太陽熱消毒のやり方|水と透明マルチで土を温める手順・期間の目安・終わったあとの耕し方
どうも、8150(えいこう)です🌱 家庭菜園歴8年、理科の教員免許を持っていて、有機・無農薬で野菜を育てています。
📖 この記事の目次
この記事で分かること
- 太陽熱消毒は、夏の強い日差しを使って、畑の土を温め、土の中の病気のもとや虫の卵、雑草の種を減らす方法です。
- やり方はシンプルです。土を湿らせて、透明なマルチ(ビニール)ですき間なく覆い、晴れた日が続くあいだ置いておきます。
- 晴れた夏の日には、覆いの中の土が50〜60度くらいまで上がることがあります。
- 期間は、2週間程度という説明から、1か月程度という説明まであります。
- 終わったあとは、深く耕さないのが大切です。熱が届いていない深い土を混ぜてしまうからです。
- ただし、すべての病気に効くわけではありません。深いところの菌や、一部の病気には効きにくいという説明もあります。
夏野菜を育てていて、「去年と同じ場所に植えたら、病気が出た」「毎年、同じ畝だけ育ちが悪い」と感じたことはありませんか。
薬を使わずに、土の中の病気のもとや虫を減らしたい。そんなときに、ぜひ知っておいてほしいのが、太陽熱消毒です。必要なのは、水と、透明なマルチと、夏の太陽だけ。特別な薬も機械もいりません。家庭菜園でも、すぐに始められる方法です。
この記事では、太陽熱消毒のしくみと、手順、期間の目安、終わったあとに気をつけることまで、順番に書いていきます。説明が分かれているところも、並べて比べています。
早見:太陽熱消毒の基本(ひと目で分かる目安)
期待できる効果
- 土の中の病気のもと(病原菌)を減らす
- 土の中にいる虫の卵、さなぎ、幼虫を減らす
- 土の表面近くにある雑草の種を減らす
用意するもの
- 透明なマルチ、またはトンネル用の透明なビニール(穴のあいていないもの)
- 水(ホースやじょうろ。雨のあとなら、その水分を使える)
- マルチを留める土、ピン、石など
- あれば温度計
手順の流れ
- 畑を耕して、かんたんな畝を作る
- 土をたっぷり湿らせる
- 透明なマルチで、すき間なく覆う
- 晴れた日が続くあいだ、そのまま置く
- 終わったら、表面だけを浅くほぐす
覚えておきたい目安
- 覆いの中の温度:晴れた夏の日で50〜60度くらいになることがある
- 期間:2週間程度〜1か月程度(説明が分かれる)
- 向いている時期:気温が高く、晴れの日が続く7月〜8月
- 終わったあと:深さ3〜10cmくらいまでを軽くほぐす程度に
作業の手順
ここからは、太陽熱消毒の手順を、順番に書いていきます。
手順1:時期と場所を決める
太陽熱消毒は、気温が高く、晴れの日が続く時期にやるのがいちばん効果的です。7月から8月の真夏が向いています。
夏野菜を片づけた場所や、秋冬野菜を植える予定の場所でやることが多いです。秋冬野菜の植えつけは9月ごろなので、そこから逆算して、8月中に終えられるように計画します。
夏まきのにんじんを予定している場所なら、その前に行う、という方法もあります。いずれにしても、太陽熱消毒のために、後の野菜の種まきや植えつけが大きく遅れないように、全体の予定を考えておいてください。
夏野菜の片づけから、消毒までの段取り
太陽熱消毒は、夏野菜の片づけとセットで考えると、段取りがつけやすくなります。
- 7月の終わりから8月の初め:実のつきが悪くなった夏野菜から順に片づける
- 片づけたら:根や茎を取り除き、病気が出ていた株は畑の外に出す
- すぐに:耕して、畝を作り、土を湿らせて覆う
- 2週間〜1か月後:マルチを外して、表面をほぐす
- 8月末〜9月:秋冬野菜の種まき・植えつけ
夏野菜を長く引っぱりすぎると、消毒の期間が取れなくなり、秋冬野菜の植えつけも遅れてしまいます。消毒したい畝は、少し早めに夏野菜を切り上げる、という判断も必要です。
太陽熱消毒に向く場所・向かない場所
- 向いている:日当たりがよく、一日中日が当たる場所。前の年に病気が出た場所。同じ野菜を続けて育てたい場所
- 向いていない:建物や木の陰になる時間が長い場所。水はけが極端に悪く、いつも水がたまる場所
日陰の時間が長いと、土の温度が十分に上がりません。一日中、強い日が当たる場所ほど、効果が出やすくなります。
手順2:畑を耕して、畝を作る
消毒する場所の土を耕します。前の野菜の根や茎、大きな石などは取り除いておきます。
耕したら、かんたんな畝を作ります。きれいに作る必要はありません。小高い畝ができていれば十分です。消毒が終わって、植えつけの前にマルチを張り替えるときに、形を整え直すこともできます。
後作の肥料を先に入れておく場合は、このときに肥料も混ぜこんでおきます(肥料を入れるかどうかは、説明が分かれています。あとで書きます)。
米ぬかを混ぜる方法
耕すときに、米ぬかを土に混ぜてから湿らせて覆う、という方法もあります。
米ぬかを混ぜると、土の中の微生物がそれを食べて一気に増え、そのときに土の中の酸素をたくさん使います。そのため、土の中がより酸素の少ない状態になり、病気のもとが住みにくくなる、と説明されます。また、微生物が米ぬかを分解するときに出る熱も、温度を上げる助けになると言われます。
ただし、米ぬかを入れすぎると、分解のときにガスが出たり、においが強くなったりします。量は控えめにして、消毒が終わってから植えつけまでの期間も考えておきましょう。米ぬかを入れた場合は、後作の肥料としても効いてくるので、追加の肥料は控えめにします。
手順3:土をたっぷり湿らせる
ここが、太陽熱消毒でいちばん大事なところです。
乾いた土では、熱が深くまで伝わりにくくなります。土をたっぷり湿らせておくと、太陽の熱が表面だけでなく、深いところまで届きやすくなります。
- ホースやじょうろで、土の深くまでしみこむように、たっぷり水をまく
- 目安として、深さ15〜20cmくらいまで水がしみこむくらい
- 雨が降ったあとなら、その湿った土をそのまま使ってもいい
雨を利用する場合は、雨が降る前に耕したり畝を作ったりしておき、雨がやんだらすぐに覆う、という順番にすると、水やりの手間が省けます。
手順4:透明なマルチで、すき間なく覆う
湿らせた土の上に、透明なマルチをかぶせます。
- 黒いマルチではなく、透明なものを使う(日の光が土に直接届いて、土がよく温まる)
- 穴のあいていないものを使う。古いマルチなら、穴や破れがないか確かめる
- すそは、土をかぶせたり、ピンや石で留めたりして、すき間をふさぐ
すき間があると、そこから熱が逃げてしまいます。また、夏の熱い風が吹きこむと、せっかく湿らせた土が一気に乾いてしまいます。マルチの周りは、しっかりふさいでください。
マルチの選び方
- 色:透明なもの。黒や白、銀色のものは、消毒にはあまり向かない
- 穴:穴のあいていないもの。植えつけ用の穴あきマルチは使えない
- 大きさ:畝全体と、すそを留める分まで覆える大きさ
- 厚さ:薄いものでも使えるが、夏の強い日差しで傷みやすい。古いマルチは破れや穴がないか確かめる
トンネル用の透明なビニールを、畝の上に直接かぶせて使うこともできます。使い終わったマルチは、破れていなければ、次の年の消毒にも使えます。
手順5:晴れた日が続くあいだ、置いておく
覆ったら、あとはそのまま置いておきます。
期間の目安は、説明によってかなり幅があります。2週間程度で終わるという説明もあれば、1か月程度、涼しい地域なら1か月半ほど見込むという説明もあります。
晴れの日が多く、気温が高いほど、短い期間でも効果が期待できます。曇りや雨の日が多い年は、長めに置いてください。
ただし、後に植える野菜の時期が迫っているなら、1か月に満たなくても、早めに切り上げることがすすめられています。消毒のために後の野菜の植えつけが遅れては、本末転倒だからです。
手順6:温度を測ってみる(できれば)
温度計があれば、マルチの中の土に差して、温度を測ってみてください。
晴れた夏の日には、50度を超えることがあります。曇りの日でも、40度台後半まで上がったという例もあります。
温度計を差してすぐは、まだ正しい温度を示さないことがあるので、しばらく待ってから読みます。ただ、測れるのは差したところの温度だけで、深いところまで同じ温度になっているとはかぎりません。目安として見てください。
手順7:終わったら、表面だけを浅くほぐす
期間が終わったら、マルチを外します。外すのは、晴れた日の朝など、土が熱くなりすぎていない時間がおすすめです。
ここで大事なのは、深く耕さないことです。熱が届いて消毒できたのは、土の表面に近い部分です。深く耕すと、熱が届いていない深いところの土を、表面に混ぜこんでしまいます。せっかく消毒した土が、また元に戻ってしまうんですね。
- 表面がかたくなっていたら、表面だけを軽くほぐす
- ほぐす深さは、3〜5cmくらいという説明から、10cmくらいという説明まである
- 肥料をすでに入れてある場合は、もう一度入れなくていい
マルチを外したあとは、そのまま種をまいたり、植えつけ用のマルチに張り替えて苗を植えたりします。
後作の野菜ごとのつなぎ方
- 白菜・キャベツ・ブロッコリー:消毒が終わったら、黒いマルチに張り替えて苗を植える方法がよく紹介される。苗の葉が熱いマルチに直接ふれないように気をつける
- 大根・かぶ:消毒後、表面を軽くほぐして、そのまま種をまく。大根は根が深く伸びるので、深く耕したくなるが、消毒の効果を生かすなら浅めに
- にんじん:夏まきのにんじんの前に消毒をしておき、終わったら表面を整えて種をまく。雑草が生えにくくなるので、小さいうちの草取りが楽になる
どの野菜でも、終わったあとに深く耕さない、という点は共通です。
作業中の安全
- 晴れた夏の日のマルチは、さわるとやけどしそうなほど熱くなることがある。素手で長くさわらない
- 真夏の作業になるので、朝夕の涼しい時間に、こまめに水分をとりながら作業する
- 子どもやペットが、マルチの上に乗ったり、はがしたりしないように気をつける
手順8:植えつけたあとの注意
消毒した土に植えたからといって、そのあと虫や病気がまったく出なくなるわけではありません。
- 外から飛んでくる虫には効かないので、防虫ネットは別に必要
- 植えつけたあと、苗の葉が熱いマルチに直接ふれないようにする
- 病気が出た株は、早めに抜いて畑の外に出す
太陽熱消毒は、あくまで「スタートの土をきれいにする」方法です。その後の見回りや手入れは、いつもどおり続けてください。
なぜ、太陽熱で土が消毒できるのか
菌は、乾燥に強く、高温と湿気に弱い
土の中の病気のもとになる菌の多くは、乾燥には強いけれど、高い温度と湿気には弱い、と説明されます。
乾いた状態だと、菌はじっと耐えて生き残ります。でも、湿った状態で高い温度が続くと、弱ってしまうんです。太陽熱消毒で、まず土をたっぷり湿らせるのは、この弱点をつくためです。
水が、熱を深くまで運ぶ
乾いた土は、すき間に空気が多く、熱を伝えにくい性質があります。湿った土は、すき間が水で満たされていて、熱が伝わりやすくなります。
だから、土を湿らせておくと、太陽の熱が表面だけでなく、深いところまで届きやすくなるんです。
酸素が少なくなることも効く
水で湿らせて、マルチで密閉すると、土の中の酸素が少なくなります。酸素を必要とする菌や虫にとっては、住みにくい環境になります。
田んぼでは、米を同じ場所で何年も作り続けられます。水を張ることで、土の中が酸素の少ない状態になり、病気のもとが増えにくいからだ、と言われます。太陽熱消毒も、畑をできるだけ水びたしにして、さらに太陽熱で温める、という考え方につながっています。
なぜ透明なマルチを使うのか
黒いマルチは、日の光を吸って、マルチそのものが熱くなります。その熱が土に伝わりますが、光そのものは土に届きません。
透明なマルチは、日の光をそのまま通して、土に直接当てます。光で温まった土の熱は、マルチがふたになって逃げにくくなります。だから、黒いマルチより、土の温度がずっと高くなるんです。
適期はいつか
いちばん向いているのは真夏
気温が高く、晴れの日が続く7月から8月が、いちばん効果が出やすい時期です。夏野菜を片づけたあと、秋冬野菜を植えるまでのあいだに行うのが一般的です。
春や秋は、条件しだい
ゴールデンウィークのころなど、春でも気温が高い日が続けば、期間を長めにとることで、ある程度の効果が期待できる、という説明もあります。ただ、夏ほど土の温度は上がらないので、同じ効果を期待するのはむずかしいです。
冬は、目的が変わる
冬に透明なマルチで土を覆う方法もあります。ただ、冬は土の温度が上がりにくいので、病気のもとを熱で減らすというより、土の中の微生物の働きを助けて、土をよくする(土づくり)という目的になります。
冬にやっても、夏と同じように消毒できる、とは考えないでください。
失敗の見分け方
マルチの中の温度が上がらない
- 晴れの日が少なかった
- 土が乾いていた(湿らせ方が足りなかった)
- マルチにすき間や穴があって、熱が逃げていた
- 黒いマルチや、白いマルチを使っていた
晴れの日が続く時期を選び、土をしっかり湿らせて、すき間なく覆ってください。
消毒したのに、雑草が生えてきた
- 深く耕して、熱が届いていない深いところの雑草の種を、表面に出してしまった
- マルチの外(畝と畝のあいだ)から生えてきた
- 期間が短く、温度が十分に上がらなかった
マルチの中では雑草が生えていないのに、畝のあいだには生えている、ということもよくあります。マルチで覆った部分には、ちゃんと効果が出ている証拠です。
消毒したのに、病気が出た
- 深いところにいる菌には、熱が届いていなかった
- 消毒が効きにくい種類の病気だった
- 病気のもとが、外から入ってきた(苗、道具、雨水、ほかの畑の土など)
太陽熱消毒は、病気のもとを減らす方法であって、ゼロにする方法ではありません。たとえば、青枯れ病のように、深いところにいる菌が原因になる病気は、完全に防ぐのはむずかしいと言われます。病気が続く場所なら、植える野菜を変えたり、接ぎ木苗を使ったりする方法と組み合わせてください。
マルチが風で飛ばされた
すそを留める土や重しが足りなかった可能性があります。夏は台風や強い風の日もあるので、すそはしっかり土をかぶせて留めておきます。飛ばされたら、もう一度土を湿らせてから覆い直してください。
透明マルチの下で、雑草がどんどん育った
透明なマルチの下は、光が届くうえに温かいので、温度が十分に上がらないと、逆に雑草がよく育ってしまうことがあります。
晴れた日が少なかった、すき間から風が入って温度が下がった、といった原因が考えられます。マルチの下で雑草が青々と育っていたら、消毒の温度まで上がっていなかったサインです。いったん外して草を取り、天気のいい時期を選んでやり直すか、次の年に時期を見直してください。
夏にできなかったときの代わりの方法
太陽熱消毒の時期を逃してしまったり、日当たりの条件が合わなかったりする場合は、次のような方法で、病気や連作の影響をやわらげることができます。
- 前の年と違うなかま(科)の野菜を植える
- 病気に強い接ぎ木苗を使う
- たい肥を入れて、土の中の生き物を豊かにする
- 病気の出た株は、早めに抜いて畑の外に出す
- 水はけをよくするために、畝を高くする
太陽熱消毒は、たくさんある方法のひとつです。できる方法を組み合わせて、畑を守っていきましょう。
説明が分かれていること
期間:2週間か、1か月か
- 2週間程度で完了する、という説明
- 高温の時期で約3週間、1か月くらいを見込む、という説明
- 涼しい地域では、いちばん暑い時期に1か月半くらい、という説明
- 後の野菜の予定が迫っているなら、1か月に満たなくても早めに切り上げる、という説明
その年の天気、地域、何を減らしたいかによって変わります。迷ったら、後の野菜の予定に間に合う範囲で、なるべく長めに置く、と考えるといいと思います。
肥料を入れてからやるか、水だけでやるか
- 土だけでは酸素が少ない状態になりにくいので、必ず肥料を入れてからやる、という説明
- 後の野菜が決まっていないなら、肥料は入れなくていい、という説明
- 水だけでも効果がある、という説明
肥料や米ぬかを入れると、微生物がそれを分解するときに土の中の酸素を使うので、より酸素の少ない状態になる、という考え方があります。一方で、水だけでも効果は期待できるので、慣れていないうちは水だけで始めてみる、という方法もあります。
肥料を先に入れた場合は、消毒が終わったあと、もう一度入れなくていい点にも気をつけてください。
水は必ず入れるか
- 土の深くまで熱を届けるために、水は必要、という説明
- 水が多いほうが効率よく深くまで熱が回るが、絶対ではない。できる範囲で、という説明
雨のあとなど、土がすでに湿っていれば、水やりは省けます。乾いた土のままよりは、湿らせたほうが効果が上がりやすい、と考えてください。
細菌やウイルスにも効くか
- 細菌やウイルスには効果がないので注意、という説明
- カビのなかま、細菌、ウイルス、センチュウなどに広く効く、という説明
方法や、上がった温度、使った資材がそれぞれ違うので、どちらかに決めることはできません。少なくとも、「どんな病気でも防げる」とは考えないでください。
よい微生物まで減ってしまわないか
- よいものも悪いものも、まとめて減らしてしまう、という説明
- 高温に強い、よい微生物は生き残る、という説明
終わったあとに水をやると、生き残った微生物がまた増えていく、という説明もあります。いずれにしても、終わったあとにたい肥などを入れて、土の生き物を育てていく意識は持っておくといいと思います。
畝は先に立てるか、平らにしておくか
- 先に畝を立ててから覆う、という方法
- 平らにならしてから覆い、終わったあとに畝を立てる、という方法
終わったあとに畝を立てると、深いところの土が上がってくることがあるので、先に畝を立てておくほうが、深い土を混ぜにくくなります。平らにして覆う場合は、畝を立てるときに深く掘りすぎないよう注意してください。
終わったあと、ほぐす深さ
- 深さ3〜5cm程度を軽くほぐす、という説明
- 10cmくらいまでほぐす、という説明
どちらの説明も、「深いところの土を上に持ってこない」という点では共通しています。種をまくだけなら浅めに、苗を植える場合は植え穴の分だけ掘る、と考えるといいと思います。
石灰窒素を使う方法
石灰窒素という資材を土に混ぜてから、太陽熱消毒をする方法も紹介されています。石灰窒素は肥料でもあり、農薬としての性質も持つ資材です。
この記事では、薬を使わない方法を前提にしているので、水と太陽だけの方法を中心に書いています。水だけの方法でも、十分に効果が期待できると説明されています。
よくある質問
Q. 小さな畑やプランターでもできますか?
A. 小さな畑でも、畝1本からできます。まずは、去年病気が出た場所や、気になっている畝を1本だけ試してみると、効果を実感しやすいと思います。プランターの土なら、黒いビニール袋に湿らせた土を入れて口を閉じ、日当たりのよいコンクリートの上などに置いておく方法もあります。袋の中が高温になるので、同じような効果が期待できます。
Q. 透明なマルチがなければ、黒いマルチでもいいですか?
A. 黒いマルチでも土は温まりますが、透明に比べると温度が上がりにくくなります。病気のもとを熱で減らす目的なら、透明なマルチがおすすめです。土づくりが目的なら、黒いマルチでも少し温度は低いものの効果がある、という説明もあります。
Q. 期間中、マルチを開けて中を見てもいいですか?
A. 消毒が目的なら、途中で開けないほうがいいです。開けると、熱と湿気が逃げてしまいます。どうしても中のようすが気になるときは、マルチの外から手を当てて温かさを確かめたり、内側の水滴のつき方を見たりするだけにしておきましょう。土づくりが目的の方法では、1週間に1回くらい開けて水を補う、という説明もありますが、消毒とは目的が違います。
Q. 太陽熱消毒をしたら、連作障害はなくなりますか?
A. 連作障害の原因のひとつである、土の中の病気のもとや虫を減らす効果は期待できます。ただ、深いところの菌や、土の養分のかたよりなど、ほかの原因もあるので、連作障害がすっかりなくなるとは言えません。作物を変える、たい肥を入れるなど、ほかの方法とも組み合わせてください。
Q. 終わったあと、すぐに植えてもいいですか?
A. はい、マルチを外して、表面を軽くほぐしたら、種をまいたり苗を植えたりできます。表面が乾いていたら、種をまく前に軽く水をやってください。肥料を先に入れていた場合は、その肥料がちょうど土になじんでいるころです。
Q. 毎年やったほうがいいですか?
A. 病気が出やすい場所や、同じ野菜を続けて育てたい場所なら、毎年やる価値があります。トマトやナスなど、毎年同じ場所で育てたくなる野菜の畝は、特におすすめです。畑全部を一度にやるのが大変なら、気になる畝から順番にやっていくといいと思います。
Q. 消毒したあと、たい肥を入れてもいいですか?
A. 入れてかまいません。ただし、たい肥を混ぜるために深く耕すと、消毒の効果が薄れてしまいます。たい肥は表面近くに浅く混ぜるか、植え穴に入れる程度にしておくといいと思います。よく熟したたい肥を使えば、植えつけまでの期間を長くとらなくても大丈夫です。
Q. 消毒が終わったマルチは、どうすればいいですか?
A. 破れや穴がなければ、土を落として乾かし、たたんでしまっておけば、次の年の消毒にも使えます。夏の日差しで傷んで薄くなっていたり、破れていたりする場合は、地域のごみの分け方に従って処分してください。畑に細かいかけらが残らないように、外すときは丁寧に回収しましょう。
Q. 市民農園の区画でもできますか?
A. 区画の中だけなら、多くの場合できます。ただ、農園によっては、マルチの使い方や、区画を空けておける期間に決まりがあることもあるので、管理している人に確かめてから始めてください。区画が狭いぶん、マルチ1枚で区画全体を覆えることも多く、手軽に取り組めます。
Q. 消毒中の畝のまわりの草は、どうすればいいですか?
A. 畝と畝のあいだの通路は、マルチで覆っていないので、雑草が生えてきます。通路の草は、ふだんどおり刈り取っておきましょう。通路の草が伸びて、マルチのすそを持ち上げたり、すき間を作ったりすることがあるので、ときどき見回ってください。
Q. 秋や冬に病気が出た畑は、どうすればいいですか?
A. 病気が出た株は、根ごと抜いて畑の外に出してください。その場所は、次の夏に太陽熱消毒をする候補として覚えておきましょう。冬のあいだは、深く耕して土を寒さにさらす「寒起こし」をしておくと、土の中の虫を減らす助けになると言われます。
Q. 雨が続いて、なかなか晴れません
A. 曇りや雨の日が多いと、土の温度が十分に上がらず、効果が出にくくなります。その場合は、期間を長めにとってください。ただし、後の野菜の植えつけが遅れそうなら、そこで切り上げることも大切です。消毒が不十分だったと感じたら、植えつけたあとの見回りを、いつもより丁寧にしておきましょう。
Q. 肥料を入れ忘れたまま覆ってしまいました
A. 大丈夫です。水だけでも効果は期待できます。消毒が終わったら、表面を軽くほぐすときに、表面近くに肥料を混ぜるか、植えたあとに追肥で補ってください。肥料を入れるために深く耕し直すと、消毒の効果が薄れてしまうので、浅く混ぜる程度にしておきます。
Q. 消毒したあと、いつまで効果が続きますか?
A. はっきりとした期間は決まっていません。外から虫が飛んできたり、雨水や道具、靴の泥などで病気のもとが運ばれてきたりするので、時間とともに少しずつ元に戻っていきます。深く耕さない、病気の株を早めに片づける、といった日々の管理で、効果を長持ちさせることができます。
Q. 温度計がありません。効果が出ているか分かりますか?
A. 温度計がなくても、晴れた日にマルチの上から手を当ててみると、中がかなり熱くなっているのが分かります。マルチの内側に水滴がたくさんついていれば、土が湿っていて、熱がこもっているサインです。終わったあと、マルチの中に雑草が生えていなければ、ちゃんと温度が上がっていた証拠のひとつになります。
学ぶ🔬 なぜ深く耕すと、効果が台無しになるのか
ここからは、太陽熱消毒のしくみについて、少しだけ深く書いておきます。読み飛ばしても大丈夫です。
熱は、上から下へゆっくり伝わる
太陽の熱は、土の表面から少しずつ下へ伝わっていきます。表面に近いほど温度は高く、深くなるほど温度は低くなります。
ある測定の例では、気温35度の日に、透明なシートの下は57度くらいまで上がった一方、深さ15cmくらいのところは40度くらいだった、という話があります。表面と深いところでは、これだけ温度に差があるんです。
深い土は、消毒されていない
病気のもとや雑草の種は、高い温度が続くことで弱っていきます。表面に近い土は、十分に高い温度になるので効果が出やすいですが、深いところの土は、そこまで温度が上がりません。
終わったあとに深く耕すと、消毒されていない深い土が表面に上がってきて、消毒された土と混ざってしまいます。せっかく減らした病気のもとや雑草の種を、自分で表面に戻してしまうことになるんですね。
表面の「かたい層」だけをほぐす
太陽熱消毒のあとの土の表面は、乾いてかたくなっていることがあります。焼き菓子の表面のように、薄くかたい層ができているイメージです。
このかたい層だけを軽く崩して、種をまいたり苗を植えたりしやすくするのが、終わったあとの作業です。深く掘り返すのではなく、表面をなでるようにほぐす。これが、太陽熱消毒の効果を最大限に生かすコツです。
測った温度の読み方
温度計で測った温度は、とても参考になります。ただ、いくつか気をつけたいことがあります。
- 測れるのは、温度計の先が入っている深さの温度だけ。表面と深いところでは、温度がまったく違う
- 同じ畑でも、時間帯や、その日の天気で大きく変わる
- 「何度になったら、この病気が必ず消える」という決まった対応表があるわけではない
たとえば、ある測定では最終的に69度まで上がったという例があり、別の測定では50度台前半だった、という例もあります。測った条件がそれぞれ違うので、数字だけを比べることはできません。温度計は「ちゃんと温まっているか」を確かめるための目安として使ってください。
太陽熱で土づくり、という考え方
最近は、太陽熱を「消毒」としてだけでなく、「土づくり」に使う考え方もあります。
土を湿らせて覆い、温めると、土の中の微生物が活発に動き出し、土の中の有機物の分解が進みます。その結果、土がやわらかくなったり、野菜が育ちやすい状態になったりする、という考え方です。
この場合は、病気のもとをやっつけることより、微生物の働きを助けることが目的なので、途中で開けて水を補ったり、黒いマルチを使ったりすることもあります。同じ「覆って温める」でも、消毒が目的か、土づくりが目的かで、やり方が少し変わるんですね。
連作障害と、太陽熱消毒の関係
同じ場所に同じなかまの野菜を続けて植えると、育ちが悪くなったり病気が出やすくなったりします。これを連作障害と言います。
連作障害の原因には、いくつかあると言われます。
- その野菜を好む病気のもとが、土の中に増える
- その野菜の根を食べる虫(センチュウなど)が増える
- 土の養分がかたよる
太陽熱消毒が効くのは、主に最初の2つ、病気のもとと虫の部分です。養分のかたよりには、たい肥を入れたり、違うなかまの野菜を植えたりする方法が向いています。太陽熱消毒だけで連作障害がすべて解消するわけではない、というのは、このためです。
センチュウという小さな虫
センチュウは、土の中にいる、目に見えないほど小さな虫です。種類によっては、野菜の根に入りこんで、こぶを作ったり、根を傷めたりします。根にこぶがたくさんできた野菜は、水や養分をうまく吸えなくなり、育ちが悪くなります。
センチュウも、湿った状態で高い温度が続くと弱ると言われます。夏野菜を抜いたとき、根にこぶがたくさんついていたら、その場所は太陽熱消毒をしておく価値があります。
なぜ雑草の種も減るのか
雑草の種の多くは、土の表面近くにあります。表面近くの土は、太陽熱消毒でいちばん温度が上がる部分です。
湿った状態で高い温度にさらされると、種は芽を出そうとして動き始めたところで熱にやられたり、そのまま弱ったりします。だから、マルチの中では、雑草が生えにくくなるんです。深く耕さなければ、その効果がしばらく続きます。
まとめ
ここまで読んでくださって、ありがとうございます!
太陽熱消毒のポイントを、もう一度まとめておきます。
- 夏の太陽で土を温めて、病気のもと・虫の卵・雑草の種を減らす方法
- 土をたっぷり湿らせる。深くまで熱を届けるため
- 透明なマルチで、すき間なく覆う。黒いマルチより温度が上がる
- 期間は2週間〜1か月が目安。後の野菜の予定に合わせて
- 終わったら、深く耕さない。表面だけを浅くほぐす
- すべての病気に効くわけではない。防虫ネットや見回りは引き続き必要
- 向いているのは、晴れの日が続く7〜8月
太陽熱消毒は、暑くて畑仕事がつらい真夏に、太陽に土の手入れを任せられる方法です。準備さえしてしまえば、あとは晴れた日が続くのを待つだけ。暑い時期に無理をせず、太陽の力を借りて、秋からの畑の準備を進めましょう。夏野菜を片づけたら、次の野菜のために、ぜひ試してみてください☀️
透明マルチ
黒ではなく透明です。光を通して、下の土を60℃まで上げます。
マルチ押さえピン
裾から熱が逃げると効きません。隙間なく留めるのがコツです。
米ぬか
一緒にすき込むと、分解のときの熱と、そのあとの土づくりを兼ねられます。
備中鍬
水を入れて耕すところが本番です。深く起こしておくほど効きます。