苗選びとタネまきの基本|いい苗の見分け方・ポットの裏・接ぎ木苗・まく深さと鎮圧
どうも、8150(えいこう)です🌱 家庭菜園歴8年、理科の教員免許を持っていて、有機・無農薬で野菜を育てています。
📖 この記事の目次
この記事で分かること
- 苗を買うなら、背の高さより「茎のがっしり感」と「葉のようす」を見ます。ひょろっと伸びた苗(徒長苗)は避けます。
- 虫食いや病気のあと、なんとなくの違和感がある苗は、無理に買わないほうが安心です。
- ポットの底の穴から根が出ている苗は、根が古くなっている(老化している)ことがあります。
- 初めて夏野菜を育てるなら、病気に強い台木につないだ「接ぎ木苗」が心強い味方です。ただし、自根の苗でも十分という声もあります。
- タネをまく深さは、種の性質で変わります。光を好む種は浅く、光を嫌う種はしっかり土をかけます。
- まいたあと、上から押さえて種と土をくっつける「鎮圧」を忘れると、芽が出にくくなります。
野菜づくりの最初の一歩は、苗を買うか、タネをまくか、です。
ホームセンターの売り場には、同じ野菜の苗がずらっと並んでいて、「どれを選べばいいの?」と迷ってしまいますよね。タネをまいてみたら、なかなか芽が出なかった、という経験がある方も多いと思います。
安心してください。苗選びにもタネまきにも、ちゃんと見るべきポイントがあります。この記事では、売り場での苗の見分け方から、タネをまく深さ、芽を出させるコツまで、順番に書いていきます。
早見:苗選びとタネまきの基本(ひと目で分かる目安)
いい苗
- 背が低くても、茎が太くてがっしりしている
- 葉の色がよく、形や大きさがそろっている
- 節と節のあいだ(節間)がつまっている
- 虫食いや病気のあとがない
- ポットの土が、からからに乾いていない
避けたい苗
- ひょろっと背だけ高い(徒長苗)
- 葉が黄色い、茶色く傷んでいる、形がばらばら
- 葉の裏に虫や卵、葉に白い粉や斑点がある
- ポットの底から根がたくさん出ている(老化していることがある)
- なんとなく違和感がある
野菜ごとの苗の目安
- 玉ねぎ:長さ20〜30cm、太さ5〜8mmくらい。細すぎても太すぎてもよくない
- スナップえんどう:10cmくらいまで。20cmを超えるようなひょろ長い苗は避ける
- さつまいも:長さ30〜35cmくらい、葉が7〜8枚以上
- 夏野菜(トマト・ナス・きゅうりなど):背が低くてがっしり、葉の色がよいもの
タネまきの目安
- まく深さ:種の大きさの3倍くらいが一般的な目安
- 光を好む種(にんじん、レタス、春菊など):ごく浅く、種が見えるくらい
- 光を嫌う種(大根など):1cmくらい、しっかり土をかける
- まいたら:上から押さえて、種と土をくっつける(鎮圧)
- 夏野菜の発芽にちょうどいい温度:25〜30度くらい
苗が売り場に並ぶ季節
- 3〜5月:トマト、ナス、ピーマン、きゅうり、ズッキーニ、かぼちゃ、スイカなどの夏野菜の苗
- 5〜6月:さつまいもの苗(つる)
- 8月末〜9月:白菜、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、レタスなど秋冬野菜の苗
- 10月ごろ:いちごの苗、スナップえんどう・そら豆の苗
- 11月ごろ:玉ねぎの苗
秋冬野菜は、植えつけの時期がとても大事です。寒くなるまでに育てられる期間が短いので、白菜やキャベツは9月の中ごろまでに植えたいところです。苗が並び始めたら、早めに手に入れておきましょう。
種袋の読み方
種をまくなら、まず種袋の裏をよく読みます。育て方の大事な情報が、ぎっしり書かれています。
- まきどき:地域ごと(寒い地域・一般的な地域・暖かい地域)に、種をまく時期と収穫の時期が表になっている
- 発芽適温:芽が出やすい温度
- 発芽率:まいた種のうち、どれくらいの割合で芽が出るかの目安
- 有効期限:この日までにまけば、表示の発芽率が期待できる、という期限
- 株間・条間:株と株、列と列のあいだの目安
- 好光性・嫌光性:光を好む種か、嫌う種か(書かれていないこともある)
自分の地域の欄を確かめて、まく時期を決めてください。
作業の手順
ここからは、苗を買うときと、タネをまくときの流れを、順番に書いていきます。
手順1:苗を買う時期を決める
苗は、植えつけの時期に合わせて売り場に並びます。夏野菜なら4月から5月、秋冬野菜なら8月の終わりから9月、玉ねぎなら11月ごろです。
人気の品種や、玉ねぎの苗などは、すぐに売り切れてしまうことがあります。でも、だからといって、小さすぎる苗や、古くなった苗を無理に買う必要はありません。いい苗が見つからなければ、別のお店を探すか、少し待ってみてください。
また、苗を買ったら、なるべく早く植えるのが基本です。ポットに入れたまま置いておくと、根がつまって、苗がどんどん老化していきます。植える日の予定を立ててから買いに行きましょう。
手順2:苗全体を見る
売り場では、まず苗全体を見ます。
- 背の高さより、茎の太さと、株元の締まり具合を見る
- 葉の色が濃く、しっかりしているか
- 葉の形や大きさがそろっているか
背の高い苗のほうが立派に見えて、つい選んでしまいがちです。売り場では、どうしても大きく育った苗のほうに目が行ってしまいますよね。でも、背が低くても、葉がしっかりしていて、茎ががっしりしている苗のほうが、植えたあとに強く育ちます。
手順3:徒長苗を見分ける
「徒長(とちょう)」とは、苗がひょろひょろと細長く伸びてしまった状態のことです。
- 茎が細く、ひょろっと長い
- 葉と葉のあいだ(節間)が長く、すかすかしている
- 葉の色が薄い
徒長した苗は、植えたあと、風で倒れたり折れたりしやすく、育ちも弱くなりがちです。同じ値段なら、背が低くてもがっしりした苗を選んでください。
ただし、少し徒長しているくらいなら、植えたあとに追いついて、ちゃんと育つこともあります。「徒長苗は絶対にだめ」というより、「選べるなら、がっしりした苗を」と考えてください。
手順4:虫と病気を見る
葉を1枚めくって、裏も見てください。
- 葉の裏に、小さな虫や卵がついていないか
- 葉に虫食いの穴がないか
- 葉に白い粉のようなもの、黒や茶色の斑点がないか
- 葉が縮れたり、変な形になったりしていないか
特に、薬を使わずに育てたい方は、ここを厳しめに見ておくと安心です。植えてから虫を取るより、売り場で避けるほうがずっと楽です。売り場で虫や卵がついていた苗を畑に植えると、そこから畑全体に広がることがあります。
そして、「なんとなく、この苗は変だな」と感じたら、無理に買わないほうがいい、という考え方もあります。迷ったら、ほかの苗を選びましょう。
手順5:ポットを確かめる
苗選びで、意外と見落としがちなのが、ポットです。
- ポットの土が、からからに乾いていないか(水切れで弱っていることがある)
- ポットの底の穴から、根がたくさん出ていないか
ポットの底から根がたくさん出ている苗は、ポットの中で根がいっぱいになって、ぐるぐる巻いている状態のことがあります。こういう苗は、根が古くなって(老化して)いることがあり、植えたあとの根の伸びが遅れることがあります。
ただし、根が少し見えているくらいなら、根がしっかり張っている証拠でもあります。同じ野菜、同じ値段の苗が並んでいたら、ポットの底も見比べて、根の状態がちょうどいいものを選んでください。
手順6:接ぎ木苗か、自根苗かを選ぶ
夏野菜の苗には、「接ぎ木苗(つぎきなえ)」と「自根苗(じこんなえ)」があります。
- 接ぎ木苗:病気や土の中の虫(センチュウ)に強い品種の根(台木)に、実がよくなる品種(穂木)をつないで作った苗。値段は少し高め
- 自根苗:種からそのまま育てた苗。値段は安め
接ぎ木苗は、根が病気に強いので、同じ場所で続けて育てたときの障害(連作障害)や、病気に強いと言われます。初めて夏野菜を育てるなら、接ぎ木苗を選ぶと安心です。
一方で、トマトなら自根苗でも十分育つ、という声もあります。どちらを選ぶかは、畑の状態や、予算に合わせて決めてください(あとで両方の考え方を書きます)。
接ぎ木苗を植えるときは、次のことに気をつけます。
- つぎ目についている透明なクリップやキャップは、無理に外さない(自然に外れるまで待つ)
- つぎ目が土に埋まらないように、浅めに植える
- 台木(つぎ目より下)から出てくる芽は、かきとる
手順7:野菜ごとの苗選び
- 玉ねぎ:長さ20〜30cm、太さ5〜8mmくらい(鉛筆くらい)がちょうどいいと言われます。細すぎると根づきにくく、太すぎると春に花が咲いてしまう(とう立ち)しやすくなります
- スナップえんどう:冬を越す苗は、大きすぎないほうがいいです。10cmくらいまでのものを。20cmを超えるような、ひょろっと伸びた苗は避けます
- さつまいも:苗(つる)の長さが30〜35cmくらい、葉が7〜8枚以上あるものを。大きすぎる苗は植えにくくなります
- いちご:株のまん中(クラウンと呼ばれる部分)が太く、しっかりしているものを
- ブロッコリー・キャベツ:葉の形や大きさがそろい、虫食いのないものを
苗を買ってから植えるまで
苗を買ったら、なるべく早く植えるのが基本ですが、すぐに植えられないときは、次のように管理します。
- 日当たりと風通しのよい場所に置く(車の中や、暗い室内に置きっぱなしにしない)
- ポットの土が乾いたら、たっぷり水をやる
- 植える前日か当日の朝に、ポットにたっぷり水を吸わせておく
ホームセンターの売り場は、建物の中や日陰に置かれていることもあります。そういう苗を、いきなり真夏の直射日光に当てると、葉が焼けてしまうことがあります。植える前の数日、少しずつ外の日差しに慣らしてあげると安心です。
苗の植え方
- 植え穴を掘り、穴に水をたっぷり入れて、しみこむのを待つ
- ポットから苗をそっと抜く。根鉢(根と土のかたまり)は、なるべくくずさない
- 根鉢の上の面が、まわりの土と同じ高さになるように植える
- まわりの土を寄せて、株元を軽く押さえる
- 植えたあと、もう一度水をやる
根鉢をくずすと、細い根が切れて、根づくまでに時間がかかります。ポットの中で根が巻いていた場合は、底のほうの根を軽くほぐしてから植えると、外へ伸び出しやすくなる、という方法もあります。
植えつけは、風の強い日や、真夏の昼の暑い時間を避け、曇りの日か夕方に行うのがおすすめです。
手順8:タネをまく準備
ここからは、タネをまくときの流れです。
- まく前に、畑や土をしっかり湿らせておく
- 種袋の裏を読んで、まく時期、まく深さ、発芽にちょうどいい温度を確かめる
- 種が光を好むか、嫌うかを確かめる(種袋に書かれていることが多い)
手順9:まく深さを決める
まく深さは、種の大きさの3倍くらいが一般的な目安です。ただし、種の性質によって変わります。
- 光を好む種(好光性種子):にんじん、レタス、春菊、しそなど。光が当たらないと芽が出にくいので、土はごく薄く、種がうっすら見えるくらいにかける
- 光を嫌う種(嫌光性種子):大根、ねぎ、玉ねぎなど。光が当たると芽が出にくいので、しっかり土をかける
- どちらでもない種:種の大きさの3倍くらいを目安に
具体的な例です。
- 大根:指の第一関節くらいまで、約1cmの穴をあけてまく
- 枝豆:土が5mmくらいかかればいい
- 春菊:土に埋めずに、種が見えるくらいの深さ
- レタス:ごく薄く土をかける
深くまきすぎると、芽が地上に出る前に力尽きてしまいます。これは、芽が出ない原因としてとても多いものです。
手順10:まく粒の数
1か所に何粒まくかも、野菜によって違います。
- 大根:1か所に4〜5粒。芽が出たら、育つにつれて間引いて1本にする
- 枝豆:1か所に3〜4粒
- 玉ねぎを直まきする場合:1か所に5〜6粒
多めにまいておくと、芽が出ないものがあっても安心です。芽がそろったら、元気なものを残して間引きます。
F1の種と、固定種の種
種袋には、「○○交配」と書かれたものと、「固定種」「在来種」と書かれたものがあります。
- F1(一代交配種):性質の違う2つの親をかけ合わせた種。育ちがそろい、病気に強いなど、育てやすいものが多い。ただし、そこから種を採っても、親と同じ野菜にはなりにくい
- 固定種・在来種:何代も種を採り続けて、性質がそろってきた種。育ちには少しばらつきが出ることもあるが、種を採って次の年にまくことができる
初めてなら、育てやすいF1の種から始めるのがおすすめです。慣れてきたら、固定種で自分の畑の種をつないでいくのも楽しいですよ。
手順11:鎮圧をする
種をまいて土をかけたら、上から押さえて、種と土をしっかりくっつけます。これを「鎮圧(ちんあつ)」と言います。
鎮圧には、2つの大事な役割があります。
- 種と土がくっついて、土の中の水分を種が吸いやすくなる
- 水やりで種が流れにくくなる
鎮圧が足りないと、種のまわりにすき間ができて、水を吸えず、芽が出にくくなります。芽が出ない原因として、とても多いのがこの鎮圧不足です。
まく前に土を押さえておき、穴をあけてまき、土をかけたあとにもう一度押さえる。このように、2回鎮圧するやり方もあります。
間引きのこつ
芽がそろったら、混みあっているところから間引いていきます。
- 一度に全部減らさず、育つにつれて何回かに分けて間引く
- 元気がない芽、形の悪い芽、虫に食べられた芽から抜く
- 抜くときに、残す芽の根を傷めそうなら、はさみで根元を切る
- 間引いたあとは、残した株の株元に軽く土を寄せる
間引いた若い芽は、捨てずに食べられるものが多いです。大根の間引き菜、小松菜やかぶの間引き菜は、みそ汁やおひたしにぴったりです。
手順12:水やりは、かけすぎない
鎮圧したら、軽く水をやります。
ここで気をつけたいのが、水のかけすぎです。勢いよくたくさんかけると、せっかくまいた種が流れてしまいます。特に、枝豆の種は腐りやすいので、土が軽く湿るくらいで十分です。
まく前に畑をしっかり湿らせておけば、まいたあとの水やりは少なくてすみます。
手順13:発芽の温度を保つ
種が芽を出すには、ちょうどいい温度が必要です。
- 夏野菜(トマト、ナス、ピーマンなど):発芽には25〜30度くらい。育つのには17〜25度くらい
- レタス:比較的低い温度でも芽が出るが、暑すぎると出にくい
- 冬にまく葉物:寒い時期は、ビニールや不織布で保温する
寒い時期に種をまくなら、ビニールのトンネルや、衣装ケースなどで保温して、温度を上げてあげます。ただし、芽が出たら、閉め切ったままにせず、日中は開けて風を通してください。閉め切ったままだと、苗が蒸れたり、ひょろひょろに伸びたりします。
手順14:苗を育てる(育苗)
自分で苗を作るときに気をつけたいのは、苗を徒長させないことです。
徒長の原因は、主に次の3つと言われます。
- 水のやりすぎ
- 温度が高すぎる
- 光が足りない
このほか、種をまいた間隔が狭すぎて苗が混みあっている、肥料が多すぎる、といったことも徒長の原因になります。
- 水は、土の表面が乾いてからやる
- 芽が出たら、日によく当てる
- 混みあってきたら、間引くか、ひとまわり大きなポットに植えかえる(鉢上げ)
夏に苗を作るときは、強い日差しをやわらげるために遮光ネットを使うことがあります。そのときは、光をさえぎりすぎないように、遮光率30〜40%くらいのものがいいと言われます。70%のように強くさえぎりすぎると、芽の出に影響することがあります。
苗を作る期間の目安
自分で苗を作る場合、種をまいてから植えられる大きさになるまでには、野菜によってかなり違う時間がかかります。
- きゅうり:約40日
- スイカ:約50日
- トマト:約60日
- ナス・ピーマン:約80〜90日
ナスやピーマンは、苗を作るのにいちばん時間がかかる野菜です。植えつけの時期から逆算して、早めに種をまく必要があります。
自分で苗を作るのは大変だと感じたら、お店で苗を買うのも立派な選択です。苗を買えば、種から始めるより、畑で育てる期間を短くできます。
育苗か、直まきか
直まきが向いている野菜
大根、にんじん、ごぼうのように、根がまっすぐ下に伸びる野菜(直根の野菜)は、畑に直接種をまく「直まき」が向いています。
苗を作って植えかえると、まっすぐ伸びるはずの主な根が傷ついて、根が曲がったり、分かれたりしてしまうことがあるからです。
苗を作るのが向いている野菜
トマト、ナス、ピーマン、きゅうり、キャベツ、ブロッコリーなどは、苗を作ってから植えるのが一般的です。
苗を作るよさは、こんなところにあります。
- 小さいうちは、水やりや虫対策を、苗の置き場所だけでまとめてできる
- 芽が出るまでの温度を管理しやすい
- 畑が空くのを待たずに、先に育て始められる
玉ねぎの苗の作り方は3通り
玉ねぎの苗を自分で作る場合、大きく3つの方法があります。
- 畑に苗床を作って、すじまきする:水やりなどの管理は楽だが、虫や台風の影響を受けやすい
- プラグトレー(小さな穴がたくさんあるトレー)にまく:1粒ずつまけて、苗の大きさがそろいやすい
- 育苗箱にまく:まく量が少ない家庭菜園に向いている
家庭菜園なら、育苗箱やプラグトレーが手軽です。種を買って自分で作ると、苗を買うより安くすむこともあります。
失敗の見分け方
種をまいたのに、芽が出ない
順番に見直してください。
- 深くまきすぎていないか(特に光を好む種)
- 鎮圧が足りていたか
- 土が乾いていなかったか
- 水をかけすぎて、種が流れたり腐ったりしていないか
- 温度が低すぎたり高すぎたりしていないか
- 種が古くなっていないか
いちばん多いのは、深さと鎮圧の問題です。
芽は出たけど、ひょろひょろに伸びた
光が足りないか、温度が高すぎるか、水が多すぎる可能性があります。日当たりのよい場所に移し、水やりを控えめにしてください。混みあっているなら、間引きます。
買った苗が、植えたあとなかなか育たない
- ポットの中で根が巻いて、老化していた
- 植える前に、ポットの中で水切れしていた
- 植えつけたときの気温が低すぎた
- 植える深さが合っていなかった(接ぎ木苗のつぎ目を埋めた、など)
玉ねぎが春に花を咲かせた
太すぎる苗を植えると、春にとう立ちしやすくなると言われます。次は、太さ5〜8mmくらいの苗を選んでみてください。
説明が分かれていること
接ぎ木苗か、自根苗か
- 初めて夏野菜を育てるなら、病気に強い接ぎ木苗がおすすめ、という説明
- トマトなら、自根苗でも十分育つ、という経験
- 自根苗のほうが好き、という人もいる
畑で同じ野菜を続けて育てている、病気が出たことがある、という場合は接ぎ木苗が安心です。そうでなければ、自根苗でも育てられることが多いです。
鎮圧の強さ
- 畑にまくときは、思いっきり押さえていい、という説明
- セルトレイにまくときは、軽く押さえるだけ、という説明
畑のやわらかい土と、セルトレイの育苗用の土では、ちょうどいい強さが違います。畑ならしっかり、セルトレイなら軽く、と覚えておくといいと思います。
また、苗を植えたときに根鉢を強く押しつけるのは避けたほうがいい、という説明もあります。種の鎮圧と、苗を植えるときの押さえ方は、別のものと考えてください。
枝豆やとうもろこしは、直まきか、苗を作るか
- 根を傷めないように、直まきがいい、という説明
- 直まきで芽が出ないことがあるので、苗を作ってから植えるのがいい、という説明
直まきは根を傷めにくい、苗づくりは芽の出の失敗を減らせる。それぞれ、何を防ぎたいかで選んでください。鳥に種を食べられやすい畑なら、苗を作るほうが安心です。
徒長した苗は、深く植えるか、浅く植えるか
- ポットに植えかえる(鉢上げ)ときに、徒長した苗を少し深めに植えて調整する、という説明
- 畑に植えるときは、茎を土に触れさせず、浅めに植える、という説明
苗を植えかえる場面や、野菜の種類によって変わります。接ぎ木苗は、つぎ目を埋めないように浅めに植えるのが基本です。
育苗用の土
- 種まき用の土を使う、という説明
- 肥料の入った培養土を組み合わせて使う、という方法もある
種まき用の土は、肥料が少なく、水はけと水もちのバランスがいいように作られています。迷ったら、種まき用の土を使うのが安心です。
よくある質問
Q. 苗と種、どちらから始めるのがいいですか?
A. 初めてなら、苗から始めるのがおすすめです。特にトマトやナス、ピーマンなどの夏野菜は、種から苗を作るのに2〜3か月かかり、温度の管理もむずかしいので、最初はお店の苗を使うのが安心です。苗を買えば、芽を出させる手間がかからず、畑で育てる期間も短くてすみます。大根やにんじん、葉物のように、種から育てるのが一般的な野菜は、種から始めてください。
Q. 売り場の苗に、ちょっと虫食いがありました
A. 少しの穴なら、大きな問題にならないこともあります。ただ、葉の裏に虫や卵が残っていることもあるので、選べるなら虫食いのない苗を選ぶほうが安心です。買った場合は、植える前に葉の裏をよく確かめてください。
Q. 種袋の「発芽率」とは何ですか?
A. まいた種のうち、どれくらいの割合で芽が出るかの目安です。たとえば発芽率80%なら、10粒まいて8粒くらい芽が出る、という意味です。発芽率が低い種は、そのぶん多めにまいておきます。古い種ほど、発芽率は下がっていきます。
Q. 余った種は、来年も使えますか?
A. 野菜によって種の寿命は違いますが、涼しくて乾いた場所に保存すれば、翌年も使えることが多いです。ねぎやにんじんのように寿命の短い種もあるので、まく前に、湿らせた紙の上で芽が出るか試してみると安心です。
Q. 苗を買ってから、植えるまで何日置いても大丈夫ですか?
A. なるべく早く植えるのが基本です。数日なら、日当たりのよい場所に置いて、水を切らさないようにしておけば大丈夫です。長く置くと、ポットの中で根がつまって、苗が老化してしまいます。
Q. 同じ野菜なのに、苗の値段が違うのはなぜですか?
A. 接ぎ木苗は、手間をかけてつないで作っているので、自根苗より値段が高めです。また、ポットの大きさや、品種の珍しさによっても値段が変わります。値段の高い苗がいつもいいわけではないので、この記事のポイントで苗そのものを見て選んでください。
Q. 苗を植えたら、すぐに肥料をやったほうがいいですか?
A. 植えつけの前に土づくりで肥料を入れているなら、植えてすぐに追加の肥料はいりません。植えたばかりの苗は、根がまだ新しい土になじんでいないので、肥料をやりすぎると根を傷めることがあります。根づいて新しい葉が伸び始めてから、野菜のようすを見て追肥を考えてください。
Q. 苗は、どこで買うのがいいですか?
A. ホームセンター、園芸店、農産物の直売所などで買えます。園芸店や直売所は、苗の管理がていねいで、地域に合った品種が置いてあることが多いです。ホームセンターは品ぞろえが多く、手軽に買えます。どこで買う場合も、入荷したばかりの新しい苗を選ぶのがいちばんです。入荷日を店員さんに聞いてみるのもいい方法ですよ。
Q. プランターで育てるなら、どんな苗を選べばいいですか?
A. 選び方の基本は畑と同じです。そのうえで、ミニトマトのように株が大きくなりすぎない品種や、プランター向きと書かれた品種を選ぶと育てやすいです。プランターは根を張れる場所が限られるので、ポットの中で根が巻きすぎていない、若々しい苗を選ぶのがおすすめです。
Q. 余った種の保存のしかたは?
A. 種は、湿気と暑さが苦手です。袋の口をしっかり閉じ、乾燥剤と一緒に密閉できる入れ物に入れて、冷蔵庫など涼しい場所で保存するのがおすすめです。袋に、開けた日付を書いておくと、使うときの目安になります。
Q. 接ぎ木苗のクリップが取れてしまいました
A. つぎ目がしっかりくっついていれば、クリップが取れても問題ありません。むしろ、苗が育ってつぎ目が太くなると、自然に外れることが多いです。つぎ目がまだやわらかく、ぐらぐらするようなら、支柱に軽く結んで、つぎ目に負担がかからないようにしてあげてください。
Q. 種をまいたあと、何日くらいで芽が出ますか?
A. 野菜と温度によってかなり違います。大根や小松菜なら数日、にんじんなら1週間以上、寒い時期ならさらにかかります。種袋に書かれた日数を目安にして、過ぎても出ない場合は、深さや鎮圧、温度を見直してまき直してください。
学ぶ🔬 なぜ、まく深さで芽の出が変わるのか
ここからは、苗とタネのしくみについて、少しだけ深く書いておきます。読み飛ばしても大丈夫です。
種は、自分のお弁当で芽を出す
種の中には、芽が地上に出て、葉を広げて自分で栄養を作れるようになるまでの「お弁当」が入っています。
大きな種ほど、たくさんのお弁当を持っています。だから、少し深くまいても、地上まで芽を伸ばせます。逆に、にんじんやレタスのような小さな種は、お弁当が少ないので、深くまくと、地上に出る前に力尽きてしまいます。
「種の大きさの3倍くらい」という目安は、種のお弁当の量に合わせた深さなんですね。
光を感じて芽を出す種
光を好む種は、光を感じたときに「ここは地上に近い」と判断して芽を出します。小さな種が、深いところで芽を出して力尽きないための、生き残りの工夫だと考えられています。
逆に、大根のように光を嫌う種は、光が当たる地表では芽を出しにくく、ある程度土に埋まったところで芽を出します。乾きやすい地表を避けて、湿った土の中で芽を出すための工夫と考えられます。
なぜ鎮圧すると、芽が出やすいのか
土の中には、細かいすき間がたくさんあります。土を押さえると、このすき間が細くなって、下のほうの水分が、細いすき間を伝って上へ上がってきます(毛細管現象)。
種と土がぴったりくっついていると、この上がってきた水分を、種がしっかり吸うことができます。鎮圧が足りないと、種のまわりに大きなすき間ができて、水が届かず、種が乾いてしまうんです。
なぜ徒長するのか
植物は、光が足りないと、光を求めて背を伸ばそうとします。暗い場所で育てたもやしが、細長く白くなるのと同じしくみです。
さらに、温度が高かったり、水が多かったりすると、植物はどんどん伸びようとします。光が足りないのに、伸びる条件だけがそろってしまうと、体を作る栄養が追いつかず、ひょろひょろの苗になってしまうんです。
接ぎ木苗のしくみ
接ぎ木は、2つの植物をつないで、1本の植物にする技術です。
下の根の部分(台木)には、病気や土の中の虫に強く、根を張る力の強い品種を使います。上の部分(穂木)には、おいしい実がたくさんなる品種を使います。この2つを、切り口を合わせてつなぐと、やがて傷口がくっついて、1本の苗として育っていきます。
根は台木の強さを、実は穂木のおいしさを受けつぐ。いいところどりの苗なんですね。ただ、台木から出てくる芽をそのままにしておくと、台木の性質の枝が育ってしまうので、見つけたらかきとります。
種が芽を出すのに必要な3つ
種が芽を出すには、3つの条件がそろう必要があります。
- 水:種が水を吸うと、眠っていた種が目を覚まし、芽を出す準備を始める
- 温度:野菜ごとに、芽を出しやすい温度がある
- 空気(酸素):芽を出すためには、種も呼吸をしている
水をやりすぎて、土がいつもびしょびしょだと、土のすき間が水でふさがって、種が息をできなくなります。枝豆の種が、水のやりすぎで腐りやすいのはこのためです。「湿っているけれど、びしょびしょではない」状態が、種にとっていちばん心地よいんです。
なぜ太い玉ねぎの苗は、春に花が咲きやすいのか
玉ねぎは、ある程度の大きさに育った状態で冬の寒さにあたると、「春が来たら花を咲かせよう」と体の中で準備を始めます。そして春に暖かくなると、玉を太らせるかわりに、花を咲かせる茎(とう)を伸ばしてしまいます。
苗が太すぎると、冬を迎えた時点で、すでにこの「ある程度の大きさ」を超えてしまっていることがあります。だから、玉ねぎの苗は、太すぎない、鉛筆くらいの太さのものを選ぶのがいいと言われるんですね。
なぜ芽が出たら、閉め切らないのか
寒い時期に種をまくと、ビニールや衣装ケースで保温して、芽を出させます。でも、芽が出たあとも閉め切ったままにしていると、晴れた日の昼には中がとても暑くなり、湿気もこもります。
暑くて湿った環境では、苗はどんどん背を伸ばそうとして徒長しやすくなります。また、蒸れて病気が出やすくもなります。芽が出るまでは「温める」、芽が出たら「風と光を通す」。苗の成長に合わせて、管理のしかたを切りかえるのがコツです。
なぜ根が巻いた苗は、育ちが遅れるのか
ポットの中で根がいっぱいになると、根はポットの壁に沿って、ぐるぐると巻くように伸びていきます。
この状態の苗を畑に植えると、根がなかなか外の土へ伸び出していけません。また、古くなった根は、新しい根に比べて、水や養分を吸う力が落ちていると言われます。植えたあとの最初の育ちが遅れるのは、このためです。
まとめ
ここまで読んでくださって、ありがとうございます!
苗選びとタネまきのポイントを、もう一度まとめておきます。
- 苗は、背の高さより、茎の太さと葉のようすを見る
- ひょろっと伸びた徒長苗、虫や病気のあとがある苗、違和感のある苗は避ける
- ポットの底も見る。根がたくさん出ていたら老化しているかも
- 初めての夏野菜なら接ぎ木苗が安心。つぎ目は埋めない
- 苗を買ったら、なるべく早く植える
- まく深さは種の性質で変える。光を好む種は浅く、嫌う種はしっかり
- まいたら鎮圧。種と土をくっつける
- 水はかけすぎない。まく前に畑を湿らせておく
- 寒い時期は保温。芽が出たら閉め切らない
苗選びとタネまきは、野菜づくりのいちばん最初の作業です。ここを丁寧にやっておくと、そのあとの育ち方がぐっと変わってきます。いい苗を選べば、植えたあとの世話もぐっと楽になりますし、上手に芽を出させられれば、育てられる野菜の種類も広がっていきます。
まずは、次に苗を買うとき、ポットをそっと持ち上げて、底をのぞいてみてください🌱
セルトレー128穴
秋冬野菜は畑に直まきせず、涼しい場所で育ててから植えるほうが確実です。
たねまき培土
畑の土でまくと、発芽のところで失敗します。育苗はタネまき用の土で。
日よけ・遮光ネット
夏の育苗は、温めるためではなく冷やすためにやります。春とは目的が逆です。
じょうろ(ハス口)
タネをまいたあとは、鎮圧してから静かに水を。勢いよく出ると種が浮きます。