根は先端でしか吸いません🍅 だから植える前に、根をほぐします
🗨️「植えたのに、しばらく止まったままだった」
🗨️「マルチに穴を開けて、水をやって、おしまい」
🗨️「根はほぐすの? ほぐさないの?」
どうも、8150(えいこう)です🌱 家庭菜園歴8年、理科の教員免許を持っていて、有機・無農薬で野菜を育てています。
前回は「4月に植えるな」という話をしました。今日はその続きで、★では正しく植えるとはどういうことか、です。
先に、この記事でいちばん言いたいことを言っておきます。
★根は、先端でしか吸っていません。
だから植える前に、根の先端がどこにあるかを見ます。ここが分かると、なぜ根をほぐすのか、なぜ土を寄せるのかが、全部つながります☺️
📖 この記事の目次
活着(かっちゃく)という言葉
植えた日から、勝負が始まっている
活着というのは、★植えた苗が新しい根を出して、その土に根づくことです。
苗を植えても、すぐに大きくなりはじめるわけではありません。しばらく止まっているように見える時期があります。あれは、新しい根を出そうとしている時間です。
そして★活着が遅いと、その後の成長がまるごと遅れます。
- 根づくのが1週間遅れる
- そのぶん葉が増えるのが遅れる
- そのぶん花が咲くのが遅れる
- ★収穫が遅れて、量も減る
★最初の1週間の遅れが、夏まで引きずられます。
「穴を開けて、水をやって、おしまい」でも育つ
正直に書きますが、雑に植えても、春から夏なら苗は活着します。気温が上がっていくので、なんとかなるんです。
私も最初の3年くらいは、そうやっていました。
でも★「活着するかどうか」と「活着が速いかどうか」は別の話です。ここに手を入れるかどうかで、結果がはっきり変わります。
★根は、先端でしか吸えない
伸びた部分は、通り道
これが今日いちばんお伝えしたいことです。
★すでに伸びて茶色くなった根からは、養分を吸収できません。
吸収しているのは、★先端の白い部分です。これから伸びようとしている、いちばん新しいところ。
伸びた部分は何をしているかというと、★水と養分を上へ運ぶ通り道になっています。水道管のようなものですね。
だから根は、常に先へ先へ伸びていきます。★伸びることそのものが、吸うことなんです。
★根が巻いていると、先端が隠れる
ここで問題が起きます。
ポットの中で長く育った苗は、★根が壁に沿ってぐるぐる巻いています。根詰まりと言います。
このとき、根の先端はどこにあるでしょうか。
★内側です。ぐるぐる回った先っぽが、根鉢の内側に閉じこめられています。
このまま植えると、どうなるか。先端が外の土に触れていないので、★新しい土から吸いはじめるまでに時間がかかります。これが活着の遅れです。
だから、軽くほぐす
対策は簡単です。
★巻きすぎているようなら、底のあたりを軽くほぐしてから植えます。
「軽く」がポイントです。★洗ったり、土を落としきったりしないでください。細い根は触るだけで切れます。
底の巻いている部分を指でほどいて、外へ向けてやる。それだけで十分です。
★巻いていない苗は、そのまま植えて構いません。無理にほぐす必要はありません。
★土と根は、密着していないと意味がない
隙間があると、根は進めない
もうひとつ大事なことがあります。
★苗の土と、畑の土のあいだに隙間があると、根は伸びていけません。
根が進むには、そこに土がなければなりません。空気の層があると、そこで止まります。そして水も伝わりません。
水は、土を伝って届く
畑の水は、土の粒と粒のあいだをつたって移動します。
土と根が触れていれば、水は根に届きます。★離れていると、いくら水をやっても根までは届きません。
タネまきのときに「鎮圧する」と何度かお伝えしました。あれと同じ理屈です。★くっつけることが、水を届けることです。
だから、まわりの土を寄せる
植えたあと、★まわりの土を手で寄せて、苗の土に密着させてください。
ぎゅうぎゅう押し固める必要はありません。★隙間がなくなればいい。手で軽く押さえるくらいで十分です。
★根は、酸を出して養分を溶かしている
土の中のミネラルは、そのままでは吸えない
もう少しだけ理科の話をします。
土の中には、カルシウムや鉄などのミネラルが含まれています。でも★かたまりのままでは、根は吸えません。
どうしているかというと、★根が酸を出して、まわりのミネラルを溶かしています。溶けて水に混ざったものを、先端から吸い上げる。
植物は、自分で自分の食事を用意しているわけです。
植えたばかりの苗は、それができない
ところが、植えたばかりの苗は弱っています。
- 光合成がまだ本調子ではない
- ★酸を出す力も十分ではない
だから最初の数日は、食事の準備がうまくできない状態です。
そこで、★薄めた酸(食酢をうすめたものなど)を水に混ぜて与えると、活着が早まるという考え方があります。苗が自分でやることを、少し手伝ってやるイメージですね。
★必須ではありません。やらなくても活着します。ただ、理屈は通っています。試してみたい方は、ごく薄くしてください。濃いと逆に根を傷めます。
植え方の手順、7つ
①マルチに穴を開ける
マルチカッターを、★強めに叩き込んでください。中途半端だと切り口がぎざぎざになって、あとで風にあおられて破れます。
②★ポットのまま、穴に置いて高さを合わせる
ここを飛ばす方が多いです。
★苗をポットに入れたまま、開けた穴に置いてみてください。
深すぎる、浅すぎるが、この時点で分かります。掘り直すなら今です。苗を出してから「合わない」と気づくと、根を出したまま作業することになります。
③根の巻き具合をチェックする
ポットを外します。★底を持って、そっと押し出すように。
巻いていたら、軽くほぐします。巻いていなければ、そのまま。
④★穴に、先に水をたっぷり注ぐ
ここが分かれ目です。
★苗を植える前に、穴のほうへ水を注いでください。
あとから上にかけるのとは、まったく違います。上からかけた水は表面を流れていきますが、★先に注いだ水は、根が入る場所にたまります。
これを水ぎめと言います。★根が最初に触れる場所を、あらかじめ湿らせておく作業です。
⑤苗を置いて、まわりから土を寄せる
水が引いたら、苗を置きます。
★まわりから土を寄せて、密着させてください。さきほどの話のとおりです。
⑥★もう一度、たっぷり水をやる
仕上げにもう一度。ここでコツがあります。
★ジョウロのハス口(シャワーの先)を外して、株元に直接注いでください。
シャワーで上からかけると、水が葉に当たって流れ落ちるだけで、★根まで届く量が減ります。ハス口を外して、株元にゆっくり。
⑦支柱を立てる
最後に支柱です。
★植えた当日に立ててください。あとからにすると、根が広がったところに支柱を突き刺すことになります。
支柱と誘引の話は長くなるので、次回くわしくお話しします。
やってはいけないこと
根を洗わない
古い土を落としてきれいにしよう、と考えないでください。
★この時期の細い根は、触るだけで切れます。根鉢は、崩さずにそのまま植えるのが基本です。
ほぐすのは、巻きすぎている部分だけ。
深植えしない
苗の土の表面と、畑の土の表面が★同じ高さになるように植えてください。
深く埋めると、茎が土に埋まって、そこから腐ることがあります。★浅すぎると、根鉢が乾きます。同じ高さ、が答えです。
風の強い日に植えない
植えた直後の苗は、まだ根が張っていません。★風で揺すられると、根と土のあいだに隙間ができます。
せっかく密着させたのに、台無しになります。★穏やかな日の、できれば午前中に植えてください。
午前中がいい理由は、★その日の日中を使って落ち着けるからです。夕方に植えると、そのまま夜の冷え込みを迎えます。
植えた日から1週間
この記事の要点
- ★活着=植えた苗が新しい根を出して土に根づくこと
- ★活着が遅いと、その後の成長がまるごと遅れて収穫量に響く
- ★根は先端でしか吸えない。伸びた部分は水の通り道
- ★根が巻いていると、吸う先端が内側に隠れて活着が遅れる
- ★巻きすぎていたら軽くほぐす。ただし洗わない、崩さない
- ★土と根が密着していないと、根も進めず水も届かない
- ★根は酸を出して土のミネラルを溶かしている
- 植えたばかりの苗はその力が弱いので、★薄めた酸を足すと活着が早まる(必須ではない)
- 手順は★①穴を開ける ②ポットのまま高さを合わせる ③根をチェック ④★穴に先に水 ⑤土を寄せて密着 ⑥★ハス口を外して株元に水 ⑦支柱
- ★水ぎめ=根が最初に触れる場所を先に湿らせておく作業
- ★深植えしない。苗の土と畑の土を同じ高さに
- ★風の強い日に植えない。穏やかな日の午前中に
全部やろうとしなくて大丈夫です。まずは④だけ、覚えて帰ってください。★苗を置く前に、穴へ水を注ぐ。これひとつで、活着の速さが変わります🍅
次回は、支柱と誘引の話。立て方ひとつで、夏の台風に耐えられるかが決まります🌿
ここまで読んでくださって、ありがとうございました。
移植ごて(ステンレス)
根鉢と同じ深さの穴を掘るだけの道具ですが、ステンレスだと土離れがよく、根を崩さずに済みます。
じょうろ(ハス口)
植え穴に先に水を注ぐときに使います。勢いよく出ると穴の壁が崩れるので、ハス口でやさしく。
有機野菜培養土
植え穴に少し混ぜておくと、活着までのつなぎになります。プランターならこれだけで足ります。
敷きわら
植えた日に株元へ。土の乾きと、雨の泥はねを同時に防ぎます。


