いんげんの育て方|つるあり・つるなしの選び方、まき時、ネット張り、追肥、若どりで長く収穫するこつ
📖 この記事の目次
この記事で分かること
- いんげんには、2mほどに伸びる「つるあり」と、40〜50cmほどの「つるなし」があります。初めてなら、支柱やネットの要らないつるなしが手軽です。
- タネまきは、暖かくなった4月から5月ごろが中心です。つるなしは6月初めごろまで、夏に秋どりをねらってまく方法もあります。
- 暑さが苦手で、30℃を超えるような暑い時期は、花が咲いても実が入りにくくなります。暑さの前に収穫できるよう、時期を組み立てます。
- 酸性の土に弱く、連作にも弱いので、石灰で土を整え、同じ場所には3年ほどあけて植えます。湿気にも弱いので、水はけのよい場所に。
- 1つの穴に3〜4粒まき、育ったら2本に間引きます。まいたら鳥に食べられないよう不織布をかけます。
- 花が咲きはじめたら追肥をします。若いさやを早めに穫るほど、長く収穫が続きます。
いんげんは、育てやすく、たくさん穫れる、家庭菜園で人気の野菜です。ゆでても、炒めても、ごま和えにしてもおいしく、お弁当の彩りにも重宝します。「三度豆」と呼ばれることもあるように、時期をずらしてまけば、1年に何度か収穫を楽しめる野菜でもあります。
一方で、「花は咲くのに実がつかない」「つるが絡まって手がつけられなくなった」「芽が出ない」「さやがかたくなってしまった」という声もよく聞きます。この記事では、いんげんの育て方を、品種選びからタネまき、ネット張り、追肥、収穫、よくある失敗まで、順番に書いていきます。
早見:いんげんの基本
時期の目安(一般的な地域)
- タネまき:4月〜5月ごろ。つるなしは6月初めごろまで
- 夏まき:7月〜8月ごろにまいて、秋に収穫する方法もある(地域や品種による)
- 収穫:つるなしはまいてから2か月ほど、つるありはもう少し長く続く
数字の目安
- 株間:30cmほど
- タネをまく深さ:2cmほど
- 1穴にまく粒数:3〜4粒。育ったら2本に
- 草丈:つるありは2mほど、つるなしは40〜50cmほど
- 連作:3年ほどあける
大事なこと
- 酸性の土に弱い。石灰で整える
- 湿気に弱い。水はけよく
- 暑さに弱い。30℃を超えると実が入りにくい
- さやは若いうちに穫る
いんげんという野菜
さやを食べるいんげん、豆を食べるいんげん
ふだん野菜として食べている「さやいんげん」は、豆が育ちきる前の若いさやを食べるものです。一方、同じいんげんの仲間でも、さやの中の豆を育てきって、乾いた豆として収穫するものもあります。金時豆、うずら豆、大福豆、花豆などがそうで、煮豆や甘納豆の材料になります。
さやを食べるものと、豆を食べるものの違いは、主に収穫の時期の違いです。この記事では、さやを食べるさやいんげんを中心に書いていきます。
つるありとつるなし
- つるあり:つるが2mほどまで伸びる。支柱やネットが必要。収穫できる期間が長く、たくさん穫れる
- つるなし:草丈は40〜50cmほど。支柱やネットが要らず、手軽。収穫の期間は短めで、量も少なめ
「手軽さ」を選ぶならつるなし、「たくさん長く穫りたい」ならつるあり、と考えて選びます。ベランダのプランターや、狭い場所で育てるなら、つるなしが向いています。
暑さが苦手
いんげんは、もともと涼しい気候を好む野菜です。乾いた豆として育てる品種の多くが、北海道など涼しい地域でたくさん作られているのも、そのためです。気温が30℃を超えるような暑い時期は、花が咲いても実が入りにくくなり、花が落ちてしまうことも増えます。
だから、いんげんは、本格的な暑さが来る前に収穫できるよう、春のうちに早めにまくのが基本です。
品種の選び方
初めてなら、つるなし
支柱やネットを用意する必要がなく、管理が楽なので、初めてならつるなしがおすすめです。まいてから2か月ほどで収穫でき、短い期間で結果が出るのも楽しいところです。
たくさん穫りたいなら、つるあり
つるありは、ネットを張る手間はかかりますが、つるを伸ばしながら次々に花を咲かせるので、収穫できる期間が長く、量も多くなります。
さやの形も選べる
いんげんには、細長い丸いさやのもの、平たく幅の広いさやのもの(平さやいんげん)などがあります。食べ方の好みで選んでみてください。
安いタネでも育つ
いんげんのタネは、園芸店のほか、100円ショップなどでも少量で売られています。家庭菜園で数株育てるなら、少量のタネで十分です。品種名と、まく時期、収穫までの日数が袋に書かれているかを確かめて選びます。
タネは新しいものを
いんげんのタネは、寿命が比較的短く、古くなると芽が出にくくなります。去年やおととしのタネは使わず、その年に買ったタネを、その年のうちに使いきるようにします。余ったタネは、知り合いと分けあうのもよい方法です。
植える場所と土
酸性の土に弱い
いんげんは、酸性の土に弱い野菜です。土が酸っぱいと、根の育ちが悪くなります。タネをまく2週間ほど前までに、石灰を入れて土の酸っぱさを整えておきます。
連作に弱い
同じ場所に、いんげんなど豆の仲間を続けて植えると、育ちが悪くなりやすくなります。いんげんを植えた場所には、3年ほどあけてから、また植えるようにします。
湿気に弱い
水はけの悪い場所では、根が傷みやすく、病気も出やすくなります。水はけのよい場所を選ぶか、うねを高めにして植えます。
肥料は控えめに
豆の仲間は、根に住む菌(根粒菌)の力で、空気中の窒素を養分にすることができます。そのため、肥料、特に窒素はあまり要りません。元肥は、ほかの野菜より控えめにします。
ただ、いんげんは育つのが早く、根粒菌のはたらきだけでは養分が追いつかないこともあります。元肥を控えめにして、花が咲いたころに追肥で補う、という考え方がよく取られます。
- タネまきの2週間ほど前に、石灰と、控えめの堆肥や有機の肥料を入れて耕す
- うねを作って、マルチを張っておく
植える前の準備の流れ
1.タネまきの3週間ほど前:植える場所を決める。前の3年ほどに豆の仲間を植えていないか確かめる
2.2週間ほど前:石灰をまいて耕す。控えめの堆肥や有機の肥料も入れる
3.1週間ほど前:うねを作り、マルチを張る。つるありは支柱とネットの材料をそろえる
4.タネまき当日:不織布を用意しておき、まいたらすぐかける
植えつけの準備がととのってからタネや苗を買うと、慌てずにすみます。
タネまき
畑に直接まく
1.株間30cmほどで、深さ2cmほどの穴をあけます。
2.1つの穴に、タネを3〜4粒まきます。いんげんのタネは細長いので、横に寝かせて置きます。
3.まわりの土を寄せて穴を埋め、手で軽く押さえます。
4.たっぷり水をやります。
5.不織布をかけて、鳥にタネや芽を食べられないようにします。
市販のタネには、カビや病気を防ぐ薬で色がついているものがあります。素手でさわったら手を洗います。
ポットで苗を育てる
鳥の被害が多い場所や、早めに育てはじめたい場合は、ポットでまいて苗を育ててから植える方法もあります。
1.9cmほどのポットに培養土を入れ、タネを2〜3粒、横に寝かせて置き、1cmほど土をかぶせます。
2.たっぷり水をやります。
3.5〜6月の暖かい時期なら、保温は要りません。土が乾かないように水やりします。
4.1週間ほどで芽が出ます。
5.本葉が出はじめたころ、畑に植えつけます。
芽が出ないとき
- 寒すぎる時期にまいた:いんげんは寒さが苦手です。暖かくなってからまきます
- タネが古い:新しいタネを使います
- 水が多すぎてタネが腐った:まいたあと、土がずっと湿りすぎないようにします
- 深くまきすぎた:2cmほどの深さにします
- 鳥やナメクジに食べられた:まいたら不織布をかけ、芽が出たころは夜の見回りも
苗を買って植える場合
園芸店で、いんげんの苗が売られていることもあります。
- 本葉が2〜3枚の、若い苗を選ぶ。育ちすぎた苗は根づきにくい
- 葉の色が濃く、茎がしっかりしたものを選ぶ
- 葉の裏に虫がついていないか確かめる
- 植えるときは、根鉢をくずさないようにそっと植える。いんげんは根をいじられるのを嫌う
間引き
本葉が3〜4枚になったころ、1つの穴から2本を残し、ほかは間引きます。根が絡んでいることがあるので、引き抜かず、はさみで根元から切ると、残す株の根を傷めません。
土寄せ
タネまきが浅かったり、間引きで土が持ち上がったりして、根が見えている株は、株元に土を寄せて安定させます。いんげんは、根が乾いたり、地表に出たりすると育ちが悪くなります。
まいたあとの水やり
いんげんのタネは、水を吸いすぎると腐りやすくなります。まいたときにたっぷり水をやったら、芽が出るまでは、土の表面が乾いたときに軽く水をやる程度にします。毎日たっぷりやり続けると、タネが傷むことがあります。不織布をかけておくと、土の乾きすぎも防げます。
芽が出て双葉が開いたら、不織布は外します。そのままかけておくと、苗がひょろひょろと伸びてしまいます。
支柱とネット(つるありの場合)
芽が出たら、すぐに準備
つるありいんげんは、芽が出て本葉が育つと、すぐにつるが伸びはじめます。つるが伸びる前に、支柱とネットを用意しておきます。
ネットの張り方の例
1.2mほどの支柱を、うねの両側に立て、上で交差させて組みます(合掌式)。
2.交差したところに横の支柱を渡して、ひもで固定します。
3.きゅうり用のネットなどを、支柱にかけて張ります。
4.ネットの端を、クリップやひもで支柱に留めます。
支柱の立て方には、まっすぐ立てた支柱にネットを張る方法など、いくつかのやり方があります。風で倒れないよう、支柱は深めに差しこみます。
誘引する
伸びてきたつるは、ネットに絡ませます。つるが自然にネットに巻きつくまでは、ひもで軽く支柱やネットに留めてやります。
誘引をせずに放っておくと、つるが地面をはって四方八方に広がり、絡まり合って、手がつけられなくなります。そうなると、風通しが悪くなって病気が広がりやすくなります。つるが伸びはじめたら、こまめにネットへ誘導します。
ネットの高さと向き
つるありいんげんのネットは、2mほどの高さがあると、つるを十分に伸ばせます。手の届く高さを超えると収穫しにくくなるので、高すぎる場合は、つるの先を止める(摘む)か、ネットの上で横に這わせます。
うねの向きは、できれば南北にすると、ネットの両側に日が当たりやすくなります。東西のうねで、北側に日が当たりにくい場合は、ネットの南側にいんげん、北側には日陰でも育つ野菜を植える、という工夫もあります。
つるなしは支柱が要らない
つるなしいんげんは、草丈が低いので、基本的に支柱やネットは要りません。風の強い場所では、株元に土を寄せて、倒れないようにします。
つるの先を止める
つるありいんげんのつるがネットの上まで届いたら、先を摘んで止めると、下のほうの枝に養分が回り、脇から伸びるつるにも花がつきやすくなります。ネットの上で絡まり合って、風通しが悪くなるのも防げます。
追肥と水やり
花が咲いたら追肥
花が咲きはじめたころに、1回目の追肥をします。いんげんは育つのが早く、花が咲いてさやがつくころには、養分がたくさん必要になります。
- 株元から少し離れたところに、少量の肥料をまいて、土と軽く混ぜる
- つるありは、収穫が続く間、2〜3週間に1回くらい追肥する
- 窒素の多い肥料を入れすぎると、葉やつるばかり茂って、花やさやがつきにくくなる
水やり
いんげんは、湿気に弱い一方で、花が咲いてさやが育つ時期に土が乾ききると、花が落ちたり、さやが曲がったりします。
- ふだんは、土の表面が乾いたら水をやる程度
- 花が咲いてさやが育つ時期に雨が少なければ、朝のうちにたっぷり水をやる
- 水はけの悪い場所に、水をやりすぎない
収穫
収穫の手順
1.朝の涼しい時間に、収穫ばさみと、収穫物を入れるかごを持っていく
2.株の下のほうから順に、葉をかき分けてさやを探す。葉と同じ色なので、見落としやすい
3.穫りごろのさやを、付け根からはさみで切る
4.大きくなりすぎたさやも、見つけたら穫っておく(株を疲れさせないため)
5.つるの先や花を傷めないよう、つるを強く引っ張らない
若いうちに穫る
さやいんげんは、さやが若く、中の豆がまだ目立たないうちが穫りどきです。花が咲いてから10〜15日ほどで、さやが穫りごろの長さになります。
- さやの中の豆のふくらみが外から目立つようになると、さやがかたく、筋っぽくなる
- はさみで、さやの付け根を切って収穫する。手でもぐと、つるや花を傷めることがある
穫るほど、長く穫れる
さやを穫り遅れて、中の豆が育ちはじめると、株は豆を育てることに力を使い、新しい花をつける力が弱まります。若いうちにこまめに収穫するほど、新しい花が次々に咲いて、長く収穫が続きます。収穫が始まったら、2〜3日に1回は見回って、穫りどきのさやを穫ります。
乾いた豆として穫る場合
金時豆などの豆として育てる品種は、さやが黄色く枯れて、中の豆がかたく乾いてから収穫します。さやを食べるものより、収穫まで長くかかります。暑い時期をはさむと実が入りにくいので、早めにまくことが特に大切です。
梅雨どきの注意
いんげんの花が咲いて収穫が始まるころは、ちょうど梅雨の時期と重なります。
- 雨が続くと、湿気で病気が出やすくなる。下の古い葉を取り、株元の風通しをよくする
- つるが倒れたり、ネットからはずれたりしていないか、雨のあとに確かめる
- 泥はねを防ぐため、マルチや敷きわらで株元を覆っておく
- 雨の合間の晴れた日に、まとめて収穫する。さやがぬれたまま保存すると傷みやすい
反対に、梅雨に入っていない地域や、マルチをしていない畑では、さやがつく時期に土が乾きすぎることもあります。株元の土を指で少し掘って、乾いていれば水をやります。
夏から秋どりのいんげん
6月下旬まきで、秋に穫る
いんげんは、春にまくだけでなく、夏にまいて秋に収穫することもできます。たとえば、まいてから65日ほどで収穫できる品種を6月下旬にまくと、暑さが落ちつく9月から10月ごろに収穫できます。春のいんげんが暑さで実をつけなくなるころに、新しい株で秋の収穫をねらう、という考え方です。
暑さをやわらげる工夫
夏まきの苗は、強い日差しと暑さの中で育つことになります。
- 黒い遮光タイプのネットや寒冷紗で、直射日光をやわらげる
- タネまきのあと、土が乾きすぎないよう、朝のうちに水をやる
- 敷きわらなどで、株元の土の温度が上がりすぎるのを防ぐ
きゅうりのネットを引きつぐ
夏に終わりを迎えるきゅうりやかぼちゃの株元の近くに、つるありいんげんのタネをまいておき、きゅうりが枯れてきたら、その支柱とネットをいんげんに使う、という方法もあります。支柱やネットを張り直す手間がはぶけて、畑を続けて使えます。ただし、同じ場所にうりの仲間の病気や虫が残っていないかは、気をつけて見ておきます。
乾いた豆として育てる
金時豆、大福豆、花豆など
煮豆にする金時豆や大福豆、花豆なども、いんげんの仲間です。乾物として売られている豆をまいて育てることもできます(すべての豆が芽を出すとは限りません)。
早まきが大事
乾いた豆として収穫するには、さやが枯れて豆が育ちきるまで、まいてから3か月ほどかかります。真夏の暑さの中で花が咲くと実が入りにくくなるので、梅雨明けまでに収穫できるよう、3月中旬から下旬の早い時期にまくのが大切です。
- 寒い時期のまきはじめは、不織布をべたがけし、その上に穴のあいたビニールのトンネルで保温する
- 水はけのよい高めのうねに、黒いマルチを張る
- 夏の暑さを避けるため、半日陰になる場所があれば、そこで育てるのもよい
肥料はほとんど要らない
ほかの野菜を育ててきた土なら、肥料を入れずに始められます。土がやせていて心配な場合は、株のまわりに少量の有機の肥料と、草木灰を少しまく程度にします。
収穫と乾燥
さやが黄色から茶色に枯れて、振ると中で豆がからからと鳴るくらいになったら収穫します。雨に当てないよう、晴れた日に株ごと抜くか、さやを摘み取って、風通しのよい場所でさらに乾かしてから、豆を取り出します。
片づけ
収穫が終わったら
- 株を根ごと抜く。根に小さな粒(根粒)がついているのは、豆の仲間の根にすむ菌のすみかで、病気ではない
- つるがネットに絡みついている場合は、根元で切って、枯れるのを待ってからはずすと、はずしやすい
- 病気の出た株は、畑の外へ持ち出す。元気だった株は、刻んで堆肥にしてもよい
- ネットや支柱は、土を落として乾かしてからしまう
次に植える野菜
いんげんのあとの土には、根粒菌のはたらきで、窒素が少し残っていることがあります。次は、葉物など、豆の仲間以外の野菜を植えます。
虫と病気
見回りのポイント
- 芽が出たころ:鳥やナメクジの食べ跡がないか
- つるが伸びはじめたころ:つるの先にアブラムシがついていないか、ネットに誘引できているか
- 花が咲くころ:花が落ちていないか、土が乾きすぎていないか
- さやがつくころ:カメムシがいないか、穫り遅れのさやがないか
アブラムシ
芽が出たばかりの苗や、つるの先の新芽に、アブラムシがつくことがあります。新芽はとても細く折れやすいので、手でつぶそうとして先を折らないよう、刷毛で払うか、水で洗い流します。
ナメクジ、鳥
まいたばかりのタネや、芽が出たばかりの苗は、鳥やナメクジに食べられやすい時期です。不織布をかけて守り、芽が出たころは、夜にナメクジがいないか見回ります。
カメムシ
さやがつくころから、カメムシがさやの汁を吸うことがあります。吸われたさやは、まだらに変色したり、曲がったりします。朝夕に株をゆすって、落ちたカメムシを取ります。
バッタ
若い葉を、バッタに食べられることがあります。小さいうちに見つけたら取ります。
ハダニ
暑く乾いた時期に、葉の裏に小さなダニがついて汁を吸い、葉の表に白っぽいかすれたような点が広がることがあります。葉の裏に水をかけると、数を減らせます。乾燥が続くときは、葉の裏までしっかり見ます。
病気
湿気が多く、風通しが悪いと、葉や茎に病気が出やすくなります。
- つるを誘引して、葉が混みあわないようにする
- 下の古い葉や、黄色くなった葉を取る
- 水はけのよい場所で育てる
いっしょに植えるとよい野菜
時期をずらしてまく
いんげんは、まいてから収穫までが比較的早い野菜です。2〜3週間ずつ時期をずらして何回かに分けてまくと、収穫の時期が重ならず、長い期間、穫れたてのいんげんを楽しめます。一度にたくさん穫れすぎて食べきれない、ということも防げます。
つるなしは混植しやすい
つるなしいんげんは、草丈が低く、ほかの野菜の間にも植えやすい野菜です。限られた場所を有効に使うために、ほかの野菜といっしょに植える(混植する)方法もあります。なすやさつまいも、とうもろこしなどとの組み合わせがよく紹介されます。
つるありととうもろこし
つるありいんげんを、とうもろこしの株元にまいて、とうもろこしを支柱代わりにしてつるを絡ませる、という昔ながらの組み合わせもあります。ただし、いんげんのつるがとうもろこしを覆いすぎないよう、まく時期をずらすなどの工夫が必要です。
なす、ピーマンとの組み合わせ
なすやピーマンの株の間に、つるなしいんげんを植えると、いんげんの根にすむ菌が窒素を取りこみ、まわりの土を少しずつ豊かにする、という考え方があります。また、地面をおおう葉が、土の乾きすぎを防ぐ役割もします。ただし、株と株の間が狭すぎると、互いに日当たりや風通しが悪くなるので、間隔に余裕をもたせて植えます。
プランターで育てる
つるなしが向いている
プランターで育てるなら、つるなしいんげんが向いています。
- 深さ20cm以上、幅60cmほどのプランターなら、2〜3か所にまける
- 1か所に3〜4粒まき、育ったら2本に
- 野菜用の培養土を使えば、石灰や元肥は要らないことが多い
- 土の表面が乾いたら水をやる。花の時期は乾かしすぎない
- 花が咲いたら、少量の追肥
季節ごとにやること(一般的な地域の目安)
- 3〜4月:植える場所を決め、石灰と堆肥を入れて耕す。連作になっていないか確かめる
- 4〜5月:タネまき。不織布で鳥よけ。つるありは支柱とネットを準備
- 5〜6月:間引き、土寄せ、誘引。アブラムシに注意。花が咲いたら追肥
- 6〜7月:収穫。2〜3日に1回、若いさやを穫る。暑くなると実が入りにくくなる
- 7〜8月:夏まきで秋どりをねらう場合は、暑さの落ちつく時期に花が咲くようにまく
- 9〜10月:秋どりのいんげんを収穫。片づけ
いんげんに似た豆
十六ささげ
十六ささげは、いんげんとは別の豆の仲間ですが、細長いさやを食べる点は似ていて、味も近いものです。皮が薄く、やわらかい食感を好む人もいます。ささげは暑さに強く、真夏でもよく育つので、暑い地域で夏にさやを食べる豆を育てたい場合は、ささげを選ぶのも1つの方法です。
説明が分かれるところ
肥料は要るか
豆の仲間だから肥料は要らない、という考え方と、いんげんは育つのが早く、花が咲くころには追肥が必要、という考え方があります。元肥は控えめにして、花が咲いたころの株の様子を見て追肥する、というのが多くの説明に共通するところです。新しく耕したばかりの畑など、根粒菌が少ない土では、葉の色が淡くなりやすいので、追肥で補います。
前の作付けのあとなら、肥料は要らないか
前にほかの野菜を育てていた場所なら、元肥も追肥も要らない、順調に育っていれば追肥しなくてよい、という考え方もあります。いんげんは、肥料、特に窒素が多すぎると、つるや葉ばかり茂って、さやがつきにくくなる「つるぼけ」になりやすいからです。
一方で、花が咲くころに追肥をする、という説明も多くあります。葉の色が全体に黄緑っぽく、育ちが悪い場合は追肥を考え、葉の色が濃く、つるが勢いよく伸びている場合は追肥を控える、と、株の様子で決めるのが安心です。
夏まきはできるか
暑さが苦手なので、夏まきはむずかしい、という考え方がある一方、7〜8月にまいて、暑さの落ちつく秋に花を咲かせれば、秋に収穫できる、という考え方もあります。つるありは暑さに弱いので、夏は避けたほうがよいという意見もあります。地域の気候に合わせ、花の時期が真夏に重ならないように組み立ててください。
直まきか、ポットまきか
畑に直接まくのが一般的ですが、鳥の被害が多い場所や、寒さが残る時期に早めに始めたい場合は、ポットで苗を育てるのも1つの方法です。
よくある失敗
花は咲くのに、さやがつかない
暑さ(30℃を超える)、水不足、肥料(窒素)の効きすぎ、などが考えられます。暑さの前に収穫できるよう早めにまく、花の時期は乾かしすぎない、肥料を入れすぎない、を見直します。
つるが絡まって、手がつけられなくなった
つるが伸びはじめたら、すぐにネットへ誘引します。地面をはわせないようにします。
さやがかたく、筋っぽい
穫り遅れです。豆のふくらみが目立つ前に穫ります。
芽が出なかった
寒すぎる、タネが古い、水が多すぎる、深すぎる、鳥やナメクジ、などを見直します。
同じ場所に毎年植えた
連作で育ちが悪くなりやすくなります。3年ほどあけます。
よくある質問
葉の色が黄緑っぽく、育ちが悪いです
新しく耕したばかりの畑など、豆の仲間をしばらく育てていない土では、根粒菌が少なく、窒素が足りなくなって、葉の色が淡くなることがあります。その場合は、株元から少し離して少量の肥料を追肥します。酸性の土で育ちが悪くなっていることもあるので、次からは石灰で土を整えておきます。
ベランダで、つるありを育てられますか
日当たりのよいベランダなら、深めの大きなプランターに支柱を立て、ネットやひもでつるを誘引すれば、つるありも育てられます。ただし、つるが2mほどに伸びるので、手すりより上に伸びて、風であおられることがあります。支柱をしっかり固定し、高さを確かめてから育ててください。
花が落ちるのはなぜですか
いんげんの花が落ちる原因には、暑さ、水不足、肥料の効きすぎ、日当たりの悪さなどがあります。株が多くの花をつけて、すべてを実にできずに自分で落とすこともあります。真夏の暑さで花が落ちる場合は、涼しくなると、また実がつきはじめることがあります。
さやいんげんと、ささげは同じですか
ささげは、いんげんとは別の豆の仲間です。さやを食べる点は似ていますが、ささげは暑さに強く、夏でもよく育ちます。暑い地域で夏にさやを食べる豆を育てたいなら、ささげを選ぶのも1つの方法です。
1株からどのくらい穫れますか
品種や育て方によって違いますが、つるありのほうが、つるなしより収穫できる期間が長く、量も多くなります。こまめに若いさやを穫ることで、収穫の量は増えます。
支柱の代わりに、何を使えますか
市販の園芸ネットのほか、ひもを上下に張ってつるを絡ませる方法もあります。夏の終わりに片づけるきゅうりやゴーヤのネットを、そのまま使う方法もあります。つるは2mほど伸び、実がつくと重くなるので、支柱はしっかり固定します。
さやが曲がってしまいます
さやが曲がる原因には、花の時期の水不足、肥料切れ、カメムシに吸われた、などがあります。株の様子と、まわりの虫を確かめてください。曲がったさやも、食べるのに問題はありません。
いんげんの葉が、まだらに黄色くなりました
葉に濃い緑と薄い緑のまだら模様が出て、新しい葉がちぢれる場合は、アブラムシがうつすウイルスの病気のことがあります。治す方法はないので、ほかの株にうつさないよう、早めに抜いて畑の外へ持ち出します。苗のうちからアブラムシを防ぐことが予防になります。
収穫したいんげんは、どう保存しますか
乾かないように袋に入れて、冷蔵庫の野菜室に入れ、早めに食べます。たくさん穫れたときは、さっとゆでてから冷凍しておくと便利です。
いんげんのあとに、何を植えればいいですか
豆の仲間のあとは、根粒菌のはたらきで土に窒素が少し残っていることがあります。葉物など、豆の仲間以外の野菜を植えます。
いんげんを一度にたくさん育てる必要はありますか
家族の人数にもよりますが、いんげんは次々に穫れるので、数株でも十分な量が穫れることがあります。つるなしなら、何回かに分けて少しずつまくほうが、穫れすぎて困ることがありません。
学ぶ:いんげんのしくみ🔬
なぜ、暑いと実が入りにくいのか
いんげんの花が実になるには、花粉が雌しべについて受粉し、そこから種子が育っていく必要があります。気温が高すぎると、花粉がうまくはたらかなくなったり、受粉しても実が育たずに花が落ちたりします。いんげんが暑さに弱いと言われるのは、主にこの「花から実へ」の段階が暑さに弱いからです。
なぜ、タネを横に寝かせてまくのか
いんげんのタネは、平たい側のまん中あたりに、芽と根が出てくる「へそ」があります。横に寝かせて置くと、根は下へ、芽は上へ、それぞれ自然な向きで伸びやすくなります。いんげんの芽は、双葉の部分を持ち上げながら土から出てくるので、深くまきすぎると土を押し上げきれず、芽が出にくくなります。2cmほどの浅めにまくのはそのためです。
なぜ、酸性の土に弱いのか
豆の仲間の根には、根粒菌という菌がすんでいて、空気中の窒素を植物が使える形に変えてくれます。この根粒菌は、酸性の強い土では元気にはたらけません。土が酸性に傾いていると、根粒菌の助けが得られず、いんげんの育ちも悪くなります。石灰で土を整えることは、根粒菌がはたらきやすい環境を作ることでもあるのです。
なぜ、こまめに穫ると長く穫れるのか
植物は、子孫を残すために花を咲かせ、実の中の種を育てます。さやを穫らずに置いておくと、中の豆が育ち、株は「種を残せた」とばかりに、新しい花を咲かせる力を弱めていきます。若いさやを次々に穫ると、株は「まだ種を残せていない」と、花を咲かせ続けます。こまめに穫るほど長く収穫が続くのは、このためです。
なぜ、つるは巻きつくのか
つるありいんげんのつるの先は、ゆっくりと円を描くように回りながら伸び、何かにふれると、それに巻きついていきます。こうして、まわりのものを支えにして、より高いところへ葉を広げ、日の光をたくさん受けようとしているのです。ネットに誘引してやると、つるは自分から巻きついて、上へ上へと伸びていきます。
まとめ
ここまで読んでくださって、ありがとうございます!今年のいんげんがうまくいかなかった方も、来年の参考にしていただけたらうれしいです。
いんげんの育て方のポイントを、もう一度まとめておきます。
- 初めてならつるなし。たくさん長く穫るならつるあり(支柱とネットが要る)
- タネまきは4〜5月ごろ。つるなしは6月初めごろまで。暑さの前に収穫を
- 酸性と連作と湿気に弱い。石灰で整え、3年あけ、水はけよく
- 1穴3〜4粒、株間30cmほど、深さ2cmほど。不織布で鳥よけ
- 本葉3〜4枚で2本に。間引きははさみで
- つるありは、つるが伸びる前にネット。こまめに誘引
- 花が咲いたら追肥。肥料の入れすぎに注意
- 花の時期は土を乾かしすぎない
- さやは若いうちに、はさみで。こまめに穫るほど長く穫れる
- タネは新しいものを使う
- 夏の終わりに秋どりのいんげんをまく方法もある。乾いた豆として育てるなら3月中旬〜下旬の早まきで
- 2〜3週間ずつずらしてまくと、長い期間、穫れたてを楽しめる
いんげんは、ちょっとしたこつを押さえれば、次々に実をつけてくれる、育てがいのある野菜です。暑さの前に収穫できるように時期を組み立てること、肥料を入れすぎないこと、そして若いうちにこまめに穫ること。この3つを覚えておけば、たくさんの収穫が楽しめます。まずは春に、つるなしいんげんのタネを、1つの穴に3〜4粒、まいてみてください🫘
きゅうりネット
つるありいんげんの誘引に。2mほどの支柱に張って、伸びてきたつるを絡ませます。
支柱
合掌式に組んでネットを張ります。実がつくと重くなるので、深めに差してしっかり固定します。
不織布
タネをまいたらすぐかけて、鳥にタネや芽を食べられないようにします。芽が出たら外します。
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