。
じゃがいも、大根、にんじんなど
土の中で育つ芋や根を食べる野菜は、幼虫にかじられると、その跡がそのまま残ります。じゃがいもの表面に浅い穴があいていたり、大根やにんじんの表面がところどころかじられていたりしたら、幼虫がいた可能性があります。こうした野菜を育てる場所は、タネまきや植えつけの前に、土を深めに掘って探しておきます。収穫したときに幼虫が出てきたら、その場所は次の作付けの前にも念入りに探ります。
プランターの土に注意
プランターにも卵を産む
親のコガネムシは、ベランダのプランターにも飛んできて、卵を産みます。プランターでさつまいもを育てたら、収穫のときに幼虫がたくさん出てきて、芋がほとんど食べられていた、ということもあります。
土を使い回す前に、ふるう
プランターの土を次の野菜に使い回すときは、そのまま使わず、一度土をあけて、ふるいにかけます。白い幼虫や卵が見つかったら、取り除きます。
土をしばらく使わない場合は、黒いビニール袋に入れて日当たりのよい場所に置き、熱で温める方法もあります。熱いお湯を土にかける方法もありますが、やけどに気をつけてください。
夏の間は、土をむき出しにしない
使っていないプランターの土を、夏の間、むき出しのまま置いておくと、卵を産まれやすくなります。袋に入れて口を閉じておくか、ふたや不織布で覆っておきます。
説明が分かれるところ
幼虫は害虫か、役に立つ虫か
畑のうねの中では根を食べる害虫ですが、堆肥の山の中では分解を助ける働き者です。どちらの面を見るかで、説明が分かれます。「畑では取り、堆肥の山ではそのまま」と、場所で扱いを分けるのが、現実的な答えです。
うね間を覆うか、覆わないか
うね間を防草シートで覆うと、卵を産まれる場所が減ります。一方で、手間と費用がかかり、雑草を少し残して天敵の居場所にしたい、という考え方もあります。毎年コガネムシの被害が大きい場所や、さつまいもの場所だけ覆う、という使い分けもできます。
冬に土を掘り起こすのは効くか
冬に空いた畑の土を大きく掘り起こして寒さに当てると、土の中の虫が減る、という説明があります。一方で、コガネムシの幼虫は冬は土の深いところにいるので、冬の掘り起こしだけで大きく減らすのはむずかしい、という見方もあります。
冬の掘り起こしは、ヨトウムシのさなぎなど、浅いところにいる虫に効きやすい作業と考え、コガネムシの幼虫には、春の植えつけ前の点検をあわせて行うのが確実です。
太陽熱で温めるか
夏の太陽熱で土を温める方法は、卵や幼虫、雑草のタネを減らせる一方、その間は畑を使えず、土の中の役に立つ生き物にも影響します。被害が大きかった場所に絞って行うのがよいでしょう。
よくある失敗
しおれた苗に、水をやり続けた
根が食べられている苗は、水をやっても戻りません。数日たっても戻らなければ、掘って確かめます。
うねだけ掘って、うね間を掘らなかった
うね間の雑草の根を食べている幼虫が、野菜の根に移ってきます。うね間も掘り起こします。
完熟していない堆肥を、表面にまいた
卵を産みに来やすくなり、幼虫のえさ場にもなります。完熟した堆肥を、土とよく混ぜて使います。
堆肥の山の幼虫ごと、畑に入れた
ふるいにかけて、幼虫は堆肥の山に戻します。
プランターの土を、そのまま使い回した
前の年に産まれた卵や幼虫が、土の中に残っていることがあります。ふるってから使います。
よくある質問
ミミズとの違いは
ミミズは、細長く、足がなく、体がのびちぢみします。土を食べて、ふんとして出すことで、土をふかふかにしてくれる、役に立つ生き物です。コガネムシの幼虫は、太くて白く、頭の近くに足があり、体を丸めています。ミミズは取らずに、土に戻してください。
市販の薬はありますか
土の中の虫に使える市販の薬もあります。使う場合は、ラベルに書かれた野菜の名前、使う時期、量を必ず確かめてください。薬を使わない場合は、この記事の、掘って探す・卵を産ませない、の2つを続けることが中心になります。
冬に土を掘っても、幼虫が見つかりません
冬は、幼虫が土の深いところにもぐっています。春、暖かくなって浅いところへ上がってきたころに、植えつけ前の土を探ると、見つけやすくなります。
1匹見つけたら、ほかにもいますか
いることが多いです。親は、1か所に何個も卵を産みます。1匹見つけたら、そのまわりも広めに探します。
モグラが出るのは、幼虫がいるからですか
モグラは、土の中のミミズや虫の幼虫を食べます。コガネムシの幼虫も、モグラのえさの1つです。モグラが多い畑は、土の中に虫やミミズが多い畑、とも言えます。
幼虫がとても多い区画は、土を入れ替えたほうがいいですか
前の年にひどい被害が出て、掘っても掘っても幼虫が出てくるような区画では、表面から30cmほどの土を取りのぞいて、ほかの場所の土と入れ替える、という方法をとる人もいます。ただ、大がかりな作業になるので、まずは、植える前の点検をていねいに行い、夏に土を覆って新しい卵を産ませない、という基本を1〜2年続けてみてください。それでも減らなければ、土の入れ替えや、育てる野菜の場所を変えることを考えます。
幼虫を見つけたのに、株が元気です
根がたくさんある大きな株なら、幼虫に少しかじられても、すぐにはしおれません。ただ、幼虫が大きくなるにつれて食べる量も増えるので、見つけたものは取っておきます。株元のまわりも、軽く探っておくと安心です。
芝生や花壇の近くの畑で、毎年出ます
芝生や花壇の土の中にも、コガネムシの幼虫はよくいます。そこで育った親が、近くの畑に飛んできて卵を産みます。畑の中だけでなく、まわりから来ることを前提に、夏に土を覆う、植える前に土を探る、を毎年続けてください。
収穫が終わったら、何をすればいいですか
収穫が終わった場所は、根を抜いたあとに、土を掘り起こして幼虫を探しておきます。特に、さつまいもやいちごなど、被害が大きかった場所は念入りに。ここで取っておくと、次の野菜の被害が減ります。
さつまいもの傷は、食べられますか
皮の浅い傷なら、そこを厚めにむけば食べられます。傷のあるものは傷みやすいので、先に食べるようにします。
学ぶ:コガネムシの幼虫のしくみ🔬
なぜ、土の中で暮らすのか
コガネムシの仲間は、一生の大部分を幼虫として土の中で過ごします。土の中は、温度や湿り気の変化が小さく、天敵にも見つかりにくい場所です。そして、植物の根や有機物という、えさがたくさんあります。親として地上で過ごすのは、夏のわずかな期間だけです。
なぜ、未熟な堆肥に集まるのか
生まれたばかりの幼虫は、まだあごの力が弱く、生きた根をかじるのはむずかしい大きさです。そこで、やわらかく分解しかけた有機物を食べて育ちます。親が、有機物の多い土を選んで卵を産むのは、生まれた子のえさを用意するためだと考えられます。
完熟した堆肥は、えさになる部分がほとんど分解しきっているので、幼虫は育ちにくくなります。未熟な堆肥を避けるのは、コガネムシにとっての「子育ての場所」を作らないことなのです。
なぜ、春の被害が大きいのか
幼虫は、生まれてから何度か皮を脱いで大きくなります。夏に生まれた幼虫は、秋から冬を越すまでに大きく育ち、春には、いちばん大きく、よく食べる段階になっています。
一方、春に植えた苗は、根がまだ少なく、少しかじられただけで水を吸えなくなります。「いちばんよく食べる幼虫」と「いちばん根の少ない苗」が出会うのが、春の植えつけの時期です。植える前に土を探ることが、何より効く理由はここにあります。
なぜ、根を食べられると、しおれるのか
植物は、根の先の細い根毛から、水を吸い上げています。幼虫は、このやわらかい根を好んで食べます。根毛がなくなると、植物は水を吸えなくなり、どれだけ水をやってもしおれたままになります。水をやっても戻らないしおれは、根の働きが失われたしるしなのです。
まとめ
ここまで読んでくださって、ありがとうございます!
コガネムシの幼虫対策のポイントを、もう一度まとめておきます。
- 土の中の白くて太い、丸まった幼虫は、コガネムシの仲間の幼虫。根を食べる
- しおれて水をやっても戻らない、株元がぐらぐらする、さつまいもの皮の傷は、幼虫のしわざかも
- 親は6〜9月(特に7〜8月)に飛び、有機物の多いやわらかい土に卵を産む
- 幼虫は土の深いところで冬を越し、春に浅いところへ上がって根を食べる
- 植える前に30cmほど掘り起こして探す。うね間も忘れずに
- 完熟していない堆肥や、くさりかけの草を土の表面に置かない
- 夏は空いた土とうね間を覆って、卵を産ませない
- 堆肥の山の幼虫は働き者。ふるって、畑には入れない
- しおれた株は掘って確かめ、根が残っていなければ予備の苗に植え替える
- 親のふんは細長い。葉の大きな穴と細長いふんがあれば、親が来ている
- プランターの土は、使い回す前にふるう
- 苗は早めに植えて根を張らせ、予備の苗を用意しておく
- 有機の肥料は植える2〜3週間前までに入れて、土となじませる
コガネムシの幼虫は、土の中にいて見えないぶん、気づいたときには被害が出ていることが多い虫です。それでも、1年の暮らし方が分かれば、手を打つ時期ははっきりしています。次に苗を植える前に、まずスコップでひと掘り、土の中を見てみてください🪲
防草シート
夏にうね間や空いた土を覆うと、親のコガネムシが卵を産む場所が減ります。
移植ごて
植える前に、表面の土を少しずつ探って幼虫を見つけるのに使います。
透明マルチ
夏の太陽熱で土を温めて、浅いところの卵や幼虫、雑草のタネを減らします。
次に読む
記事一覧へ