防虫ネットと不織布の使い方 決定版|目合いの選び方、トンネルの張り方、外す時期、冬の使い方
📖 この記事の目次
この記事で分かること
- 防虫ネットは、薬を使わずに虫から野菜を守る、いちばん頼りになる資材です。チョウやガ、カメムシなど、外から飛んでくる虫が卵を産むのを防ぎます。
- 目合い(網の目の大きさ)が細かいほど小さな虫まで防げますが、そのぶん風通しが悪くなります。アブラムシやアザミウマのような小さな虫は、1mmの目合いではくぐり抜けてしまいます。
- かけるのは、苗を植えたらすぐ、タネをまいたらすぐ。間があくと、その間に卵を産まれます。
- ぴんと張ったトンネルにすると、開け閉めが楽で、葉がネットにふれにくくなります。葉がネットにふれていると、ネットごしに卵を産まれます。
- チョウやガが飛ぶ間(一般的な地域で11月中旬ごろまで)はかけておきます。冬は、防寒、風よけ、鳥よけとしても役立ちます。
- 不織布は、タネまき直後の乾燥と日差しよけ、霜よけ、冬の防寒に向いています。
- 防虫ネットは、穴をふさいで土を落としておけば、何年も使えます。
秋冬野菜を育てるとき、薬を使わずに育てたいなら、防虫ネットはなくてはならない資材です。けれども、「ネットをかけていたのに虫に食べられた」「いつ外せばいいか分からない」「張り方が悪くて、開けるたびにずり落ちる」といった声もよく聞きます。
防虫ネットは、選び方と張り方、使う時期を知っているかどうかで、効き目が大きく変わる資材です。同じネットでも、張り方ひとつで、虫の入りやすさも、開け閉めの手間も変わります。この記事では、防虫ネットを中心に、不織布や寒冷紗との使い分けもあわせて、順番に書いていきます。
早見:防虫ネット・不織布・寒冷紗の違い
3つの資材
- 防虫ネット:細い糸を網のように編んだもの。風と光をよく通し、虫を防ぐ。丈夫で何年も使える
- 不織布:細い繊維をからませて、うすい布のようにしたもの。軽く、保温と保湿にすぐれる。べたがけにも使える。破れやすい
- 寒冷紗:粗い目の布。日よけと防虫に使う。色や目の粗さで、日をさえぎる強さが違う
目合いの目安
- 1mm前後:チョウ、ガ、カメムシ、大きめの甲虫など。秋冬野菜の青虫やヨトウムシの親を防ぐ一般的なもの
- 0.8mm前後:小さな虫にもある程度効くが、完全には防げない
- 0.4mm以下:アザミウマやコナジラミなど、とても小さな虫を防ぐ目安。風通しは悪くなる
使う時期の目安(一般的な地域)
- 防虫ネット:苗を植えた直後、タネをまいた直後から。チョウやガが飛ぶ11月中旬ごろまでは必ず。冬も防寒や鳥よけに
- 不織布:タネまき直後(芽が出るまで)。春先の霜が心配なころ。真冬の寒さよけ
- 寒冷紗:夏のタネまきや育苗の日よけ。夏の強い日差しが苦手な野菜の日よけ
1年の使い方(一般的な地域の目安)
- 2〜3月:植えたじゃがいもや春の苗に、不織布で霜よけ。冬越し中の葉物は、重ねがけで寒さよけ
- 4〜5月:夏野菜の苗を植えたら、苗が小さいうちは防虫ネットで守る。不織布は霜の心配がなくなったら外す
- 6〜8月:夏のタネまきや育苗は、寒冷紗で日よけ。使わないネットは手入れをしてしまう
- 8〜9月:秋冬野菜のタネをまいたら不織布をべたがけ。芽が出たら防虫ネットのトンネルへ。苗を植えたらその日のうちにネット
- 9〜11月:防虫ネットは必ず。週に1回は中を見る。台風の前は補強
- 11〜12月:背の高い株はテント形に。冷えこんできたら不織布を重ねる
- 12〜2月:防寒と鳥よけ。寒波の日は1枚足す
防虫ネットの役割
いちばんの役割は、卵を産ませないこと
防虫ネットは、虫そのものを退治する道具ではありません。外から飛んでくるチョウやガ、カメムシなどが、野菜に近づいて卵を産むのを防ぐ道具です。
秋冬野菜の青虫やヨトウムシは、親のチョウやガが葉に産んだ卵からかえります。ネットで親を入れなければ、卵も幼虫も生まれません。薬を使わない家庭菜園では、これがいちばん効く虫よけになります。
特に、植えつけから10月ごろまでは、秋冬野菜の虫の被害がとても多い時期です。この時期に何もかけずにいると、あっという間に葉が穴だらけになります。
風、寒さ、鳥、雨からも守る
防虫ネットには、虫よけのほかにも、いくつかの役割があります。
- 風よけ:台風などの強い風で、苗がゆすられたり、倒れたりするのをやわらげる
- 雨よけ(少し):強い雨が直接たたきつけるのを、ネットが少しやわらげる。泥はねも減る
- 寒さよけ(少し):冷たい風が直接当たるのを防ぐ。ビニールほどの保温力はないが、何もないよりは守れる
- 鳥よけ:冬、えさの少ない時期に、鳥が葉を食べに来るのを防ぐ
防虫ネットで防げないもの
一方で、防虫ネットだけでは防げないものもあります。
- ネットの目より小さな虫(アブラムシ、アザミウマなど。目合いによる)
- 土の中にもともといる虫(ネキリムシ、コガネムシの幼虫、ヨトウムシのさなぎなど)
- 植えた苗に、はじめからついていた卵や幼虫
- すそのすき間や、破れたところから入った虫
- ネットに葉がふれているところで、ネットごしに産みつけられた卵
ネットをかけたのに虫に食べられた、という場合の多くは、このどれかです。ネットは「かけたら安心」ではなく、ほかの対策と組み合わせて使うものだと考えてください。
目合いの選び方
目が細かいほど、小さな虫まで防げる
防虫ネットには、目合い(網の目の大きさ)の違うものがあります。目合いが細かいほど、小さな虫まで防げます。
家庭菜園で一般的なのは、1mm前後の目合いのものです。チョウやガ、カメムシ、大きめの甲虫などは、これで防げます。秋冬野菜の青虫やヨトウムシの親を防ぐには、まずこれで十分です。
ところが、アブラムシやアザミウマのようなとても小さな虫は、1mmの目合いではくぐり抜けてしまいます。施設園芸では、コナジラミやアザミウマを防ぐには、0.4mm以下の目合いが推奨されています。0.8mm前後のネットは、小さな虫にもある程度の効き目はありますが、完全に防ぐのはむずかしいとされています。
細かいほど、風通しが悪くなる
目合いを細かくすると、そのぶん風が通りにくくなります。ネットの中が蒸れやすくなり、夏や残暑の時期には、中の温度が上がりすぎて、野菜が暑さで弱ることもあります。日の光も、少し通りにくくなります。
だから、「細かければ細かいほどよい」わけではありません。
- 秋冬野菜の青虫・ヨトウムシ対策が中心なら、1mm前後
- アブラムシが毎年ひどい場所や、小さな虫が媒介する病気を防ぎたいなら、細かめのもの
- まだ暑い9月に植える苗は、細かすぎるネットで蒸らさないように気をつける
と、守りたいものと季節で選びます。
銀色の糸入り、色つきのネット
防虫ネットの中には、銀色の糸を編みこんだものがあります。きらきらした反射を、アブラムシなどの虫が嫌うことを利用したものです。また、赤など色のついたネットもあり、特定の虫が寄りにくくなるとうたったものもあります。
こうしたネットの効き目は、虫の種類や使う場所によって違い、試験でも効果がはっきり出た例と、出なかった例があります。まずは目合いで選び、色や銀色の糸は、おまけと考えるのがよいでしょう。
幅と長さの決め方
ネットを買うときに迷うのが、幅と長さです。
- 幅:トンネルにかけたとき、すそが地面にしっかりつく幅が必要です。たとえば、幅60〜70cmのうねなら、幅180cmほどのネットを使うと、少し高めにトンネルを作っても、すそが土にふれる余裕があります。
- 長さ:うねの長さに、両端で地面に固定する分を足します。片側60cmずつ、あわせて120cmほど長めに切ると、端をしっかり留められます。たとえば3mのうねなら、4m20cmほど必要です。
足りないと、すそや端にすき間ができて、そこから虫が入ります。少し余るくらいが、ちょうどよい長さです。
トンネルの張り方
用意するもの
- 防虫ネット
- トンネル用の支柱(細い弓形の支柱や、アーチ形の支柱)
- ネットを支柱に留めるクリップ(トンネルパッカーなど)
- すそを留めるピンや、すそを埋めるための土
細い支柱なら50〜60cmおきに1本、太い支柱やアーチ形の支柱なら1m〜1.2mおきに1本が目安です。
張り方の手順
1.支柱を、うねの両側に、少し外側に傾けて差します。真上から見て、逆の「ハ」の字になるようにします。外側に傾けておくと、ネットを張ったときに、引っ張られて支柱がまっすぐ立ち上がり、ネットにほどよい張りが出ます。
2.ネットの片方の端を、丸めるようにまとめて、地面に差しこむか、ピンで留めます。
3.ネットを支柱の上にかけ、反対側の端まで広げます。
4.反対側の端を、片手でぴんと引っ張りながら、もう片方の手で余った分をたぐり寄せて、まとめます。引っ張ると、外に傾けた支柱がまっすぐ立ち上がり、ネットがぴんと張ります。
5.端をピンで仮止めし、余った部分をまとめて、しっかり留めます。
6.支柱ごとに、クリップでネットを支柱に留めます。
7.両側のすそを、土で埋めるか、ピンで地面に留めて、すき間をなくします。
ぴんと張る理由
ネットがゆるんでいると、開け閉めのたびにネットがたるんで、中の野菜にふれたり、作業中の手元に落ちてきたりします。風でばたついて、苗をこすることもあります。
ぴんと張ったトンネルなら、すそをめくっても、ネットが形を保ったまま、その位置にとどまってくれます。クリップで留めておけば、さらに作業しやすくなります。この張り方は、冬のビニールトンネルを張るときにも、そのまま使えます。
すそは、すき間なく
すそにすき間があると、そこから虫が入ります。土で埋める場合は、すその上に土をしっかりのせます。開け閉めが多い場合は、片側だけピンで留めて、もう片側は土をのせて重しにする、というふうに分けると、作業が楽になります。
開け閉めを楽にする工夫
見回りや収穫、追肥のたびにネットを開けるので、開け閉めのしやすさは大切です。
- 片側のすそは土で埋め、もう片側はピンで留めるだけにしておく。開けるときは、ピン側だけを外せばよい
- ぴんと張っておけば、片側をめくって支柱の上にかけておくだけで、ネットがその位置にとどまる
- クリップで支柱に留めておくと、めくったときにネットがずり落ちない
- 作業が終わったら、すそを元どおりに戻し、すき間がないか確かめる
開け閉めが面倒だと、見回りの回数が減ってしまいます。楽に開けられるようにしておくことが、虫の見落としを減らすことにもつながります。
かける時期と、かけたあと
植えたら、すぐかける
防虫ネットは、苗を植えたら、その日のうちにかけます。タネをまいた場合も、まいたらすぐです。
「芽が出てから」「苗が根づいてから」と間をあけると、その間にチョウやガが卵を産んでしまうことがあります。卵を産まれたあとにネットをかけると、中で幼虫がかえり、ネットの中で虫を育てることになってしまいます。
植える前に、苗と土を確かめる
ネットをかける前に、次のことを確かめておきます。
- 苗の葉の裏に、卵や小さな幼虫がついていないか
- 植える場所の土の中に、ヨトウムシのさなぎや、ネキリムシ、コガネムシの幼虫がいないか
ネットは外から入る虫を防ぐものなので、中にもともといる虫は防げません。かける前に取り除いておくことが、ネットを生かすこつです。
週に1回は、中を見る
ネットをかけたら安心、と放っておくのは禁物です。週に1回は、すそを開けて、中の野菜を見てください。
- 葉の裏に、卵や小さな幼虫、アブラムシがいないか
- 下の葉が枯れて、株元に湿気がたまっていないか
- ネットに破れや、すそのすき間がないか
枯れた下の葉は、そのままにしておくと湿気がこもり、病気や虫のもとになります。見回りのときに、取り除いておきます。
葉がネットにふれないように
野菜が大きくなると、葉がネットに押しつけられるようになります。ネットにふれた葉には、チョウやガが、ネットのすき間から卵を産みつけることがあります。
だから、トンネルは、育ったときの大きさを考えて、高さに余裕をもって作ります。葉がネットにふれはじめたら、次の「大きくなったら」の方法で、高さを足します。
残暑の時期は、中の暑さに注意
9月の植えつけ直後は、まだ真夏のような暑い日があります。目の細かいネットや、不織布を重ねたままにしていると、中に熱がこもって、苗がぐったりすることがあります。
- 暑い時期は、目の細かすぎないネットを使う
- 不織布のべたがけは、芽が出たら早めに外す
- 晴れた日の昼に、苗がしおれていないか見る。しおれていたら、朝夕の涼しい時間に水をやる
- 日差しが特に強い時期は、日よけを兼ねた寒冷紗一体型のネットを使う方法もある
雨や風のあとに点検する
強い雨や風のあとは、ネットがずれたり、すそがめくれたり、支柱が倒れたりしていることがあります。翌日には、ひと回りして直しておきます。
台風や強い風の前に
秋は台風の季節と、秋冬野菜の植えつけの時期が重なります。ふつうの風ならネットが外れることはほとんどありませんが、台風や強い風では、ネットごと飛ばされることがあります。台風が来る前に、次のことをしておきます。
- クリップで、ネットを支柱にしっかり留め直す
- すその上にのせた土を、いつもより厚く、しっかりのせる
- 背の高い株は、株元に支柱を斜めに立て、ひもでゆるく結んで支える(強く締めつけない)
- うね間に、深さ10cmほどの溝を掘って、雨水の逃げ道を作る
台風が過ぎたら、ネットのずれや破れ、支柱の倒れを点検して、すぐに直します。
株が大きくなったら
ブロッコリーやカリフラワーは、背が伸びる
ブロッコリー、茎ブロッコリー、カリフラワーなどは、背丈が高くなり、秋の終わりにはトンネルに収まらなくなってきます。ネットを突き上げるほどになると、葉がネットに押しつけられて、ネットごしに卵を産まれたり、葉が傷んだりします。
支柱を立てて、テント形にかけ直す
背が伸びた株は、支柱を立てて、ネットをテントのようにかけ直します。
1.150cmほどの支柱を、株元から15〜20cmほど離れたところに立てます。
2.もともと使っていた防虫ネットを、支柱の上からかぶせます。
3.支柱の頭のところで、ネットをひもで結んでまとめます。
4.すそは、株全体を包むようにまとめ、ひもで支柱にしばるか、地面に留めます。
支柱は、背が伸びた株が風であおられたときに、株を支える役にも立ちます。秋の終わりは虫が少なくなってくるので、すそに多少すき間があっても、大きな問題にはなりにくくなります。
収穫が近づいたら
収穫の時期になると、ネットを開ける回数が増えます。ブロッコリーの脇芽や、葉物を少しずつ収穫する場合は、収穫する側のすそだけを開けて、終わったらすぐに戻します。収穫のついでに、葉の裏の見回りもすませておくと、手間が1回ですみます。
白菜、キャベツは高さに余裕を
白菜は、縦に長く巻いていくので、外側の葉が上に伸び、ネットにふれやすくなります。キャベツも、巻きはじめると横に広がります。植えるときから、トンネルを少し高めに作っておくと、あとで困りません。
いつ外すか
チョウやガが飛ぶ間はかけておく
防虫ネットは、チョウやガが飛び回っている間はかけておきます。一般的な地域では、11月中旬ごろまでが目安です。最近は暖かい年が多く、12月に入っても暖かい日には飛ぶことがあるので、様子を見ながら判断します。
外しても、冬は別の役割がある
虫が少なくなった冬でも、ネットにはまだ役割があります。
- 冬の冷たい風から、葉を守る
- 雪が降ったあとなど、えさの少ない時期に、ヒヨドリなどの鳥が葉を食べに来るのを防ぐ
- 強い風で、背の高い株が倒れたり、根が浮いたりするのを防ぐ
鳥は、集団でやって来て、ブロッコリーやキャベツ、白菜の葉を、短い時間で丸坊主にしてしまうことがあります。冬もネットをかけておくと、こうした被害を防げます。
ビニールトンネルに切りかえる野菜
寒さに弱い野菜や、冬の間も育て続けたい葉物は、11月ごろから、防虫ネットをビニールのトンネルに切りかえる人もいます。ビニールは保温力が高いぶん、晴れた日中は中が暑くなりすぎるので、すそを開けて換気します。
重ねがけで寒さに備える
防虫ネット、不織布、穴のあいたビニールは、1枚ずつでは薄くて、保温の力はそれほど高くありません。けれども、何枚か重ねると、そのぶん暖かくなります。寒さに合わせて、着たり脱いだりするように重ねたり外したりできるのが、重ねがけの良いところです。
- 秋のうちは、防虫ネットだけ
- 冷えこんできたら、防虫ネットの上に不織布を重ねる
- 寒さの厳しい地域や、冬の間も育て続けたい葉物は、さらに穴のあいたビニールを重ねる
- 春が近づいて暖かくなってきたら、上から順に外していく
ビニールを重ねた日は、晴れた日中に中が暑くなりすぎないよう、すそを開けて換気します。
不織布の使い方
不織布の特徴
不織布は、細い繊維をからませて、うすい布のようにしたものです。軽くて、光と水をある程度通し、空気も通します。防虫ネットと比べると、次のような特徴があります。
- 保温と保湿にすぐれる
- とても軽いので、野菜の上に直接かける(べたがけ)ことができる
- 目がとても細かいので、小さな虫も入りにくい
- 破れやすく、何年も使うのはむずかしい
- 風通しは防虫ネットより悪い
タネまき直後のべたがけ
秋冬野菜のタネをまいたら、不織布をうねの上に直接かけておくと、芽がそろいやすくなります。
- 土の水分の蒸発を抑えて、乾燥を防ぐ
- 強い日差しをやわらげる(9月はまだ真夏のような暑さの日がある)
- 強い雨で、まいたタネが流れたり、土がたたかれてかたくなったりするのを防ぐ
- 急に冷えこんだ日にも、少し保温してくれる
- 芽が出たばかりの小さな苗を、虫から守る
かけ方は簡単です。うねの大きさに合わせて切った不織布を、うねの上に広げ、四すみと、途中の何か所かに土をのせて、風で飛ばされないようにします。
芽が出てきたら、不織布は外します。そのままかけっぱなしにすると、苗がひょろひょろと伸びたり、蒸れたりします。外すときは、四すみを持って、土を払いながらそっと持ち上げます。芽がそろったら、すぐに防虫ネットのトンネルにかけ替えます。
べたがけと、トンネルがけ
不織布のかけ方には、2つあります。
- べたがけ:野菜やうねの上に、直接ふわりとかける。支柱が要らず手軽。タネまき直後や、背の低い葉物、寒波の日の一時的な寒さよけに向く
- トンネルがけ:支柱の上からかけて、トンネルにする。野菜にふれないので、葉が傷みにくい。背の伸びる野菜や、長い期間かけておく場合に向く
べたがけは手軽ですが、風で不織布がこすれて、葉先が傷むことがあります。長くかけるなら、トンネルがけのほうが安心です。
春先の霜よけ
春先、植えたじゃがいもの芽が出てきたころや、植えたばかりの苗は、遅い霜に当たると、葉が傷んで枯れてしまうことがあります。霜が心配な夜は、不織布をふわりとかけておくと、霜から守れます。
背丈の伸びてきたじゃがいもは、支柱やトンネルの骨組みの上から、不織布をかけておくと、手間をかけずに守れます。日中暖かくなる日は、蒸れないように、すそを開けておきます。
冬の防寒
冬の寒さが厳しい時期には、防虫ネットの上から、さらに不織布を重ねてかけると、防寒の力が増します。寒波が来る日だけ、1枚足す、という使い方もできます。
不織布を使うときの注意
- ぴったり押しつけるようにかけると、葉が傷むことがある。ふんわりと、少し余裕をもってかける
- 暖かい日にかけっぱなしにすると、中が蒸れて、苗がひょろひょろになる
- 破れやすいので、すそを留めるときに引っ張りすぎない
- あまり安いものは薄く、すぐに破れることがある。ある程度しっかりしたものを選ぶ
寒冷紗の使い方
日よけと虫よけ
寒冷紗は、粗い目の布で、主に日よけに使います。夏のタネまきや育苗のときに、強い日差しから苗を守ったり、半日陰を好む野菜(みょうがなど)の日よけにしたりします。防虫ネットと一体になった寒冷紗もあり、虫よけと日よけを兼ねられます。
色と目の粗さで、日のさえぎり方が変わる
寒冷紗には、白や黒などの色があり、目の粗さによっても、日をさえぎる強さが違います。黒いものほど、日を強くさえぎります。日をさえぎりすぎると、野菜がひょろひょろになるので、夏の一番暑い時期だけ、苗が小さい時期だけ、と期間を決めて使います。
ビニールトンネルとの違い
冬によく使うビニールのトンネルは、防虫ネットや不織布よりずっと保温力が高く、寒い時期にも野菜を育て続けることができます。一方で、風や湿気をほとんど通さないので、晴れた日中は中が暑くなりすぎ、湿気もこもります。
- 防虫ネット:虫よけが中心。風と光をよく通す。保温は少し
- 不織布:保温と保湿。軽くてべたがけもできる。空気も少し通す
- ビニール:保温が強い。換気が欠かせない。穴あきのものは、換気の手間が少し減る
寒さの度合いと、どれだけ手をかけられるかで、使い分けます。
長持ちさせる使い方
何年も使える
防虫ネットは、買うときは少し高く感じますが、手入れをすれば何年も使えます。10年以上使い続けている人もいます。毎回新品にする必要はありません。
しまう前の手入れ
- 穴があいていないか確かめ、小さな穴は、ネットの切れ端や補修テープでふさいでおく
- ついた泥や土を落とす。水洗いが面倒なら、何日か干しておけば、乾いた土は自然に落ちる
- よく乾かしてから、たたんでひもで結び、日の当たらない場所にしまう
穴に気づかないまま次に使うと、そこから虫が入ります。しまう前の点検が、次の季節の虫よけの第一歩です。
ほかの使い方
防虫ネットは、畑のいろいろな場面で使えます。
- 夏の日よけ:作業場所や、苗を置く場所のまわりに張ると、日差しをやわらげ、虫も入りにくくなる
- 冬の鳥よけ:収穫を待つ株にかぶせておく
- 強い風よけ:背の高い株のまわりを囲う
説明が分かれるところ
目合いは細かいほうがいいか
細かい目合いなら小さな虫まで防げる一方、風通しが悪くなって、暑い時期は中が蒸れる心配があります。「アブラムシまで防ぎたいので細かいもの」という考え方と、「風通しを優先して1mm前後、アブラムシは見回りで対処」という考え方があります。季節と、何を一番防ぎたいかで選んでください。
冬もかけておくか、外すか
「虫がいなくなったら外して、日当たりをよくする」という考え方と、「防寒や鳥よけのために冬もかけておく」という考え方があります。鳥の被害が多い場所や、風の強い場所では、冬もかけておくほうが安心です。
銀色の糸入りは効くか
反射で虫が寄りにくくなる、という考え方がある一方、どのくらい効くかははっきりしない、という声もあります。目合いのほうが大切だと考え、銀色の糸はおまけ程度に考えておくのがよいでしょう。
よくある失敗
植えてから何日かたってかけた
その間に卵を産まれて、ネットの中で幼虫がかえります。植えたらすぐにかけます。
すそにすき間があった
すき間から虫が入ります。すそは土で埋めるか、ピンでしっかり留めます。
葉がネットにふれたままだった
ネットごしに卵を産まれます。トンネルは高さに余裕をもって作り、大きくなったらテント形にかけ直します。
かけっぱなしで中を見なかった
中でアブラムシが増えていた、幼虫がいた、ということがよくあります。週に1回は中を見ます。
不織布をかけっぱなしにした
芽が出たあともかけたままにすると、苗がひょろひょろになったり、蒸れたりします。芽が出たら外して、防虫ネットにかけ替えます。
よくある質問
ネットの中にアブラムシがいます
1mm前後の目合いでは、アブラムシはくぐり抜けることがあります。また、苗にはじめからついていたこともあります。見つけたら、刷毛で払うか、水で洗い流します。毎年ひどい場合は、細かめの目合いのネットを試してみてください。
夏野菜にも防虫ネットは要りますか
なすやきゅうりなどの夏野菜も、植えたばかりの苗のうちは、ネットをかけておくと、ウリハムシやアブラムシなどから守れます。株が大きくなって花が咲くころには、受粉のために虫が出入りできるよう、外すのが一般的です。
玉ねぎやにんにくにも要りますか
玉ねぎやにんにくは、秋冬野菜の葉物ほど虫の被害は多くありません。ただ、冬の寒さで葉先が大きく傷んでしまう場合や、寒い地域では、不織布や防虫ネットで寒さよけをしたり、穴のあいたビニールのトンネルをかけたりすることもあります。トンネルの中は雑草も育ちやすいので、ときどき開けて草を取ります。
ほうれん草や春菊、レタスにも要りますか
アブラナの仲間ほどではありませんが、ほうれん草、春菊、レタスなども、虫に食べられることがあります。特に芽が出たばかりのころや、植えたばかりのころは、ネットをかけておくと安心です。
ネットに穴があいてしまいました
小さな穴なら、ネットの切れ端を当てて、ひもや結束バンドでとめるか、補修用のテープでふさぎます。穴をそのままにすると、そこから虫が入りこみます。シーズンの途中で見つけた穴も、気づいたその日にふさいでおきます。
夏野菜の苗に、ネットをかけるのはいつまでですか
きゅうりやかぼちゃの苗は、植えたばかりのころ、ウリハムシに葉を食べられやすく、なすやピーマンの苗もアブラムシがつきやすい時期です。苗が小さいうちは、防虫ネットのトンネルをかけておくと安心です。
ただし、実をつける野菜は、花が咲くと、虫に花粉を運んでもらう必要があるものがあります。株が大きくなってトンネルに収まらなくなり、花が咲きはじめたら、ネットを外すのが一般的です。外したあとは、見回りで虫を見つけて取ります。
ネットと不織布、どちらを買えばいいですか
秋冬野菜を育てるなら、まず防虫ネットです。何年も使えて、虫よけの中心になります。不織布は、タネまきのときや、霜・寒さよけに1枚あると便利です。
プランターでも使えますか
使えます。プランター用の小さな支柱とネットのセットもありますし、プランターごと大きな袋状のネットで包む方法もあります。ベランダでもチョウは飛んでくるので、葉物やキャベツの仲間を育てるなら、ネットをかけておきます。
学ぶ:防虫ネットと不織布のしくみ🔬
なぜ、目合いで防げる虫が違うのか
ネットを通り抜けられるかどうかは、虫の体の大きさ(特に、体のいちばん太いところの幅)と、網の目の大きさで決まります。チョウやガ、カメムシは体が大きいので、1mmの目は通れません。一方、アブラムシやアザミウマは、体の幅が1mmよりずっと小さいので、すき間をくぐり抜けてしまいます。
目合いを細かくすると、通れる虫は減りますが、網の糸が増えるぶん、空気の通り道も狭くなります。虫を防ぐ力と、風を通す力は、いつも引きかえの関係にあるのです。
なぜ、不織布をかけると暖かいのか
不織布をかけると、不織布と地面の間に、空気の層ができます。この空気の層が、地面から逃げていく熱をとどめ、冷たい風が直接当たるのを防ぎます。また、不織布は光をある程度通すので、昼は日の光で地面が温まり、その熱が夜まで少し残ります。霜は、地面や葉の表面が冷えこんでできるので、この空気の層があるだけで、霜が降りにくくなるのです。
なぜ、ぴんと張ると形が保てるのか
外側に傾けて差した支柱は、ネットを引っ張ると、ネットの張る力で内側に引き戻され、まっすぐに立ち上がります。このとき、支柱には「外へ戻ろうとする力」が残っていて、その力がネットを外側へ引っ張り続けます。支柱とネットが互いに引っ張り合うことで、トンネル全体の形が保たれるのです。ゆるく張ったトンネルでは、この引っ張り合いがないので、風や重みで形がくずれやすくなります。
なぜ、ネットにふれた葉に卵を産むのか
チョウは、葉にとまって、においや味で野菜の種類を確かめてから卵を産みます。葉がネットにふれていると、チョウはネットの外側にとまったまま、すぐ下の葉を確かめ、網目のすき間からおしりを差しこんで卵を産むことができます。ネットと葉の間にすき間があれば、チョウは葉に届かず、卵を産めません。トンネルの高さに余裕を持たせるのは、このためです。
まとめ
ここまで読んでくださって、ありがとうございます!
防虫ネットと不織布の使い方のポイントを、もう一度まとめておきます。
- 防虫ネットは、外から飛んでくる虫に卵を産ませない道具。土の中の虫や、苗についていた卵は防げない
- 目合い1mm前後でチョウやガは防げる。アブラムシやアザミウマはくぐり抜けることがある。細かいほど風通しは悪くなる
- 幅は、すそが地面にしっかりつく余裕を。長さは、うねより120cmほど長めに
- 支柱は外に傾けて差し、ネットをぴんと張る。すそはすき間なく
- 植えたらすぐ、タネをまいたらすぐかける。かける前に苗の裏と土を確かめる
- 週に1回は中を見る。葉がネットにふれないよう、高さに余裕を
- 背が伸びたら、支柱を立ててテント形に
- チョウやガが飛ぶ11月中旬ごろまでは必ず。冬も防寒と鳥よけに
- 不織布は、タネまき直後のべたがけ、霜よけ、冬の防寒に。芽が出たら外す
- しまう前に、穴をふさぎ、土を落として乾かす。何年も使える
- 台風の前は、クリップとすその土で補強し、背の高い株は支柱で支える
- 残暑の時期は、中が暑くなりすぎないように。寒くなったら重ねがけ
防虫ネットは、ひと手間かけて張るだけで、薬を使わない家庭菜園をぐっと楽にしてくれる資材です。かけたあとも、週に1回の見回りと、季節に合わせたかけ替えを続ければ、秋から冬まで、野菜を虫と寒さと鳥から守り続けてくれます。まずは次に苗を植えるとき、その日のうちに、ぴんと張ったトンネルをかけてみてください🥬
防虫ネット
秋冬野菜の守りの要。植えたらその日のうちにトンネルにして、すそは土で埋めます。何年も使えます。
不織布
タネまき直後のべたがけ、春の霜よけ、冬の重ねがけに。1枚あると季節を問わず使えます。
トンネル用ビニール
冬の間も葉物を育て続けたいときに。晴れた日中は、すそを開けて換気します。
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