ナスの更新剪定と切り戻し|なり疲れの見分け方・切る時期と量・根切りと追肥・秋ナスまで収穫するコツ
どうも、8150(えいこう)です🌱 家庭菜園歴8年、理科の教員免許を持っていて、有機・無農薬で野菜を育てています。
📖 この記事の目次
この記事で分かること
- 夏の暑さが続くと、ナスは実が小さくなったり、かたくなったり、花が落ちたりします。これを「なり疲れ」と言います。人で言えば夏バテです。
- ただ、実が小さくなる原因は、なり疲れだけではありません。水不足、肥料の過不足、虫の被害なども考えられます。切る前に、原因を見分けることが大切です。
- ナスの枝を切って株を若返らせる方法には、2つあります。収穫しながらこまめに切る「切り戻し」と、一度に大きく切って株を休ませる「更新剪定」です。
- 更新剪定は、7月中旬から8月上旬ごろに行うのが一般的です。株を休ませて、秋にまたおいしいナスを収穫するための作業です。
- 根を切る「根切り」と、そのあとの追肥とたっぷりの水を、セットで行うと効果的と言われます。
- ただし、更新剪定をすると、しばらく収穫が止まります。まずは1株だけ試してみるのもおすすめです。
ナスは、初夏から秋まで長く収穫できる、家庭菜園の人気者ですよね。焼きナス、麻婆ナス、漬けもの。夏の食卓に欠かせない野菜です。
でも、真夏になると、「最近、実が小さい」「つやがなくて、かたい」「花が咲いても実にならない」ということが起きてきます。せっかくここまで育ててきたのに、このまま終わってしまうのはもったいないですよね。
安心してください。ナスは、枝を切って休ませることで、秋にもう一度、つやのある実をつけてくれる野菜です。この記事では、なり疲れの見分け方から、切り戻しと更新剪定のやり方、根切りと追肥、秋の管理まで、順番に書いていきます。
早見:ナスの剪定の基本(ひと目で分かる目安)
なり疲れのサイン
- 実が小さい、形が悪い
- 実の皮がかたく、つやがない
- 花が咲いても、実にならずに落ちる
- 枝の先の伸びが弱い
2つの方法
- 切り戻し:収穫するたびに、枝をこまめに切って更新する。収穫を続けながらできる
- 更新剪定:一度に大きく枝を切って、株を休ませる。しばらく収穫が止まる
更新剪定の目安
- 時期:7月中旬から8月上旬ごろ(説明によって少し違う)
- 切る量:株の高さの半分くらい、葉の量で3分の1から2分の1くらい
- 実:全部とる
- 葉:元気な小さな葉や脇芽は残す。全部の葉を落とさない
- 根切り:株元から20〜30cmくらい離れたところに、スコップを差しこむ
- そのあと:追肥と、たっぷりの水
秋の管理
- 9月になったら、切り戻しをやめて、今ある枝に実をつけさせる、という説明
- 秋も切り戻しを続ける、という説明
(説明が分かれる)
ナスの1年の流れ
- 4月下旬〜5月:苗を植える。最初の実は小さいうちに摘んで、株の体づくりを優先
- 6月:収穫が始まる。3本仕立てにして、支柱で支える
- 7月:収穫の最盛期。切り戻しをしながら収穫を続ける
- 7月中旬〜8月上旬:なり疲れが出てきたら、更新剪定
- 8月下旬〜9月:更新剪定した株から、秋ナスの収穫が始まる
- 10月〜:気温が下がって実のつきが悪くなったら、片づける
更新剪定は、夏と秋のあいだの「夏休み」のような作業です。この流れの中で、どこで休ませるかを考えておくと、秋まで長く楽しめます。
3本仕立てと剪定
ナスは、主の枝(主枝)と、最初の花のすぐ下から出る勢いのある脇芽2本を残して、3本の枝で育てる「3本仕立て」が一般的です。
切り戻しも、更新剪定も、この3本の枝を基本にして行います。
- 切り戻し:3本の枝から出る脇芽に実をつけさせ、収穫のたびに切りもどす
- 更新剪定:3本の枝を、それぞれ半分くらいの高さまで切りつめる
3本の主な枝より下から出てくる脇芽は、早めにかきとっておくと、株の中がすっきりします。
作業の手順
ここからは、なり疲れの見分け方から、剪定、根切り、そのあとの管理まで、順番に書いていきます。
手順1:なり疲れか、ほかの原因かを見分ける
実が小さくなったり、かたくなったりする原因は、なり疲れだけではありません。切る前に、ほかの原因がないか確かめてください。
- 水不足:晴れが続いて土がからからに乾いていないか。乾燥していると、肥料をやっても溶け出さず、根が吸えない
- 肥料の過不足:肥料が足りないと実が小さくなる。一方で、肥料が多すぎても実がかたくなることがある
- 虫の被害:葉の裏にハダニやアブラムシがいないか。葉がかすれたように白っぽくなっていないか
- 実のとり遅れ:大きくなった実をつけたままにしていないか
水不足なら、たっぷり水をやるだけで回復することもあります。肥料不足かと思って、肥料をどんどん足すと、かえって実がかたくなることもあるので注意してください。
手順2:花を見て、株の元気さを確かめる
ナスの花は、株の元気さを教えてくれます。
花のまん中にある、めしべの長さを見てください。
- めしべが、まわりのおしべより長く、外に突き出している:株が元気なサイン
- めしべが、おしべより短く、中に隠れている:株が疲れている、または養分が足りていないサイン
ただし、めしべが短くなる原因は、肥料不足だけではありません。水不足や虫の被害でも、株が弱って、めしべが短くなることがあります。花のようすは、ほかのサインと合わせて見てください。
手順3:切り戻しか、更新剪定かを決める
ナスの剪定には、2つの方法があります。
- 切り戻し:収穫しながら、枝をこまめに切って、新しい枝に実をつけさせていく方法。収穫を止めずに、品質のいいナスを秋まで安定してとりたい方に向いています
- 更新剪定:一度に大きく枝を切って、株を休ませる方法。しばらく収穫は止まりますが、秋にまとめて収穫したい方や、食べきれないほどとれている方、病気が出てしまった株に向いています
どちらも必ずやらなければいけない作業ではありません。余裕があれば、やってみてください。
手順4:更新剪定の時期を決める
更新剪定は、夏の暑さで株が疲れ始めるころに行います。
- 7月中旬から下旬
- 7月中旬から8月上旬
- 7月末からお盆まで
と、説明によって少しずつ違います。地域や、その年の暑さによって変わるので、株のようすを見て決めてください。
ただ、あまり遅くなると、秋の収穫が始まるまでに時間がかかり、収穫できる期間が短くなります。お盆を過ぎてからでは遅い、と考えておくといいと思います。
手順5:実を全部とる
更新剪定をするときは、ついている実を全部とります。小さな実も、もったいないと思うかもしれませんが、全部とってください。とった実は、もちろん食べられます。
実が残っていると、株は実を育てることに力を使ってしまい、休むことができません。思いきって全部とることで、株はようやく休むことができるんです。
手順6:枝を切る
枝を切る量の目安は、次のとおりです。
- 高さで、だいたい半分くらいまで切りつめる
- 葉の量で、3分の1から2分の1くらいを減らす
主な枝(主枝と、そこから出た勢いのある枝)を、それぞれ切りつめます。3本仕立てにしている株なら、3本の枝をそれぞれ切りつめます。切る位置は、元気な脇芽や、小さな葉が残っている節の少し上にします。
切りすぎには注意してください。葉を全部落として、茎だけにしてしまうと、株が枯れてしまうことがあります。元気な脇芽や、小さな葉は残し、大きな葉も1〜2枚くらいは残しておくと、保険になります。
少しくらい虫に食べられた葉でも、緑色で元気なら、光合成をしてくれるので残してかまいません。枯れた葉や、病気が疑われる葉は、取り除きます。
手順7:根切りをする
根切りは、必須ではありませんが、更新剪定とセットで行うと効果的と言われます。
- 株元から20〜30cmくらい離れたところに、スコップをまっすぐ深く差しこむ
- 株のまわりを、ぐるりと1周するように、何か所かスコップを差す
- スコップは、まっすぐ入れて、まっすぐ抜く
古くなった根は、水や養分を吸う力が落ちていると言われます。根の一部を切ることで、そこから新しい根が出てきて、株が若返る、という考え方です。
ここで大事なのは、スコップでかき回さないことです。土をほじくり返すと、切った根の傷口を広げてしまい、病気の原因になることがあります。まっすぐ差して、まっすぐ抜くだけにしてください。
手順8:追肥をする
根切りのあとは、必ず追肥をします。新しく出てくる根に、すぐに養分を届けるためです。
- スコップを差してできたすき間に、肥料を入れる
- または、根切りをした線にそって、肥料をまいて、表面に浅く混ぜる
ここでも、深く突きこんだり、かき回したりはしないでください。表面に浅く混ぜるくらいで大丈夫です。肥料の量は、使う肥料の袋に書かれた目安に従って、まきすぎないようにします。
手順9:たっぷり水をやる
追肥をしたら、たっぷり水をやります。根切りをしたスコップの跡にそって、水を流しこむようにすると、土の奥まで水が届きます。
そのあとも、乾燥が続くようなら、こまめに水をやってください。特に、35度を超えるような猛暑日が続くときは、土が乾きすぎないように気をつけます。乾燥が進むと、株が回復する前に弱ってしまうことがあります。
ただし、土が湿っているのに水をやりすぎるのもよくありません。土の乾き具合を見て判断してください。
更新剪定のあとの管理(週ごとの目安)
- 剪定した日:追肥とたっぷりの水。株元にわらを敷く
- 1週目:土の乾き具合を見て、乾いていたら水をやる。新しい芽が出始めるのを待つ
- 2週目:新しい芽が伸びてくる。葉の裏や新芽の虫を見回る
- 3〜4週目:新しい枝に花が咲き始める。支柱への誘引をし直す
- 1か月後ごろ:実がつき始める。切り戻しをしながら収穫を再開
あくまで目安なので、株のようすを見ながら進めてください。
手順10:新しい芽を守る
更新剪定のあと、しばらくすると、切ったところから新しい芽が伸びてきます。この新しい芽は、やわらかくて、虫にとってもごちそうです。
- 新しい芽や葉の裏に、虫がついていないか見回る
- 特に、いちばん上の新しい芽(成長点)を食べられないように気をつける
せっかく出てきた新しい芽を虫に食べられてしまうと、更新剪定の効果が台無しになってしまいます。剪定のあとこそ、こまめな見回りが大切です。
手順11:秋の収穫を待つ
順調にいけば、更新剪定から1か月くらいで、新しい枝に花が咲き、実がつき始めます。新しい枝の先に、紫色のつぼみを見つけたときは、思わずうれしくなりますよ。気温が落ち着く秋のナスは、皮がやわらかく、みずみずしくて、とてもおいしいですよ。
剪定のときの道具
- 剪定ばさみ:よく切れるものを使う。切れ味が悪いと、切り口がつぶれて傷みやすい
- はさみの手入れ:病気の株を切ったはさみで、健康な株を切ると、病気がうつることがある。株ごとに、はさみを拭いておくと安心
剪定は、晴れた日の午前中に行うのがおすすめです。気温が上がりすぎる前の時間帯なら、作業する人にとっても楽です。真夏の作業になるので、帽子をかぶって、こまめな水分補給も忘れずにしてください。切り口が早く乾いて、病気が入りにくくなります。雨の日や、雨の直前は避けてください。
ハダニに注意
真夏の乾燥した時期は、ハダニが増えやすくなります。葉の裏に小さな虫がいたり、葉が白くかすれたようになっていたりしたら、ハダニのしわざかもしれません。
ハダニは水に弱いので、葉の裏に水をかけると減らすことができます。ただし、これは虫対策の水やりで、根に水を届けるための水やりとは別のものです。根への水は、株元や畝のあいだに、たっぷりやってください。
収穫の目安
ナスは、とり遅れると株が疲れやすくなる野菜です。少し小さめのうちにとるくらいが、株にとってはちょうどいいんですね。食べごろの大きさになったら、早めに収穫してください。
- 長ナス、中長ナス:長さ10〜15cmくらい(品種によって違う)
- 実に、つやがあるうちに
- へたの下の、とげに気をつけて、はさみで切る
夏の暑い時期は、実がすぐに大きくなります。2〜3日に1回は畑をのぞいて、こまめに収穫するのが、なり疲れを防ぐいちばんの近道です。
夏のナスの水やり
ナスは、水が大好きな野菜です。「ナスは水で育てる」と言われることもあるほどです。
- 晴れが続いて土が乾いたら、株元や畝のあいだにたっぷり水をやる
- 水やりは、朝の涼しいうちか、夕方に
- 株元にわらを敷いて、土の乾燥を防ぐ
水が足りないと、実がかたくなったり、つやがなくなったりします。なり疲れかな、と思ったら、まず水が足りているかを確かめてください。
追肥のタイミング
ナスは、長く実をつけ続けるので、肥料もたくさん使います。収穫が始まったら、2週間に1回くらいを目安に、少しずつ追肥を続ける方法がよく紹介されます。
ただ、肥料のやりすぎは、実がかたくなる原因にもなります。葉の色や、花のめしべの長さを見ながら、量を調整してください。
切り戻し剪定のやり方
更新剪定のように一度に大きく切るのではなく、収穫しながらこまめに枝を更新していく方法です。
2つの動作をくり返す
切り戻しは、難しそうに聞こえますが、実は次の2つの動作のくり返しです。
- 花が咲いたら:その花の先の葉を1枚(家庭菜園なら1〜2枚)残して、枝の先を摘む
- 実を収穫するとき:実のついた枝を、根元に近い脇芽を1つ残して切る
すると、残した脇芽が伸びて、また花をつけ、実がなります。これをくり返すことで、いつも若い枝に実をつけさせることができます。
家庭菜園なら、脇芽を2つ残してもいい
脇芽を1つだけ残すのが基本ですが、家庭菜園なら、2つ残しても大丈夫、という説明もあります。たくさん収穫したいときは、2つ残してみてください。
切り戻しのよさ
- 日当たりと風通しがよくなる
- 病気が出にくくなる
- いつも若い枝に実がつくので、品質のいいナスがとれる
- 株が疲れにくい
下葉や、元の枝の葉も整理する
新しく出た芽の葉が大きくなってきたら、元の太い枝の古い葉は切っておきます。株元の下葉や、黄色くなった葉も、随時取り除いてください。株の中がすっきりして、日当たりと風通しがよくなります。
もっと簡単なやり方
花が咲くたびに摘心するのが大変なら、1本の枝に実を2〜3個つけさせて、全部収穫し終えたら、脇芽を残して枝の先を切る、という簡単な方法もあります。1本の枝に4個以上つけると多すぎるので、3個くらいまでにしておくといい、という説明もあります。
品種による違い
ナスには、いろいろな品種があります。
- 長ナス、中長ナス:一般的なナス。更新剪定や切り戻しがしやすい
- 丸ナス:実が丸く、大きくなる。実をつけすぎると株が疲れやすいので、実の数をしぼる
- 米ナス:大きな実をつける。1本の枝にたくさん実をつけすぎないように
- 小ナス:小さな実をたくさんつける。こまめに収穫する
大きな実をつける品種ほど、株の負担が大きくなります。実を大きくしすぎないように、早めに収穫することも、なり疲れを防ぐ工夫の一つです。
プランターのナスの剪定
プランターでも、切り戻しや更新剪定はできます。
- プランターは土の量が少ないので、根切りは無理にしなくてもいい
- 更新剪定のあとは、プランターの土の表面に追肥をして、たっぷり水をやる
- プランターは乾きやすいので、剪定のあとは特に水切れに注意する
プランターのナスは、畑より株が小さくなりがちなので、切りすぎには特に気をつけてください。
剪定前の最終チェック
更新剪定をする前に、次のことを確かめておくと安心です。
- 株元がぐらついていないか、根元に病気が出ていないか
- 新しく伸びそうな元気な脇芽が残っているか
- 剪定のあと、水やりを続けられるか(旅行などの予定がないか)
- 天気予報で、晴れが続きそうか
剪定のあと1〜2週間は、株の回復にとって大事な時期です。そのあいだ、水やりや見回りができる日程を選んで行ってください。
失敗の見分け方
更新剪定のあと、株が枯れた
- 切りすぎて、葉がほとんど残らなかった
- 根切りのときに、かき回して根を傷めた
- 剪定のあと、乾燥させてしまった
- もともと病気にかかっていた
更新剪定のあと、なかなか新しい芽が出ない
- 時期が遅すぎた
- 水や肥料が足りなかった
- 暑さが厳しすぎた
少し時間がかかることもあるので、水を切らさずにようすを見てください。
新しい芽が、虫に食べられた
剪定のあとの新しい芽は、虫にとってごちそうです。こまめに見回って、虫を見つけたら取り除いてください。
実につやがない、曲がる
実につやがなく、表面がぼんやりした色になることがあります。水不足や、株の疲れが原因のことが多いです。実が曲がったり、形がいびつになったりするのも、株が疲れているサインのことがあります。水やりと追肥を見直し、それでも戻らなければ、切り戻しや更新剪定を考えてください。
実がかたい
肥料が多すぎても、実がかたくなることがあります。株が弱っているからといって、肥料を足しすぎないように気をつけてください。水不足でも、実がかたくなることがあります。
正直に言うと、こわい作業です
デメリットもある
更新剪定は、せっかく育った枝や葉を、一度にたくさん切ってしまう作業です。
- 切ってから、また収穫できるまで、時間がかかる
- そのあいだ、収穫量が一時的に落ちこむ
- 切りすぎると、株が枯れることもある
- 休ませるぶん、1年を通した収穫量が減ることもある
「秋にまたとれるようになる」ことと、「1年の収穫量が必ず増える」ことは、別の話です。
まずは1株だけ、試してみる
こわいなと思ったら、まずは1株だけ、更新剪定を試してみてはいかがでしょうか。やってみると、意外と簡単にできることが分かります。
ほかの株は、切り戻しを続けたり、そのまま育てたりして、秋に比べてみるのもおもしろいと思います。同じ品種、同じ畑で育てた株でも、手入れのしかたで秋の実のつき方がどう変わるのか。自分の目で確かめられるのは、家庭菜園ならではの楽しみですね。比べた結果をメモしておけば、来年の夏にきっと役立ちます。
株によっては、片づけて次の野菜へ
花のつきや、育ち方がかなり悪い株は、無理に更新剪定をせず、片づけて秋冬野菜に切りかえる、という選択もあります。病気で弱っている株は、剪定しても回復しないことがあります。秋まで続ける株と、片づける株を分けて考えてください。
説明が分かれていること
剪定は、必須か、余裕があればか
- 秋ナスまで長く収穫を楽しみたいなら、切り戻しは避けて通れない、という説明
- 必ずやらなければいけないことではない。余裕があればやってみて、という説明
どちらも、「秋まで長く収穫したいなら、やったほうがいい」という点では共通しています。
更新剪定の時期
- 7月中旬から下旬
- 7月中旬から8月上旬
- 7月末からお盆まで
地域や、その年の暑さで変わります。株が疲れ始めたら、早めに、と考えてください。
一度に大きく切るか、何回かに分けるか
- 一度に大胆に切り戻して、株を休ませる、という方法
- 暑い時期に一度にたくさん葉を減らすのは負担が大きいので、何回かに分けて切る、という方法
株の元気さと、暑さで選んでください。株が弱っているなら、分けて切るほうが安全です。
根切りの距離
- 株元から20cmくらい
- 株元から30cmくらい
どちらの説明も、株のまわりをぐるりと切る、という点では共通しています。株の大きさに合わせて、根鉢を大きく傷つけない距離で行ってください。
9月になったら、切り戻しをやめるか、続けるか
- 9月になったら、新しい脇芽の伸びが遅くなるので、切り戻しをやめて、今ある枝に2番目、3番目の実をつけさせたほうがいい、という説明
- 秋も切り戻しを続けて、実を大きくしすぎないようにして、長く収穫する、という説明
どちらの方法でも、混みあった枝は整理する、実を大きくしすぎない、という点は共通しています。
秋の追肥
- 夏に追肥していない株なら、秋にも追肥をする、という説明
- 次に植える野菜のことや、肥料の残りを考えて、むやみに追肥しない、という説明
株のようすと、次の作付けの予定で決めてください。
よくある質問
Q. 更新剪定のあと、どれくらいで収穫できますか?
A. 天気や株の状態にもよりますが、1か月くらいで新しい枝に実がつき始めることが多いです。ただ、何日で回復するという決まった日数はありません。新しい芽が元気に伸びているかを見ながら、待ってください。
Q. ピーマンやししとうも、更新剪定できますか?
A. ピーマンやししとうも、混みあった枝を整理して、株を若返らせることはできます。ただ、ナスほど大きく切り戻すことは少なく、混みあった枝や古い枝を整理する程度にすることが多いです。
Q. 根切りをすると、株が倒れませんか?
A. 根切りは、株のまわりの一部の根を切るだけなので、支柱でしっかり支えていれば、倒れることはほとんどありません。根切りのあとは、支柱の結び目も確かめておくと安心です。
Q. 更新剪定のあとの肥料は、何を使えばいいですか?
A. ふだん使っている肥料で大丈夫です。化成肥料なら早く効き、有機の肥料はゆっくり効きます。量は、袋に書かれた追肥の目安に従ってください。まきすぎると、かえって実がかたくなることがあります。
Q. 更新剪定のあと、支柱はどうすればいいですか?
A. 枝を短く切ったぶん、支柱の上のほうは使わなくなりますが、支柱はそのまま残しておいてください。新しく伸びてくる枝を、また支柱に誘引していきます。剪定のときに、古い結び目が茎に食いこんでいないかも確かめて、きつければゆるめておきましょう。
Q. 秋ナスは、いつまで収穫できますか?
A. 地域や天気によりますが、気温が下がって、実のつきや育ちが悪くなってきたら、そろそろ終わりのサインです。10月ごろまで収穫できることが多いです。最後に残った小さな実も、炒めものや漬けものにして、おいしく食べきってください。
Q. 更新剪定は、毎年やったほうがいいですか?
A. その年の暑さや、株の元気さによって決めればいいと思います。夏の暑さが厳しく、なり疲れが目立つ年はやってみる、株が元気なら切り戻しだけで続ける、というように、株のようすで判断してください。毎年記録をつけておくと、自分の畑に合ったやり方が見えてきます。
Q. 根切りは、スコップがないとできませんか?
A. 根切りには、刃の平たいスコップが使いやすいです。移植ごてのような小さな道具では、深くまで差しこめず、根がうまく切れないことがあります。スコップがない場合は、根切りはせずに、枝の剪定と、追肥、水やりだけでもかまいません。根切りは必須の作業ではありません。
Q. 剪定したあと、ナスの葉がしおれてきました
A. 剪定や根切りのあと、一時的に葉がしおれることがあります。株が新しい環境に慣れるまでのあいだなので、水を切らさないようにして、ようすを見てください。夕方や翌朝に元に戻っていれば大丈夫です。何日もしおれたままなら、切りすぎたか、根を傷めすぎた可能性があります。
Q. 切り戻しと更新剪定、両方やってもいいですか?
A. できます。初夏から収穫しながら切り戻しを続けて、真夏に株が疲れてきたら更新剪定で一度休ませる、という組み合わせもあります。ただ、更新剪定をすると、しばらく収穫が止まるので、切り戻しで株が元気に保てているなら、更新剪定はしなくても大丈夫です。
Q. 何株か植えている場合、全部同じ日に更新剪定したほうがいいですか?
A. 全部を同じ日に切ると、そのあいだ収穫がまったくなくなってしまいます。何株かあるなら、株ごとに日をずらして切ったり、1株だけ更新剪定して、ほかの株は切り戻しを続けたりすると、収穫を途切れさせずにすみます。
Q. 更新剪定をしたあと、雨が続きました
A. 雨が続くと、切り口から病気が入りやすくなることがあります。剪定は、できれば晴れが続く日を選んで行ってください。剪定のあとに雨が続いた場合は、切り口や新しい芽に病気が出ていないか、よく見ておきましょう。雨のあいだは、水やりは控えてください。
Q. 病気の株も、更新剪定で回復しますか?
A. 病気の種類や進み具合によります。葉の一部に病気が出ているくらいなら、その部分を切り取ることで、新しい葉が元気に育つこともあります。ただし、株全体がしおれて、水をやっても戻らないような場合は、根の病気の可能性もあり、剪定しても回復しないことがあります。そういう株は、無理に残さず片づけて、ほかの株に病気が広がらないようにしてください。
Q. 更新剪定をしなかった株は、どうなりますか?
A. 更新剪定をしなくても、ナスは秋まで実をつけることが多いです。ただ、なり疲れが進むと、実が小さく、かたくなりやすくなります。切り戻しをこまめに続けたり、水と追肥で株の元気を保ったりすることで、秋まで収穫を続けることもできます。
Q. 切った枝は、どうすればいいですか?
A. 病気が出ていない枝や葉は、細かくしてたい肥の材料にできます。病気が出ていた枝や葉は、たい肥にせず、畑の外に持ち出して処分してください。
Q. 葉が少なくなって、日焼けしないか心配です
A. 葉を切りすぎると、残った枝や実が強い日差しにさらされることがあります。元気な葉を何枚か残しておくと、日よけにもなります。株元にわらを敷いて、土の乾燥と温度の上がりすぎを防ぐのもおすすめです。
学ぶ🔬 なぜナスは、切ると若返るのか
ここからは、ナスの剪定のしくみについて、少しだけ深く書いておきます。読み飛ばしても大丈夫です。
実をつけ続けると、株は疲れる
野菜は、実の中の種を育てるために、たくさんの栄養を実に送ります。ナスは、初夏から次々に実をつけるので、夏が近づくころには、株の体力がかなり消耗しています。
そこへ真夏の暑さが加わると、株は弱って、実を大きく育てる力がなくなっていきます。これが、なり疲れです。
ナスは、脇芽から新しい枝を出す力が強い
ナスは、枝を切っても、そこから新しい脇芽を出して、再び枝を伸ばす力が強い野菜です。この力を利用して、古くなった枝を切り、新しい枝に実をつけさせるのが、剪定の考え方です。
新しい根が、水と養分を吸う
根も、時間がたつと古くなって、水や養分を吸う力が落ちていくと言われます。根切りをすると、切ったところから新しい根が出てきます。新しい根は、水や養分をよく吸うので、株全体が元気を取り戻しやすくなります。
葉の数と、実の大きさ
ナスの実を大きく育てるのは、葉で作られた栄養です。1つの実を育てるのに、何枚かの葉が必要だと言われます。
葉が少なすぎると、実に送る栄養が足りなくなります。切り戻しで、花の先の葉を1〜2枚残すのは、その葉が、すぐ近くの実を育てるための「専属の工場」になるからです。更新剪定で葉を全部落とさないのも、株が回復するための栄養を作る葉を残すためなんですね。
なぜ実を大きくしすぎないほうがいいのか
ナスの実は、大きくなればなるほど、中の種も育っていきます。種を育てるには、たくさんの栄養が必要です。
実を大きくしすぎると、株は種を育てることに力を使って、新しい花や実をつける力が弱くなります。食べごろの大きさで早めに収穫することは、株の体力を守り、なり疲れを防ぐことにもつながります。
ナスは、なぜ水が好きなのか
ナスは、大きな葉をたくさん広げて、そこから水分をどんどん外へ出しています。実もみずみずしく、水分をたっぷり含んでいます。
そのため、ほかの夏野菜に比べても、たくさんの水を必要とします。水が足りないと、まず実の育ちが悪くなり、皮がかたくなったり、つやがなくなったりします。ナスの元気を保つには、水やりがとても大切なんです。
なぜ、かき回すと病気になりやすいのか
根切りのときにスコップでかき回すと、切った根の傷口が広がり、土の中の病気のもとが入りやすくなります。また、根がたくさん傷つくと、株が水を吸えなくなって、急に弱ってしまうこともあります。
まっすぐ差して、まっすぐ抜く。根切りは、必要なところだけを、きれいに切ることが大切です。切り口がきれいなほど、そこから新しい根が出やすくなります。
なぜ秋のナスはおいしいのか
秋になって気温が落ち着くと、ナスはゆっくりと実を育てるようになります。ゆっくり育った実は、皮がやわらかく、実がしまって、みずみずしくなります。夜の気温が下がると、昼に作った栄養を実にたくわえやすくなる、とも言われます。
「秋なすは嫁に食わすな」ということわざがあるほど、秋のナスはおいしいものとして知られてきました。更新剪定は、この秋のおいしいナスを味わうための作業なんですね。
まとめ
ここまで読んでくださって、ありがとうございます!
ナスの更新剪定と切り戻しのポイントを、もう一度まとめておきます。
- 夏に実が小さく、かたくなるのは、なり疲れのことが多い。ただし水不足、肥料の過不足、虫も疑う
- 花のめしべの長さで、株の元気さを見る
- 切り戻しは、収穫しながらこまめに。更新剪定は、一度に大きく切って休ませる
- 更新剪定は7月中旬から8月上旬ごろ。実を全部とり、高さの半分くらいまで切る
- 葉を全部落とさない。元気な脇芽や小さな葉は残す
- 根切りは、株元から20〜30cmにまっすぐスコップを。かき回さない
- 根切りのあとは、追肥とたっぷりの水
- 新しい芽を虫から守る
- こわいなら、まずは1株だけ試してみる
夏の暑さで弱ったナスも、ひと手間かけてあげれば、秋にまたおいしい実をつけてくれます。切るのは勇気がいりますが、思いきって休ませた株が、秋にまたつやのある実をつけたときは、とてもうれしいものです。夏の暑さを乗り越えた株への、ごほうびのような収穫です。秋のナスは、焼いても煮ても、とろりとやわらかくて格別ですよ。
まずは、次に畑に行ったとき、ナスの花をそっとのぞいて、めしべの長さを確かめるところから始めてみてください。株の元気さが、花から見えてきます🍆
剪定ばさみ
太い枝を切るので、切れ味が要ります。切り口がつぶれると、そこから傷みます。
移植ごて
根切りに使います。株元から30cmのところへ、まっすぐ差し込むだけ。
発酵油かす
切ったあとの追肥です。ここを飛ばすと、秋に戻ってきません。
苦土石灰
この時期はマグネシウムとカルシウムが不足します。追肥と一緒に。