アブラムシ対策の決定版|見つけ方、薬を使わない落とし方、増やさない予防、冬の守り
📖 この記事の目次
この記事で分かること
- アブラムシは、メスだけで子を産んで増えます。数匹のうちに落とすかどうかで、そのあとの手間がまったく変わります。
- よく増えるのは、暑すぎず寒すぎない春と秋。真夏と真冬は少なくなりますが、いなくなるわけではありません。
- つきやすいのは、いちばん上の新芽と、葉の裏の葉脈ぞい。黒いマルチの上の白い粉や、株に集まるアリも手がかりになります。
- 見つけたら、まず刷毛や指で払う、水で洗い流す。液を使うのは、そのあとです。
- 植物の汁を吸うだけでなく、ウイルスの病気をうつすのがいちばんの困りごとです。病気になった株は治りません。
- 予防は、銀色の反射、防虫ネット、肥料を入れすぎないこと、天敵を味方にすること。どれか1つでは防ぎきれないので、組み合わせます。
- 冬もマルチの下や新芽で生き残ります。トンネルをかける前と、片づけのときが、数を減らすチャンスです。
アブラムシは、家庭菜園をしていれば必ずと言っていいほど出会う虫です。そら豆の先にびっしり、白菜の葉の裏に、なすの新芽に。体は小さく、動きもゆっくりなのに、気づいたときには株じゅうに広がっている、という経験をした方も多いと思います。
この記事では、アブラムシがなぜそんなに早く増えるのかというしくみから、見つけ方、薬を使わない落とし方、増やさない予防、冬の過ごし方までを、順番に書いていきます。自家製の液や市販のものには、効き目の考え方が人によって分かれるものもあるので、分かれているところは両方を並べておきます。
早見:アブラムシ対策の基本
見る場所
- いちばん上のやわらかい新芽(成長点)
- 葉の裏、とくに太い葉脈のそば
- 花のつけ根、つぼみのまわり
- 寒くなったら、株元やマルチの下、外側の葉の裏
見つけたときの順番
1.数匹なら、刷毛や指で払い落とす
2.まとまっていたら、じょうろやシャワーの水で洗い流す
3.それでも残るところだけ、液を使う(使ったものは洗い流す)
4.新芽がちぢれる、葉にまだら模様が出る株は、ウイルスの病気を疑う
増やさない予防
- 植えたらすぐ防虫ネット。それでも週に1回は中を見る
- 銀色のマルチやテープ、アルミホイルの反射で、飛んでくるのを減らす
- 肥料、とくに窒素を入れすぎない
- テントウムシやヒラタアブの幼虫など、天敵を追い払わない
- 株にアリが行き来していたら、アリにも目を向ける
アブラムシという虫
種類は多いが、野菜につくものは限られる
アブラムシの仲間は、日本だけでもとても多くの種類がいます。ただ、家庭菜園の野菜で困るものは、そのうちのいくつかです。よく見かけるものを、ざっくり分けておきます。
- モモアカアブラムシ:緑色や赤っぽい色。なす、ピーマン、白菜、小松菜など、とても多くの野菜につきます。
- ワタアブラムシ:小さく、黄色っぽいものから黒っぽい緑までいます。きゅうり、なす、オクラ、ピーマンなどでよく見かけます。
- ダイコンアブラムシなど:白い粉をまぶしたような姿で、大根、キャベツ、ブロッコリー、白菜など、アブラナの仲間につきます。
- マメアブラムシ:黒くつやのある体で、そら豆やえんどうの先に集まります。
- ネギアブラムシ:黒く光る体で、ねぎやにらの葉に並びます。
色が違うので別の虫のように見えますが、対策の考え方はほぼ同じです。違うのは、どの野菜につきやすいか、どこに集まりやすいかです。
何が困るのか
アブラムシは、針のような口を植物に差しこんで、汁を吸います。数が少ないうちは、株が弱るほどではありません。ところが数が増えると、新芽がちぢれる、葉が巻く、株の育ちが止まる、といったことが起きてきます。
もう1つは、アブラムシが出す甘い液です。吸った汁のうち、余った糖分をお尻から出していて、これが葉の表につくと、べたべたした跡になります。そこに黒いかびが生えると、葉が黒いすすをかぶったようになります。これが「すす病」です。葉の表が黒くおおわれると、日の光を受けにくくなります。
そして、いちばん困るのがウイルスの病気です。これは、あとの章でくわしく書きます。
なぜ、あっという間に増えるのか
アブラムシは、春から秋の暖かい時期、メスだけで子を産みます。しかも卵ではなく、すでに小さなアブラムシの姿をした子を産みます。生まれた子もメスで、条件がよいと10日もかからずに親になり、また子を産みはじめます。
つまり、1匹が畑に降りてきただけで、親、子、孫が同時に子を産み続ける、という状態が始まります。最初の数日は「数匹しかいない」ように見えても、2週間、3週間とたつうちに、気づいたときには株じゅうにいる、ということになります。
だから、アブラムシ対策でいちばん大切なのは、「数匹のうちに見つけて、落とすこと」です。数匹なら刷毛でひとなでですみますが、何百匹になってから落とそうとすると、何度も手間がかかり、株も弱っています。
羽のあるもの、ないもの
畑でよく見るアブラムシには、羽がありません。羽のないアブラムシは、ほとんど遠くへは動かず、同じ場所にかたまって汁を吸い続けます。
ところが、数が増えて混みあってきたり、株が弱って汁の質が落ちてきたりすると、羽のあるアブラムシが生まれます。これが飛んで、別の株や、隣の畑へ移っていきます。
アブラムシがある日いきなり畑に現れるのは、この羽のあるアブラムシが、どこかから飛んできたからです。防虫ネットや銀色の反射が効くのは、この「飛んでくる」ところを防ぐからです。
アブラムシが多い時期
春と秋に増え、真夏と真冬は少ない
アブラムシは、暑すぎず寒すぎない気温を好みます。家庭菜園で困るのは、だいたい次の2つの時期です。
- 春:4〜6月ごろ。暖かくなると一気に増え、夏野菜の苗や、そら豆、えんどうにつきます。
- 秋:9〜11月ごろ。暑さが落ちつくと再び増え、白菜、大根、小松菜、ブロッコリーなどの秋冬野菜につきます。
真夏の暑さと、真冬の寒さの中では、活動が鈍くなります。ただ、いなくなるわけではありません。真夏でも、雨が当たらない場所や、葉の茂った涼しいところでは増えますし、冬も暖かい場所で生き残っています。
雨よけの下では増えやすい
意外に思われるかもしれませんが、雨はアブラムシを減らす働きをしています。強い雨が当たると、葉についたアブラムシは流されてしまうからです。
梅雨どきに、トマトやきゅうりに雨よけの屋根をかけると、病気は防ぎやすくなりますが、そのかわりに雨でアブラムシが流されなくなります。雨よけをしている株は、ふだんより念入りに葉の裏を見てください。冬にトンネルをかけた株も、同じ理由で増えやすくなります。
春の前に減らしておく
春になってから一気に増えるアブラムシも、もとをたどれば、冬を越した数匹からです。冬のうちや、春先のまだ少ないうちに見つけて落としておくと、そのあとの増え方がゆるやかになります。
春の苗を植えるときに、畑のまわりの雑草や、片づけ忘れた冬野菜にアブラムシがたくさんついていないかも、見ておくとよいでしょう。そこが、春の出発点になることがあるからです。
見つけ方
新芽と葉の裏から見る
アブラムシは、植物のやわらかいところが好きです。いちばん栄養が集まっている、株のいちばん上の新芽(成長点)と、葉の裏、とくに太い葉脈のそばによく集まります。
葉の表にいることは少ないので、上から眺めているだけでは見つかりません。葉を1枚ずつそっと裏返して見る習慣をつけると、数匹の段階で気づけるようになります。
花のつけ根や、つぼみのまわりにもよく集まります。そら豆やえんどうなら茎の先、なすやピーマンなら新芽と花のまわり、アブラナの仲間なら葉の裏と、株のまん中の若い葉を見ます。
手がかり1:黒いマルチの上の白い粉
アブラムシは、育つあいだに何度も皮を脱ぎます。脱いだ皮は白く、小さな粉のように見えます。黒いマルチを張っている畑なら、株のまわりのマルチの上に、白い粉のようなものが落ちていないか見てください。
白い粉が落ちていたら、その真上の葉の裏に、アブラムシがいる可能性が高いです。
手がかり2:株をゆすってみる
株を軽くゆすったり、葉を指でとんとんとたたいたりすると、葉の裏にいたアブラムシがぽろぽろと落ちてきます。黒いマルチの上なら、落ちた虫がよく見えます。白い紙や板を株の下にかざしてゆすってもかまいません。
ぱっと見ていないように見えても、ゆすると落ちてくることがあります。見回りのときに、ひとゆすりしてみる癖をつけておくと安心です。
手がかり3:アリが株を行き来している
株の茎を、アリが上ったり下りたりしていたら、上のほうにアブラムシがいることが多いです。アリは、アブラムシが出す甘い液をもらいに来ているからです。
ただし、アリがいないからといって、アブラムシもいないとは限りません。アリは手がかりの1つと考えてください。
手がかり4:葉のべたつき、黒いすす、ちぢれた新芽
葉の表がてかてか光ってべたつく、黒いすすのようなものがついている、新芽がちぢれて縮こまっている。こうした様子があれば、その上や周りにアブラムシがいないか探します。べたつきは、上の葉にいるアブラムシの甘い液が、下の葉に落ちたものであることも多いので、上の葉も見ます。
見回りの目安
アブラムシが増えやすい春と秋は、できれば2〜3日に1回、少なくとも週に1回は、株の新芽と葉の裏を見ます。全部の葉を見る必要はありません。新芽と、外から数えて2〜3枚の葉の裏を、株ごとに見ていくだけでも、早く気づけるようになります。
見つけたら:薬を使わない落とし方
1.数匹なら、払い落とす
数匹から数十匹くらいなら、やわらかい刷毛や絵筆、使い古しの歯ブラシで、葉の裏や新芽から払い落とします。指でつぶしてもかまいません。手袋をしたほうが気持ちよく作業できます。
払い落としたアブラムシは、羽がないので、すぐには株に戻れません。ただ、株元に落ちたものが、また上ってくることはあります。黒いマルチの上などに落ちたものは、ついでに踏むか、まとめて片づけておくと確実です。
新芽にびっしりついていて、刷毛ではとりきれないときは、その新芽ごと摘み取ってしまう方法もあります。そら豆の先の摘心は、ちょうどアブラムシの集まる場所を取り除くことにもなります。摘み取った新芽は、畑に置きっぱなしにせず、袋に入れて片づけます。
2.まとまっていたら、水で洗い流す
葉の裏一面についているようなときは、じょうろやホースのシャワーで、勢いよく水をかけて洗い流します。下から葉の裏に当てるようにかけるのがこつです。
アブラムシは、水で流されると、ほとんどが株に戻れません。薬を使わないやり方の中では、いちばん手軽で、株への負担も少ない方法です。ベランダのプランターなら、浴室のシャワーで流してもかまいません。
ただし、水の勢いが強すぎると、苗の茎が折れたり、葉が傷んだりします。苗が小さいうちは、霧吹きや弱めのシャワーで、何度かに分けてかけます。花が咲いている時期は、花粉が流れないよう、花に強く当てないようにします。
一度で全部はとりきれません。2〜3日おきに何度かくり返して、数を減らしていきます。
3.粘着テープで取る
マスキングテープなど、粘着の弱いテープを手に巻き、粘着面でアブラムシを押さえて取る方法もあります。強いテープを使うと、葉の表面がはがれて傷むので、弱いものを使います。やわらかい新芽には向かないので、しっかりした葉の裏に使います。
4.それでも残るところに、液を使う
払い落としと水で減らしきれないところだけ、液を使います。いきなり液から始めないのがこつです。液は、かけたところにしか効かないものが多く、まだ数が多いままだと、かけ残しからすぐに増え直します。先に物理的に数を減らしてから、残りに液を使うほうが、少ない手間で効きます。
使う液のいろいろは、次の章でまとめます。
液を使うなら:向き不向きを知っておく
家庭菜園でアブラムシに使われる液には、いろいろなものがあります。それぞれ、効き方も、苦手なことも違います。ここでは、よく話題にのぼるものを、向き不向きとあわせて整理しておきます。
牛乳
牛乳をそのまま、または水でうすめて、アブラムシに直接かけます。乾くときに牛乳の膜がアブラムシをおおい、息ができなくなる、という考え方です。
- 晴れた日の、乾きやすい時間にかけます。気温が高いほど早く乾きます。
- 乾いたら、必ず水で洗い流します。残しておくと、においが出たり、かびの原因になったりします。
- かかったところにしか効かず、予防の効き目はありません。かけたあとに飛んできたアブラムシには効きません。
身近なもので試せるのが良いところですが、葉の裏までむらなくかけるのは意外に大変です。少ない株で、数を減らしたいときの方法と考えてください。
ニームオイル
ニームという木の実からしぼった油で、園芸店やインターネットで手に入ります。水でうすめて、葉の表と裏、茎にかけます。
- 商品によって、うすめる倍率がかなり違います(1,000倍から3,000倍までなど、さまざま)。必ず、その商品の説明どおりにうすめます。
- 油なので水と分かれやすく、かける前によく振って混ぜます。寒いと固まることがあるので、そのときは容器ごとお湯につけて溶かします。
- すぐにアブラムシがいなくなるものではありません。数日おきに何度かかけて、少しずつ減っていく、という効き方です。
- アブラムシがつく前に、予防としてかけておく使い方をする人もいます。
効き目については、「よく効いた」という人と、「思ったほど減らなかった」という人の両方がいます。速く効く薬のようなものではないと考えて、払い落としや水と組み合わせて使うのがよいでしょう。
食酢をうすめた液
食酢を水でうすめて、葉にかける方法です。食酢は、重曹などと同じく、安全性がはっきりしているとして、農薬取締法の「特定防除資材」に指定されています。
ただ、アブラムシをその場でいなくするほどの力はなく、「虫がつきにくくなる」という予防の目的で使われることが多いものです。濃いと葉を傷めるので、うすめて使い、まずは一部の葉で試してから広げます。
コーヒー、唐辛子、木酢液など
コーヒーをうすめたもの、唐辛子を焼酎に漬けて抽出したもの、木酢液なども、アブラムシよけとして紹介されることがあります。どれも、アブラムシが嫌がるにおいや成分で、寄りつきにくくする、という考え方です。
こうした手づくりの液は、作る人ごとに濃さがまちまちで、効き目の感じ方も人によって大きく違います。濃すぎると葉を傷めることがあります。使うなら、うすめに作って一部の葉で試し、葉の色や張りに変化がないことを確かめてから広げてください。
台所用の洗剤や石けんを混ぜた液
台所用の洗剤や石けんに油を混ぜた液を吹きかけて、アブラムシをおおって息をできなくする、という方法もよく紹介されます。その場で減らす力は強いほうです。
ただ、洗剤や石けんは、もともと野菜にかけるためのものではありません。葉に残ると、葉が傷んだり、株が弱ったりすることがあります。使う場合は、しばらくおいたあと必ず水で洗い流す、葉物のように葉を食べる野菜には使わない、など、扱いには気をつけてください。「そこまでするなら、ほかの方法を選ぶ」という考えの人も多い方法です。
市販の、食品成分のスプレー
「薬はできるだけ使いたくない」という人向けに、でんぷんなど食品由来の成分でできた、アブラムシ用の市販スプレーもあります。アブラムシをおおって動けなくするしくみのものが多く、使える野菜や回数がラベルに書かれています。
市販のものは、濃さが決まっていて、使える野菜も確かめられているのが良いところです。手づくりの液で迷うなら、こうしたものを選ぶのも1つの方法です。使う前に、必ずラベルの野菜の名前と使い方を確かめてください。
液を使うときの共通の注意
- 葉の表だけでなく、裏にもかける。アブラムシは裏にいます。
- 日差しの強い真昼は避け、朝か夕方に。
- 初めて使うものは、一部の葉で試してから。
- 効いたかどうかは、数日後にもう一度葉の裏を見て確かめる。
- 収穫が近い野菜にかけたときは、よく洗ってから食べる。
ウイルスの病気に気をつける
アブラムシがうつす病気
アブラムシのいちばんの怖さは、ウイルスの病気をうつすことです。病気の株の汁を吸ったアブラムシが、別の株に移って汁を吸うと、そのときにウイルスも運ばれます。
アブラムシがうつすウイルスの中には、ほんの短い時間吸っただけでうつってしまうものがあります。だから、「アブラムシが来てから退治する」のでは間に合わないことがあり、「そもそも飛んでこさせない」予防が大切になります。
こんな様子なら疑う
- 新しい葉に、濃い緑と薄い緑のまだら模様が出る(モザイク病などと呼ばれます)
- 新しい葉が細くなったり、ちぢれたり、縮んだりする
- 株の背丈が伸びず、ずんぐりしたまま止まる
- 実がいびつになる、表面にまだらやでこぼこが出る
ほかの原因(寒さ、水不足、肥料の不足など)でも似た様子になることがあるので、見分けはむずかしいことがあります。迷うときは、元気な株の新しい葉と見比べてください。
かかった株は、早めに抜く
ウイルスの病気にかかった株は、治す方法がありません。そのまま置いておくと、そこにいるアブラムシが、ウイルスをほかの株に運んでしまいます。
残念ですが、病気と分かった株は、根ごと抜いて、畑の外へ持ち出して片づけます。抜くときは、株についたアブラムシが飛び散らないよう、袋をかぶせてから抜くと安心です。
はさみからうつることもある
ウイルスの中には、株の汁を通してうつるものもあります。病気の株を切ったはさみで、そのまま元気な株の芽かきや収穫をすると、はさみについた汁からうつることがあります。
病気が疑わしい株を触ったあとは、はさみをアルコールで拭く、手を洗う、作業の順番を元気な株から先にする、といった工夫をしておきます。
増やさない予防
防虫ネットは、植えたらすぐ
羽のあるアブラムシが飛んでくるのを防ぐには、防虫ネットのトンネルがいちばん確実です。苗を植えたらすぐにかけ、すそは土で埋めて、すき間をなくします。
ただ、アブラムシはとても小さいので、網の目によってはくぐり抜けてしまいます。目の細かいネットほど入りにくくなりますが、そのぶん風通しが悪くなり、中が蒸れやすくなります。また、植えた苗に、はじめからアブラムシがついていた、ということもよくあります。
だから、ネットは「かけたら安心」ではありません。中は雨が当たらず、天敵も入れないので、一度入りこむと、ネットの中でかえって増えることがあります。ネットをしていても、週に1回はすそを開けて、新芽と葉の裏を見てください。苗は、植える前にも葉の裏を確かめておきます。
銀色の反射を使う
羽のあるアブラムシは、銀色や白のきらきらした反射を嫌う性質があります。この性質を使って、飛んでくるのを減らす方法があります。
- シルバーマルチ:銀色の面がある、マルチ用のシートを張ります。苗が小さいうちほど、地面からの反射がよく届きます。
- シルバーテープ:銀色のテープを、うねの上やまわりに張ります。
- アルミホイル:くしゃくしゃに丸めてから広げ、乱反射するようにしたものを、竹ぐしや支柱に結んで株のまわりにつるします。株元にしいてもかまいません。
反射は、株が大きくなって葉が地面をおおうと、届きにくくなります。苗のうちの、いちばん守りたい時期に効く方法と考えてください。また、反射は「飛んでくるのを減らす」もので、すでについているアブラムシを減らすものではありません。
黄色には寄ってくる
反対に、羽のあるアブラムシは黄色に寄ってくる性質があります。黄色い粘着シートを畑の近くにつるしておくと、飛んできたアブラムシがくっつきます。数を減らすというより、「今、飛んできているかどうか」を知る目安として使うと便利です。
株のすぐそばにつるすと、かえって株の近くに呼び寄せることになるので、少し離れたところに置きます。
肥料を入れすぎない
肥料、とくに窒素を多く入れすぎると、葉や茎がやわらかく、汁の中の養分も多くなります。アブラムシにとっては、吸いやすく、育ちやすい、ごちそうのような株です。
「早く大きくしたい」と追肥を重ねるほど、アブラムシが増えやすくなります。葉の色が濃すぎる、葉が大きくて、だらりとやわらかい、というときは、肥料が効きすぎているかもしれません。追肥は、決められた量と時期を守ります。
風通しをよくする
株が混みあっていると、葉の裏が見えにくく、見回りで見落としやすくなります。株間をきちんとあけて植える、枯れた葉や混んだ葉を取る、といった手入れで、風通しと見通しをよくしておきます。
まわりの雑草と、片づけ忘れた株
畑のまわりの雑草や、収穫が終わって片づけ忘れた株に、アブラムシがたくさんついていることがあります。そこから羽のあるアブラムシが飛んでくると、いくら畑の中を守っても、また増えてしまいます。
収穫の終わった株は、早めに片づけます。アブラムシがたくさんついた株を、そのまま畑のすみに積んでおくのは避けてください。
アリと天敵
アリは、アブラムシの用心棒
アリは、アブラムシの出す甘い液が大好きです。甘い液をもらうかわりに、アブラムシに近づくテントウムシなどの天敵を追い払います。アリが多い株では、天敵が近づけず、アブラムシが増えやすくなります。
アブラムシが多い株の株元で、アリがたくさん行き来しているときは、アリにも目を向けます。
- 株の茎に、粘着の弱いテープや、市販の粘着シートを巻いて、アリが上れないようにする
- 株元の雑草を取って、アリの通り道を減らす
- アブラムシを落とすと、アリも自然と来なくなる
アリそのものは野菜を食べるわけではありません。アリを退治することが目的ではなく、「アリが用心棒をしている状態」を崩すことが目的です。
テントウムシの仲間
ナナホシテントウやナミテントウは、成虫も幼虫もアブラムシを食べます。とくに幼虫はよく食べます。テントウムシの幼虫は、黒っぽくてとげとげした、成虫とは似ていない姿をしているので、害虫とまちがえて退治してしまわないよう、姿を覚えておきます。
ただし、テントウムシの中には、なすやじゃがいもの葉を食べてしまう種類(ニジュウヤホシテントウなど)もいます。アブラムシを食べてくれるのは、背中がつやつやしているもの、葉を食べるのは、背中に細かい毛があって、つやのないものです。
ほかの天敵たち
- ヒラタアブの幼虫:うじ虫のような姿で、アブラムシの群れの中にいて、次々に食べます。
- クサカゲロウの幼虫:小さなわにのような姿で、アブラムシを食べます。
- アブラバチ:小さなはちで、アブラムシの体の中に卵を産みます。寄生されたアブラムシは、茶色や金色っぽくふくらんで動かなくなります。
葉の裏に、ふくらんで動かない茶色のアブラムシがいたら、アブラバチがはたらいているしるしです。中から次のはちが出てくるので、そのままにしておきます。
天敵の来る畑にする
天敵は、薬を使わない畑の大きな味方です。ただ、天敵が増えるのは、アブラムシが増えたあとです。天敵だけに任せていると、間に合わないことがあります。
天敵を呼びこむために、畑のまわりに、エンバク(燕麦)などの麦の仲間や、クローバーを育てておく方法もあります。麦の仲間につくアブラムシは野菜には移らない種類が多く、それを食べにテントウムシが集まって増え、やがて野菜のアブラムシも食べに来てくれる、という考え方です。
天敵を守るためにも、強い液をあちこちにかけるのは控えめにします。払い落としと水を中心にすると、天敵への影響も少なくすみます。
冬のアブラムシ
冬も、いなくなってはいない
冬になると、アブラムシの姿はぐっと少なくなります。ただ、いなくなったわけではありません。
アブラムシの冬の越し方は、種類や地域によって違います。秋の終わりに、オスと、卵を産むメスが現れて、卵で冬を越すものがいます。暖かい地域では、成虫や幼虫のまま、野菜や雑草の上で冬を越すものもいます。モモアカアブラムシの名前は、春から秋は野菜にいて、冬は桃などの木に卵を産んで越すことから来ています。
畑で見かけるのは、成虫や幼虫のまま冬を越しているものです。日だまりになる株元、マルチの下のあたたかい地面に近い葉の裏、株のまん中の新芽など、少しでも暖かいところに集まっています。
トンネルの中では、冬も増える
寒さよけにビニールや不織布のトンネルをかけると、中は外よりずっと暖かくなります。野菜にはありがたいのですが、アブラムシにとっても過ごしやすい場所になり、冬でも増えることがあります。
トンネルをかける前に、葉の裏と新芽を見て、アブラムシを落としておきます。かけたあとも、暖かい日の日中にすそを開けて、中を見てください。換気をして、中が暖かくなりすぎないようにすることも、アブラムシを増やさないことにつながります。
冬の片づけで数を減らす
冬は、アブラムシの数を減らすよい機会です。
- 収穫の終わった株は、アブラムシごと片づけて、畑に残さない
- マルチの下や、株元の枯れ葉の下に集まっているものを落とす
- 畑のまわりの雑草を整理する
- 空いた畑は、寒いうちに土を深く起こして、寒さに当てる
冬に減らしておいた数が、春の増え方のスタートになります。冬の手入れは、春のアブラムシ対策の始まりでもあります。
野菜ごとの注意
そら豆、えんどう
黒いアブラムシが、茎の先の新芽に集まります。春に暖かくなると一気に増えます。草丈が伸びてきたら、茎の先を摘む(摘心)と、アブラムシの集まる場所を取り除くことにもなります。春の見回りは、茎の先を中心に。
白菜、小松菜、キャベツ、ブロッコリー、大根
秋に植えたアブラナの仲間には、秋のアブラムシがつきます。葉の裏と、株のまん中の若い葉を見ます。白菜やキャベツは、葉が巻きはじめると、内側に入りこんだアブラムシが落としにくくなるので、巻く前に減らしておくことが大切です。収穫したら、葉のすき間を確かめてから台所へ。
なす、ピーマン、きゅうり、オクラ
夏野菜は、植えつけ直後の春と、暑さが落ちつく秋に増えます。新芽と、花のまわり、葉の裏を見ます。きゅうりやなすなどは、アブラムシがうつすウイルスの病気が出やすいので、苗のうちの予防(反射、ネット)が特に大切です。雨よけをしている株は、増えやすいので念入りに。
ねぎ、にら
黒く光るアブラムシが、葉にずらりと並ぶことがあります。葉が細いので、指でしごくようにして落とすか、水で洗い流します。
いちご
冬を越したいちごは、春先に、葉の裏と、株のまん中(クラウン)にアブラムシがつきます。枯れた葉を取って風通しをよくし、見つけたら刷毛で払います。
説明が分かれるところ
手づくりの液は使うべきか
手づくりの液は、身近なもので作れて手軽な一方、濃さが決まっておらず、効き目も人によって違います。「物理的に落とすほうが確実で、葉も傷めない。手づくりの液はあまり使わない」という考え方と、「予防として定期的にかけると、つきにくくなる」という考え方があります。
どちらを選ぶにしても、まず払い落としと水、液はそのあと、という順番は共通です。液を使うなら、少量で試してから広げてください。
テントウムシを買ってきて放すか
天敵を増やすために、テントウムシを集めてきて放す、という方法もあります。ただ、成虫は羽があるので、放してもすぐ飛んでいってしまうことが多いものです。家庭菜園では、天敵が自然に来やすい畑にしておくほうが続けやすいでしょう。放すなら、近くの庭や畑で見つけたものにします。遠くの地域の虫を持ちこむと、その土地の生き物に影響が出るおそれがあるからです。
ネットの目は細かいほどよいか
目が細かいネットほどアブラムシは入りにくくなりますが、風通しが悪く、夏は中が暑くなりすぎることがあります。秋冬野菜では細かめのもの、夏は風通しも考えて、と季節で使い分ける人もいます。どの目でも「入りこむことはある」と考えて、中を見る習慣をつけることが大切です。
よくある失敗
「数匹だから」と見逃した
数匹を見逃すと、2〜3週間で株じゅうに広がります。数匹のうちに払うのが、いちばん少ない手間です。
ネットをかけて安心しきった
ネットの中で増えていた、というのはよくある失敗です。ネットの中は天敵が入れず、雨も当たりません。週に1回は中を見ます。
液だけで退治しようとした
液だけに頼ると、かけ残しから増え直します。払い落としと水で数を減らしてから、残りに液を使います。
肥料を足して元気にしようとした
アブラムシで弱った株に、元気づけようと肥料を足すと、かえってアブラムシの好む株になります。まずはアブラムシを減らすのが先です。
テントウムシの幼虫を退治してしまった
黒くとげとげしたテントウムシの幼虫は、見慣れないと害虫に見えます。アブラムシの群れのそばにいる、見慣れない虫は、退治する前に、天敵ではないか確かめてください。
よくある質問
アブラムシがついた野菜は食べられますか
よく洗えば食べられます。葉物は、葉を1枚ずつはがして、ため水の中で振り洗いすると落ちやすくなります。
アブラムシはどこから来るのですか
羽のあるアブラムシが、まわりの雑草や畑から飛んできます。風に乗って遠くから運ばれてくることもあります。買ってきた苗に、はじめからついていることもよくあります。
ベランダの高いところでもつきますか
つきます。羽のあるアブラムシは風に乗って運ばれるので、マンションの上の階のベランダでも見かけます。プランターでも、新芽と葉の裏の見回りは同じです。
毎年同じ野菜にたくさんつきます
アブラムシのつきやすさは、野菜の種類によっても違います。毎年つく野菜は、植えたらすぐ反射とネットで予防し、見回りを多めにします。肥料が多すぎないかも見直してみてください。
ウイルスの病気かどうか分かりません
新しく出てくる葉にまだら模様やちぢれが続くなら、疑わしいと考えます。1株だけ様子がおかしいなら、早めに抜いて、ほかの株にうつさないことを優先します。
学ぶ:アブラムシのしくみ🔬
なぜ、メスだけで増えられるのか
アブラムシは、春から秋の暖かい時期は、オスと出会わなくても、メスだけで子を産んでいます。生まれる子は、親と同じ性質を持つメスです。オスを探す手間もかからず、生まれた子がすぐ親になれるので、えさの多い季節に一気に数を増やすことができます。
秋が深まり、日が短く、気温が下がってくると、オスと、卵を産むメスが生まれる種類があります。卵は寒さに強く、冬を越すのに向いています。暖かい季節は数を増やすことに、寒い季節は生き残ることに、と、季節で増え方を切りかえているのです。
なぜ、銀色を嫌い、黄色に寄るのか
羽のあるアブラムシは、空を飛びながら、降りる場所を色で見分けていると考えられています。黄色っぽい色は、若い葉や、育ちざかりの植物の色に近く、降りる目印になります。
一方、上から強く照り返す銀色や白の光は、空の光と似ていて、降りる場所として見分けにくいと言われています。銀色の反射を嫌い、黄色には寄ってくる。この性質が、シルバーマルチの予防と、黄色い粘着シートの目安の、両方に使われています。
なぜ、窒素が多いと増えるのか
アブラムシが吸っているのは、植物の中を、葉で作った糖分などを運んでいる汁です。この汁は、糖分は多いのですが、体を作るのに必要な養分は少なめです。だから、アブラムシは大量に汁を吸い、余った糖分を甘い液として外へ出しています。
肥料の窒素が多いと、汁の中の、体を作る養分も多くなります。アブラムシにとっては、育ちやすく、子を産みやすい汁になるわけです。肥料を入れすぎない畑でアブラムシが増えにくいのは、このためです。
なぜ、アリとアブラムシは助け合うのか
アブラムシが出す甘い液は、アリにとっては、毎日もらえる大切な食べ物です。アリは、この甘い液をもらうために、アブラムシを天敵から守ります。アブラムシにとっても、天敵から守られるのは大きな得です。
おたがいに得をするこの関係を、「共生」と呼びます。アブラムシのいる株にアリが集まり、アリがいる株ではアブラムシが増える。畑の中で、小さな虫たちがこんな取り引きをしていると思うと、見回りも少し楽しくなります。
まとめ
ここまで読んでくださって、ありがとうございます!
アブラムシ対策のポイントを、もう一度まとめておきます。
- アブラムシはメスだけで増え、10日もかからずに親になる。数匹のうちに見つけて落とすのがいちばん
- 増えるのは春(4〜6月ごろ)と秋(9〜11月ごろ)。雨よけやトンネルの中では増えやすい
- 見るのは、新芽と、葉の裏の葉脈ぞい。黒いマルチの上の白い粉、アリ、べたつきも手がかり
- 見つけたら、刷毛や指で払う、水で洗い流す。液を使うのはそのあと
- 手づくりの液は濃さがまちまち。一部の葉で試してから。市販の食品成分のスプレーも選べる
- ウイルスの病気にかかった株は治らない。早めに抜き、はさみはアルコールで拭く
- 予防は、植えたらすぐのネット、銀色の反射、肥料を入れすぎないこと
- アリが用心棒をしていたら、アリの通り道もふさぐ。テントウムシの幼虫は味方
- 冬もトンネルの中や株元で生き残る。片づけと見回りで、春のスタートを小さく
アブラムシは、完全にゼロにすることはできない虫です。それでも、数匹のうちに気づいて落とす習慣があれば、野菜が育たなくなるほどの被害はぐっと減らせます。まずは今度の見回りで、いちばん上の新芽と、葉の裏を3枚、そっと裏返して見てみてください🐞
シルバーマルチ
銀色の反射で、羽のあるアブラムシが飛んでくるのを減らします。苗が小さいうちほどよく効きます。
防虫ネット
植えたらすぐトンネルに。すそは土で埋めます。それでも週に1回は中を見ます。
エンバク
畑のまわりに育てておくと、麦につくアブラムシを食べにテントウムシが集まり、増えていきます。
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